メインページへ

2000年度 阪上ゼミ報告書 (2001年1月)

セルフヘルプグループ

K. E.
K. A.
N. Y.

  1. 障害者の家族の会 「セルフヘルプグループ」
  2. 新宿家族会
  3. 精神分裂病とは??
  4. 感想

 

 私たち3人は、「障害児を持つ家族」というものに興味をいだきました。

 このような疑問を持ち、直接障害児を持つ家族の生の声を聞いてみたく思いました。そこでホームページの検索で「セルフヘルプグループ」という言葉を知りました。

 

1 障害者の家族の会 「セルフヘルプグループ」

 「精神障害者を抱える家族が集団化」したのは、熱心な医師たちが、「入院患者の家族を集め、退院先としての家族の治療協力体制の強化と」いう目的を持って、精神病の医学的基礎知識や病状の理解、患者への接し方などを教える場として活用したことに始まる。

 精神障害者の家族会をセルフヘルプグループとして位置づけ、その機能を見てみると、4つに分けられる。

 1つめは、カタルシスの機能。社会的偏見があり、社会的孤立の状態に追い込まれることが多い。先行きの不安、誰にも話せない悩みを同じ立場にある人々や専門家につのる思いを吐き出すことは大きな救いとなる。

 2つめは、学習機能。精神病とは何かを学び患者への接し方や、医療や福祉の制度的な仕組みについて知識を広げることにより、家族としての対応能力が拡張される。

 3つめは、障害者の社会復帰に手を貸す。つまり、資源開発的機能。障害者の社会復帰を支えるこの活動は、制度的な裏付けが弱いために多大なエネルギーを必要とするものの、患者への働きかけや、行政への働きかけの経験、一つの事業を運営していくという組織づくりなど、家族会活動を飛躍させる契機を含んでいる。

 4つめは、社会的な発言主体となる機能。差別や偏見が強いなか、精神衛生思想の普及啓蒙を続けていく努力は今でも必要である。公衆の場や世論形成に、顔を持った主体として登場していく過程でもある。

 

2 新宿家族会

新宿家族会とは (会のホームページから引用 2001年1月現在)

 このようなことで悩んでいる方たちの集まりです。
  • このごろ息子(娘)が自分の部屋に閉じこもりっぱなしだ。
  • 精神科のお医者さんに連れていきたいけど、本人が行きたがらない。
  • 精神科のお医者さんに診てもらったけど、どうしても納得がいかない。
  • もう半年も精神科に入院しているが、退院のめどが立たない。
  • 病院を変えたいが、具体的な方法がわからない。
  • 本人が病院から出された薬を飲もうとしない。
  • 退院したが全く外出できない。
  • 働きに出るが、3ヶ月と持たない。
  • 時々暴力を振るうので、家族のものが危険だ。
  • 兄弟(友人)が精神病とお医者さんから診断された。兄弟(友人)としてなんとかしてあげたい。
  • その他、心の病について、薬のこと、本人への対応、作業所ってどんなところか、この病気は治るのか治らないのか、そうした疑問や悩みを持った人たちの集まりです。

名称: 新宿区精神障害者家族会(略称:新宿家族会)

創立: 昭和44年

会員: 約500名以上(最近5年間で1回以上参加し、記帳された方)

現在会員: 27名(レギュラー参加の方)

例会: 毎月第3土曜日 午後1時から5時まで

  会場 新宿区障害者福祉センター(新宿区戸山 1-22-2  Tel 03-3232-3711)

  内容 1時から相互交流会(個人の悩み、近況、会からのお知らせなど)
      2時から勉強会
 (勉強会は後半、講師の先生との質疑応答があり、個人的な問題を答えます。)

 

3 精神分裂病とは??

 精神分裂病は、複雑で難しい精神状態を示す病気です。多くの精神疾患のなかでも、もっとも障害の強い慢性疾患です。精神分裂病は、1つの原因からではなくいくつかの原因を持っているといわれています。この病気は複雑な現れ方をするので精神分裂病とはこういうものであるという一般論では説明できません。精神病症状が突然あらわれたとき、それを急性精神分裂病といいます。ここでいう、<精神病>とは、現実をきちんと認識できなくなったり,現実と非現実の世界の区別ができなくなることをしめしてます。この症状が,一度しかでないという患者さんもいるが、それが何度も現れ、症状が収まっている間は普通とは変わらないという患者さんもいます。症状が、持続したり症状が再発しやすい精神分裂病を慢性精神分裂病といいます。慢性精神分裂病では、病気になる前の状態を完全に取り戻せないことがあります。この場合には,症状を抑えるために,長期間にわたる薬物療法などが必要になります。慢性精神分裂病では、援助や介護なしには何もできない状態のなります。人口の約1%の人が生涯の間に精神分裂病になります。精神分裂病に先立って,周囲からの引きこもり、おかしな会話内容,変わった考え方,風変わりな行動といった,一見目立たない症状がみられることがあります。このような症状は、精神病症状のあとにでてくることもあります。

