2020.2月 2020.2 石川詩央里
私の、勤め先のクリニックと同じフロアの内科さんが、ある日突然、閉院しますと張り紙されていると、事務の影井さんが気付いて、二人でとても驚いた。
先生も、まだお若いし、なにがあったのだろうと、週末、一人の自室でもんもんとした。
翌週、出勤すると、内科は普通に開いていた。先生に、何かあったとかではなかったのかな、と思ったけれど、うちの事務さんが聞いても、内科のスタッフさんは、口を閉ざしているらしい。結局、3日ほど、休診しただけのようだ。コロナとか、インフルとか、これから流行るという矢先に、内科が、突然、閉院するなんて、ショッキングで、とても怖かった。私の勤め先の院長も、高齢だ。いつかは・・・という思いが頭の中をぐるぐるまわる。流れ流され、やっとここまでこれたのに、私はまた、何処かへ行かねばならない。今度は、どこへ。私は、ハンデもある、年もとっている、実力もないし、気立てもない。こんな駄目な、おばさんナース、他に雇ってくれる所なんて、あるだろうか・・・。
先日、お札を銀行のATMから下ろすと、一枚、大きさの違う千円札が入っていた。色々不安定なところに、追い打ちをかけられたかのように、気分が沈んでしまった。
こういう場合、どうしたらいい?職場の人たちにたずねると、銀行にといあわせてみたら?
とアドバイスしてもらった。確かに、いきなり警察に連絡もなあ、と考えていたところだった。
銀行に問い合わせると、お札は、水で縮むことがある、ということ、ATMは基本、そういうお金は入れないということ、など、教えてくれた。有人店舗にきてもらえれば、実物をチェックして、上の人が、交換できるか判断します、もし、偽札なら、警察に連絡することになるかもしれません、と言われた。
数日後、緊張しながら近くの店舗へお金を持っていくと、思ったより、スムーズにお札を交換してもらえた。安堵の気分になり、帰り道、お菓子を買って帰ってきた。そして、こういうことなのだ、と思った。私の場合、まじめに、きちんと、ひとつずつ、対応すればよいのだ。正攻法で行けば、道は開かれていく。とりあえず、無事に交換してもらえて、本当に良かった。
とても怖かった、人は、一人では生きてゆけない。良く聞く言葉だけれど、年を重ねるうちに、身にしみるようになった。
2月といえば、バレンタインなのだけれど、ネットのニュースによると、義理チョコ文化が無くなったとか。自分用に買う人が増えたとか。
私は、今年、例年通り、日ごろお世話になっている方々に、ちょっと配った。バレンタインイコール愛の告白になったのは、私が小学生の頃からではなかったか。本来の意味では、身近な人たちに、感謝の手紙を送るとか、だったような・・・
チョコは、私自身、大好物だし、この時期はいろいろ売っているし、美味しいから、八方美人と言われようと、配るのは、ありだと、今は思っている。
今年も、ツイッターにチョコの画像を載せ、フォロワーさんに、感謝を述べた。そして、自分で存分に味わうのだけれど、なぜか例年よりは盛り上がらなかった。おばさんになったのかな。この時期、チョコ菓子の手作り動画などもたくさん見かけた。私は簡単なものしか作れないけれど、そのうち、作ってみようかな。その前に、体重を落とさねば・・・
今の職場に着いてから、すっかりグルメになった。体重はとても他人には言えない。
友人のグループラインで、コロナどんな感じという話題があって、インフル対策で良いみたいよ、などと、暢気な発言をしていたけれど、2月下旬の今、日本中というか世界中にまで感染者が増えていて、亡くなる人もいる。小さい子はかからないとか、マスクから始まって、トイレットペーパーやキッチンペーパー、ナプキンなどが売り切れたり、アオサや玉ねぎが良いとか、色々な情報が飛び交っている。
イベントは中止、無観客試合、テレワーク、休校・・・この1、2週間が山場とのニュースが流れてから、一気に世の中が変化している。
わたしは看護師だけれど、無力ではないと、信じたい。非力だけれど。ニュースをまめに見ること、自分自身も予防すること、自分のところの患者さんたちに、安心してもらえるような看護をすること。わたしは、勉強しないで看護師になってしまったせいか、正直、看護師を名乗ることに自信がない。向いてない、できない、ばかり言っていた。全てのことは自業自得、死んだ祖母の言葉のとおりだ。活躍はできないかもしれないけれど、看護師のはしくれとして、プライドと、志は、大事にしていこう。今日は、そう、思っている。