〜 準決勝 〜

'12/04/17,18 第1戦
'12/04/24,25 第2戦


バイエルンM vs Rマドリッド  チェルシー vs バルセロナ


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―FIRST LEG―
バイエルンM 2−1  Rマドリッド  
リベリ 17
ゴメス 90
エジル 53

 決勝戦の舞台でもあるバイエルンのホームでのゲーム。
 国内リーグの優勝が厳しくなったバイエルンは直前のリーグ戦を控え中心のメンバーとし、この一戦に照準を絞ってきた。FWゴメス、ロッベン、クロース、リベリが前線に並ぶ。シュバインシュタイガーが先発に名を連ね、ミュラーがベンチスタート。
 一方のマドリッドは国内リーグ首位をキープし、次の試合には2位バルセロナとのクラシコを控えている。
 FWはベンゼマ。2列目にディ・マリア、エジル、Cロナウド。左SBにコエントランが入り、マルセロ、カカ、イグアインがサブとなった。

前半

 両チームとも強さを見せながらも堅実な立ち上がり。
 7分、右サイドから組み立てるマドリッドは、エジルのスルーパスに反応したベンゼマがそのままPエリア内で右足を振り抜くが、キーパーのノイアーがワンハンドでカット。
 17分、バイエルンに左CKのチャンス。ゴール前に放り込まれたボールがルーズとなったところを、Pスポットより少し後ろにいたリベリが押し込んで、バイエルンが先制した。

 このあとも緊張感を保ったままゲームが進む。Cロナウドが2度、ミドルレンジのFKを蹴ったがゴールには結び付かず。マドリッドは途中から右のディ・マリアと中央のエジルを入れ替えたが、バイエルンのDFをこじ開けるに至らない
 前半はマドリッド7本、バイエルン4本のシュートを放ち、五分の展開ながらバイエルンリードでハーフタイムへ。

後半

 マドリッドはエジルをトップ下の位置に戻し、エジルからのパスでチャンスを狙う。
 そして53分、バイエルンのセットプレーを防いでマドリッドは得意のカウンター。シャビ・アロンソからセンターラインのディ・マリアへロングパスが通ると、さらに右前に開いたベンゼマへ。左サイドをCロナウドが駆け上がり3対3の状況とすると、中へボールを運んでDFの注意を引き付けたベンゼマからCロナウドに絶妙なパスが入り、Pエリア内でキーパーと1対1に。Cロナウドが股下を狙ったシュートを、ノイアーが手で跳ね返してここは防いだが、弾いたボールをエジルが拾って右に展開、ベンゼマがゴール前に折り返したボールが逆サイドのCロナウドまで流れたところを、再びゴール前に折り返してエジルがフィニッシュ。完璧にバイエルン守備陣を崩して、マドリッドがアウェーゴールで追いついた。

 61分、バイエルンはシュバインシュタイガーを下げてミュラーを投入。その1分後、ラームのスルーパスにゴメスが抜け出しチャンスとなったが、素早くカシージャスが滑り込んでドリブルをブロック、シュートを撃たせず。
 マドリッドは69分にエジルを下げる。マルセロがバイエルンの右SB、ラームの上がりを見る形で中盤左に入り、Cロナウドが中央へと移動。
 この交代でマドリッドのバランスが崩れたのか、バイエルンが度々チャンスを作るようになる。
 さらに残り10分となってからディ・マリアとベンゼマを続けて交代、グラネロとイグアインがピッチへ。再びCロナウドが左に開き、マルセロが中央へ移動すると、ラームが割と自由に攻撃参加するようになる。
 85分、マルセロのパスがカットされマドリッドがピンチを迎えるが、右のラームからのクロスに合わせたゴメスのヘッドはカシージャスがキャッチ。
 89分のバイエルンの攻撃。マドリッド陣内でボールを回して隙をうかがいつつ、右のラームへ。対峙するのは終盤やや落ち着きのないプレーを見せていたFコエントラン。そしてここも簡単にスライディングで飛び込んでしまい、あっさりとラームに突破を許してしまう。エンドライン際からラームが折り返した早いボールに走りこんだゴメスが押し込んで、ゴール。バイエルンが土壇場で勝ち越しを決めた。

