しっかり知りたい!

Dr.まさむねの目の教室 その3

視覚障害について、知ろう!

Dr.伊達まさむね

失明の主要原因 1

1)糖尿病網膜症

現在 糖尿病の患者は740万人、予備軍を含めると1620万人と言われています。糖尿病の合併症の一つである網膜症は、糖尿病患者の約4割に起こると言われ、厚生労働省の調査によると成人の約300万人が発症しています。その内、年間約3000人が失明しており、糖尿病網膜症はわが国の中途失明原因の1位です

糖尿病網膜症は、1年間で糖尿病患者の約3〜4%ずつ発症します。40歳未満の若い世代で糖尿病を発症すると、65歳以上の患者より2倍増殖網膜症になりやすく、重症化しやすいこともわかっています。

糖尿病になったら、初期の段階から良好な血糖コントロールを行うことと、網膜症は重症(末期)になるまでほとんど自覚症状がないため、自覚症状がなくても早期に眼科を受診することが重要です。

 

網膜症になっても、早期に発見し、適切な管理を行い、必要な段階では時期を逃さず治療を行うように取り組んでいけば、一生を通して良好な視機能を維持していくことが可能です。

 

網膜症に対する眼科での治療には、網膜光凝固術(レーザー光線)、硝子体手術などがあります。適切な時期に適切な治療を行うことで失明を防ぐだけでなく、近年のさまざまな眼科医療技術の進歩もあって視力を回復させることが可能な場合もあります。

 

ただし、良好な視機能を維持し続けるために最良の方法は、網膜症を発症させないことと発症しても重症化させないコントロール・管理です。

 

糖尿病になったら、内科受診だけでなく、早期(網膜症発症前)からの眼科な管理が大切です。 

2)緑内障

 最近の疫学調査の結果によると、日本人の場合、40歳以上の17人に1人が緑内障と言われています。緑内障は、わが国の中途失明原因で糖尿病網膜症についで2位であり、近い将来1位になるかもしれません。

 

緑内障は視神経が障害されることで視野障害を来たす疾患です。視野障害がなければ(急性緑内障発作を除き)緑内障ではありません。

 

緑内障にはいくつかの種類がありますが、最も頻度が高いのは「正常眼圧緑内障」です。正常眼圧緑内障の症状の進行はゆっくりで、視力障害よりも視野が狭くなることが先行するため、自覚症状が乏しいことも大きな特徴です。このために気付かずに放置し、障害が進行してしまってから気付くことが少なくありません。

 

今のところ、緑内障のためにいったん進行した障害を改善させることは不可能です。

 

このため、緑内障による失明(視覚障害)を避けるためには、早期発見、早期管理、そして治療が必要な場合は早期治療が重要です。

 

40歳を過ぎたら検診や人間ドックなどの機会を利用や、直接眼科を受診するなどの方法で緑内障の有無を検査しておくことをお勧めします。

 

仮に正常眼圧緑内障の診断がついたとしても、進行は非常にゆっくりですから慌てる必要はありません。治療を始めたら一生治療を続けることになりますので、まず治療の効果を正確に判定できるようにしておくため(効果がない治療を続けても無意味ですから)にも、治療前の状態をじっくり正確に把握します。緑内障が初期の状態で発見された場合で経過中に明らかな進行が認められない場合は無治療で経過観察を続けることも少なくありません(早期管理)。

 

治療はほとんどの場合、点眼薬で行います。点眼薬であっても特に長期に使用する場合には副作用などについても注意が必要になりますので、まずは治療が必要な状態かどうかを慎重に判断します。そして治療に使う点眼薬を選択する際には、治療薬剤が期待している効果を発揮しているかも試してみたうえで決定します。

 

点眼薬だけでは治療効果が不十分な場合には、手術なども検討されます。

 

進行してしまった緑内障の視覚障害にいまのところ有効な改善手段はありませんが、早期に発見し、早期に管理を始めることで一生を通して良好な視機能を維持していくことが可能です。

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気配りのポイント

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