〜 決勝 〜

'13/05/25
イングランド ロンドン、 ウェンブリー・スタジアム





      ドルトムント  1−2  バイエルン・ミュンヘン
   ギュンドアン 68(PK) マンジュキッチ 60
ロッベン 89

 同国同士の決勝戦。
 ドルトムントは、バイエルンへの移籍が決まっている中で準決勝で怪我をしたゲッツェが、この日には間に合わず。国内リーグで怪我をしたCBフンメルスは間に合った。
 レバンドフスキをトップに、グロスクロイツ、ロイス、ブラシュチコフスキが2列目に入る。
 一方のバイエルンは、離脱中のクロースを除けば、ベストメンバー。トップはマンジュキッチ。


前半

 バイエルンボールでキックオフ直後から、ドルトムントは高い位置でプレッシャーをかけていき、まずは主導権を握る。
 13分、バイエルン右DB・ラームの不用意なパスをドルトムントがカット、すかさず縦パスが入る。これをロイスがワンタッチでフリーのレバンドフスキへ渡すと、レバンドフスキはミドルシュートを選択。ゴール右上を狙ったが、キーパーのノイアーにパンチングでゴール上にクリアされた。
 続く右CKの流れから、いったんクリアされたボールをドルトムントが拾って再び右に展開。ロイスの折り返したボールがブラシュチコフスキに通ったが、ニアサイドを狙ったダイレクトシュートも、足を伸ばしたノイアーにゴールの外へ蹴り出されてしまった。
 19分にも自陣でボールを奪ったドルトムントのグロスクロイツから、前を狙うロイスにスルーパスが送られる。このボールに追いついたロイスがそのままの勢いで持ち込み、Pエリアの手前からシュート。
 22分にもカウンターからバイエルンゴール前に攻め上がるとベンダーがシュート。いずれもノイアーがきっちりとブロックしたが、次々と飛び出すドルトムントのシュートに対し、バイエルンの攻撃はやや腰が引けた格好になる。

 26分にようやくバイエルンのチャンス。左サイドから放り込まれたクロスをマンジュキッチがヘディングシュート。しかしここはドルトムントのキーパー・ヴァイデンフェラーが弾きだしてゴールを守る。続く右CKに今度はハビ・マルティネスが頭で合わせたが、クロスバーを越えた。
 30分には中盤での攻防から、ミュラーが蹴り出したボールが右のロッベンへと渡り、キーパーと1対1のビッグチャンス。しかし素早く詰めてきたヴァイデンフェラーに切り返して左に持ち帰る余裕を削られ、つま先でシュートを狙ったものの体でブロックされてしまった。
 35分にはドルトムント。センターライン右寄りでベンダーがアラバからボールをカット、すかさず前のロイスにつなげ、さらに反応して裏を狙うレバンドフスキへスルーパスが入る。寄せてきたCBボアテングを背中で押さえて入れ替わりPエリア内右サイドに抜け出たレバンドフスキ。そのままシュートを狙ったが、ノイアーがすでに足元へ飛び込んでおり、弾き返されてしまった。
 36分、再びバイエルンのロッベンにチャンス。バイエルンがドルトムントゴール前でパスをつなぎ、やや右寄りの位置でミュラーからDFラインの裏を狙うロッベンにパスが通る。しかしここでもドルトムントのスボティッチに左への切り返しを警戒され、そのまま右足で強引に蹴ったボールも止められてしまう。
 しかし、CKではまたもやミュラーがゴール正面で頭に当て、ボールは逆サイドに流れてしまったものの、セットプレーでバイエルンに惜しいシーンが続く。
 43分、バイエルンは最終ラインのダンチからゴール前にロングボールが放り込まれると、走り込んだロッベンが並走するCBフンメルスと競り合い、こぼれたところを左足でシュート。だが、ヴァイデンフェラーが顔でブロック。
 前半は両チームのキーパーが実力を発揮し、無得点で終了。


後半

 後半も同じような流れで進む。そして60分、ついに均衡が破れた。
 バイエルンがドルトムント陣内へ攻め込むと、左に開いたリベリがドリブルで中へと絞る。ドルトムントの守備陣がつられて3名寄せてきたところで、隙のできたロッベンにスルーパスを通す。ゴールエリア左サイドまで入り込むロッベンに対しキーパーも素早く寄せたが、ゴールラインぎりぎりの位置からゴール前にボールを折り返すことに成功、ボールは左ポストに当たってピッチ側に角度を変えると、マンジュキッチの足元へ。これを押し込み、バイエルンが先制に成功した。

 67分のドルトムント。後方からロングボールを放り込み、CBボアテングのクリアが小さくなったところを再び前へとつないでPアリア内のロイスへ。ここをカバーに来たダンチだが、膝蹴りでロイスを倒してしまい、カードは出ずに済んだもののドルトムントにPKを与えてしまった。
 キッカーはギュンドアン。ノイアーの反応と逆サイドに押し込んで、ドルトムントが同点に追いついた。

 この後も、両チーム早い攻守の切り替えで、度々ゴールへと迫る。
 72分、ドルトムントが前へ前へとつないでPエリア内までボールを運んだところでバイエルンが奪い返すと、今度はバイエルンがカウンター。中盤シュバインシュタイガーが右に開いたマンジュキッチへパスを送ると、追い越してきたミュラーにボールをつないで抜け出すことに成功。飛び出してきたキーパーをも縦へとかわしたミュラー、角度のないところから無人のゴール目がけボールを転がしたが、ギリギリのところでスボティッチがかき出して、逆サイドを詰めていたロッベンも押し込むことができずにゴールならず。
 76分にはバイエルンのアラバが強烈なミドルシュートを狙うが、キーパーが横っ飛びで弾きだす。
 その1分後には中盤でミュラーが右のロッベンにボールをはたいて前へと走ると、ロッベンもワンタッチで返してミュラーが中央を抜け出す。しかしスボティッチの背後からのプレッシャーにPエリア内で転倒、PKはもらえずチャンスを逃す。
 チャンスを作り出すシーンはバイエルンに傾いてきた。87分、右サイドラームが深い位置まで上がってマイナス気味に折り返したボールを、Pエリア内のミュラーがシュートに行きかけながらもスルー、それをPアーク付近に上がってきたシュバインシュタイガーがミドルシュートで狙ったが、ここもヴァイデンフェラーが立ちふさがる。
 残り時間あと1分となったところ。自陣からのフリーキックを得たバイエルンは、Pエリア手前の中央へと走り込むリベリへ長いボールを放り込む。ぴたりとピシュチュクがマークしていたが、、うまくリベリがボールを落ち着け背後へヒールキック。そこに走り込んできたロッベンが密集するドルトムント守備陣より先にボールを拾って抜け出すと、左に流れながらキーパーの逆を突くようにゴール右へとボールを流し込むことに成功、勝ち越し点を挙げた。

 呆然とするドルトムントの選手とサポーター、反対に歓喜に包まれるバイエルンサポーター。
 ロスタイムの3分は両チームの選手交代で時間を取られ、大きな動き無く試合終了。
 昨年の決勝ではリードしながら88分に追いつかれ延長PK戦で敗れたが、今年は反対に同じような時間帯に試合を決めて、通算5度目の栄冠を手にした。
 今シーズンで退任するユップ・ハインケス監督にとっては、Rマドリッド時代に続く、2チーム目のビッグイヤーとなった。