<精神分裂病の世界>

  1. 非現実世界

     患者さんの住む世界がゆがんでて、変化しやすくそこには自分を現実につなぎとめておくための目印がないので彼らは不安になったり、困惑したりします。すると、うわの空,孤独な感じに見えます。また、何時間もじっと座っていたりかと思うと,一時も休まず何かを考え,睡眠もとらずに動き回ることもあります。その時々により全く異なった行動を示すこともあります。
  2. 幻覚

     幻覚とは、現実にはないものをあると感じることで命令する声が聞こえる、そこにはいない人や物が見える、見えない指で体をさわられるなど、他人には聞こえない声が聞こえるというのがもっともです。幻聴の内容は、患者さんの行動を批評したり、話し掛けたり,警告したり,命令したりです。
  3. 妄想

     患者さんは、実際起こってないことを現実のこととしてかたくなに信じてしまうことがあります。妄想とは、その人が信念としてもつ固有の人生や価値観のことではありません。よく見られる症状で、例として被害妄想や誇大妄想があります。被害妄想は、妄想の代表的な症状で嫌がらせをされるなど根拠のない確信のことです。患者さんは,自分自身や自分の家族がこの妄想上の迫害の被害者になっていると感じます。
  4. 思考障害

     順序のある考えができずに長時間過ごしています。また、1つのことを長く考えるのが苦手で、すぐに気が散り集中できません。患者さんは、場の状況に合うこと、合わないことの区別がつきません。話はまとまりがなく筋道が全くわからないことがあります。順序ある考えができない症状が,思考障害と呼ばれるものでこれが他の人との会話を非常に困難にして彼らを周りから孤立させてしまうのです。
  5. 感情表現

     患者さんは、人の話の内容や考え方にそぐわない感情を表します。深刻な話をしながら大笑いしたりします。患者さんの感情表現は<鈍い>、<平板>と感じられることがあります。これは、感情の表現能力が著しく低下していることを示していて,感情表現が不自然で口調はしばしば単調となり顔の表情も乏しくなりがちです。
  6. 正常と異常

     正常な人も精神分裂病の患者さんと似た感じ方,考え方、行動をとることがあります。正常な人が奇妙なことをすることがあるように患者さんも普通に考え、感じ方、行動します。極度に混乱しない限り常識を持っています。だから、患者さんの世界には他者とは共有できない非現実的な側面があると理解すべきです。つまり、患者さんは正常に見えるときも多いのです。

<原因>

 これが精神分裂病の原因といえる単一の原因は知られてません。生まれつき精神分裂病になりやすい素質があり,環境因子がさまざまな割合でそれに関与してくるらしいのです。個人の人格は文化的要素,心理学的要素,生物的要素,遺伝的要素などの、相互作用によって形成されます。それと同じく精神分裂病にみられる人格の波紋も多くの要素の相互作用の結果といえます。これらの要素がどんな割合で組み合わさったときに精神分裂病になるのかについては,一致した見解はありません。それだけで精神分裂病発症の原因となるような遺伝要因やぶしつの変化はだまされてません。またどんな心理的ストレスもそれだけでは精神分裂病の原因とはなりません

 

4 感想

N. Y.

 新宿家族会の例会に参加してみて、初めに感じたことは、「本当にこの人達は障害について、常日頃から悩んでいるんだなー。」と、いうことでした。初めて会った私がそういう風に感じてしまうくらいみなさんの悩みは深刻なのだと感じました。障害について無知な私たちがこの例会に参加していていいのだろうか?と不安な気持ちになりましたが、「また機会がありましたらおいでください。」と、最後に言われて、ほっとしました。私は悩みがあった時誰かに聞いてもらうとすごく楽になります。ただ、家族会の方の悩みは誰にでも話せるものではないと思うし、やはり共感し合える仲間がいるのは、心の大きな糧となるような気がします。そういう仲間をみつけることの出来るセルフヘルプグループはとても大切な会だと思いました。

K. A.

 新宿家族会に参加させていただき、まず親が子を思う強い思いや、子供と一緒に生きていることを感じた。また新宿家族会のような例会が開かれていることで、同じ境遇にたつ人たちが集まりアドバイスをしたり、励まし合ったりしていたことは、みんなが少しは気が楽になれる場所なのかもしれない。

 セルフヘルプグループは今後もっと活躍してほしいし、私もそのことについて学んでいきたい。ゼミでは、当事者との関わりを持つ機会があり、直接話を聞くことができ興味の幅が広まった。福祉に対しての見方が変わったし、私が普段生活していても小さなことでも障害を持つ方を助けることができたらいいなと思っている。

K. E.

 私にとって,このゼミに入って今まで知らなかった事やわからなかったことを学ぶことができました。新宿家族会に参加して当事者の方の話や悩みなど直接聞くことができて調べたり聞いたりではなくいろいろなことを学ぶことができました。また、機会があったら参加したいです。授業では、いろいろな障害についてインターネットで調べたりしたので、今までよりもわかるようになれました。