 そのままのスコアでゲームは終了。ほぼ互角の条件で、第2戦を迎えることになった。


―SECOND LEG―
Rマドリッド  2−1 
PK2-3 
バイエルンM      
Cロナウド 6(PK)、14
ロッベン 27(PK)

 1stレグを落としたマドリッドは、この2ndレグ、左SBをコエントランからマルセロに代えて臨む。
 両チームともイエローカードを抱えリーチのかかっている選手が多く、そのあたりにも注意が必要となるゲーム。

前半

 ゲーム開始からマドリッドが攻める展開。バイエルンは度々ファールで止めることを余儀なくされる。
 5分、マドリッドは左サイドのスローインからマルセロが縦に仕掛け、そして逆サイドのディ・マリア目掛けて大きなクロスを上げる。ディ・マリアはこのボールを直接ボレーシュート。これがコース上にいたアラバの腕に当たって、マドリッドにPKをもたらした。さらにアラバはイエローを受けてしまい、次の試合出場できなくなってしまった。
 手に入れたPKをCロナウドがきっちり決めて、マドリッドが先制。しかしこの失点の後、バイエルンは緊張が解けたのか、落ち着きを取り戻す。

 8分にバイエルンの反撃。センターライン左サイドでアラバがボールをカット、そのまま一気に持ち込んでゴール前にクロスを放り込む。ここにロッベンが走り込んだが、合わせるだけのシュートをミス。ボールはクロスバーを超え、絶好のチャンスを逃してしまった。
 14分のマドリッドの攻撃。バイエルン陣内でパスを回して隙を探していたところ、クロースがカットにいったボールがそのままエジルヘのパスとなる。エジルがワントラップからゴール正面フリーで待ち構えていたCロナウドへボールを送ると、Cロナウドはきっちりゴール左にシュートを流し込み、マドリッドが2-0と一歩リードを広げた。

 その後、一進一退の攻防を繰り広げる両チーム。そんな中、バイエルンが仕掛けた26分のカウンターのシーンで、右に開いたクロースのセンタリングに飛び込むゴメスをペペが背後から突き倒したとして、今度はバイエルンにPKが与えられた。
 キッカーは、国内リーグ天王山のドルトムント戦でPKを外し、この日もビッグチャンスを決めきれなかったロッベン。大きく深呼吸した後、ゴール左下を狙ったシュートは、反応したカシージャスに触られたうえにゴールポストを叩いたが、そのままゴールイン。際どかったもののバイエルンが1点を奪ったことで、2試合合計で全くのタイスコアで並んだ。

 31分のマドリッド。ベンゼマが左サイドでパスを受けると、Pエリア内に持ち込んでDFの隙間からシュートを狙ったが、わずかに右に外れる。
 34分、最終ラインの裏を狙うゴメスにクロースからスルーが入り、Pエリア内でキーパーと1対1のチャンスを迎えたが、ゴメスのシュートは待ち構えるカシージャスの正面となり、難なくクリアされてしまった。
 前半終了直前に、ロッベンのドリブルをペペが倒したとして、バイエルンにPアーク内でのFKが与えられる。これをロッベン自ら壁の間からねじ込むようにゴール左を狙ったが、カシージャスが横っ飛びの素晴らしいセーブでこれをクリア。直後にハーフタイムのホイッスルが鳴った。

後半

 後半も一進一退の攻防が続くが、全くのタイスコアという状況で両チームとも失点を恐れてか、強引に攻め込むまでには至らずに決定的なシーンがないまま時間が過ぎる。
 75分、マドリッドはディ・マリアを下げてカカを投入。
 86分のバイエルンの攻撃。左サイドのアラバから1つ内側のロッベンに対しPエリア内へスルーパスが入ると、ロッベンはこれをダイレクトでゴール正面のゴメスへと送る。ゴメスはフリーの状態だったが直接シュートは打たず、寄せてきたケディラをかわそうとトラップ、しかしその結果Sラモスにも詰められてしまい、打ちきれずに終わってしまった。
 緊張感を持ったまま、ロスタイムの2分も経過。90分間のゲームは2-1のスコアでマドリッドの勝利で終了。そして2試合合計でイーブンのスコアとなり、延長戦へと突入する。

延長前半

 延長前半も公判同様の展開。95分、バイエルンはリベリを下げてミュラーを送り右MFに、ロッベンが左に移動。
 マドリッドはクラシコをこなしてきた疲れもあってか、プレーの精度が少しずれ始め、決定的なシーンまで至らなくなってきた。
 バイエルンも疲れたのか、102分にグスタボが、104分にはバドシュツバーがイエローを受けて、いずれも次の試合出場停止となってしまった。
 直後にホイッスル。残り時間は、あと15分。

延長後半

 延長後半スタートから、マドリッドはここまで頑張ったベンゼマを下げてイグアインを投入。するとすぐにバイエルンのグスタボに対し中盤でイグアインがプレッシャーをかけ、パスミスを誘う。ボールを拾ったCロナウドがドリブルに入ったところを、累積のイエローがあるラームが少し後方からスライディングでカット、リスクを冒したディフェンスでピンチを救う。
 残り10分を切ったところでエジルに替えてグラネロを入れたモウリーニョ監督。
 118分、バイエルンの攻撃をマルセロがPエリア内でカット、そのままドリブルで持ち上がって3人を抜き、中盤から前線のイグアインへパスを送る頑張りを見せたが、イグアインはオフサイドだった。
 残り1分を切ったところでバイエルンのCB、ボアテングが足をつり、バイエルンがボールを外に。このボールが中に入ることなく延長戦が無得点で終了。ついに決着はPK戦へと持ち越されることになった。

PK戦

 運命のPK戦、先行はバイエルン。カシージャスが待ち構えるゴールに向かう1番目のキッカーは、以外にも左SBのアラバ。
 思いっきりゴール右に蹴り込むとカシージャスは反対に飛んで、まずバイエルンが1本決めた。
 後攻のマドリッドは、キーパーのノイアーに対していきなりCロナウドを持ってきた。この日1本PKを決めているCロナウドは、ゆっくりしたステップから鋭く右足を振り抜きゴール左を狙うもややコースが甘く、同サイドに反応したノイアーが素早いボールを見事右腕でブロック。スーパーセーブで1本目を阻止した。1-0。

 バイエルンの2番手はゴメス。単調な助走からのシュートはコースも甘かったがカシージャスの逆を突く形となって、成功。
 マドリッドの2番手、カカ。やはり素直な助走から左下を狙ったが、ノイアーが再びワンハンドブロック。マドリッドは2連続で失敗してしまう。スコアは2-0。

 3人目。バイエルンはクロース。ゴール右を狙ったシュートを今度はカシージャスがきっちりと止めて、反撃開始。
 マドリッドはシャビ・アロンソ。左手にとんだノイアーに対して勇気をもって真ん中に放り込み、ようやく1本決める。これで2-1。

 いよいよ4番手。バイエルンは右SBのラーム。浮かせたボールはコースが甘く、しっかりとボールを見てカシージャスが左手でブロック。バイエルンも失敗が2になった。
 ここで後攻のマドリッドが決めれば有利となるところ、マドリッドの4人目は攻撃陣ではなく、CBのセルヒオ・ラモス。モウリーニョ監督がひざまずいて見守る中、セルヒオ・ラモスは一つフェイントを入れた後に思いっきり右足を振りぬいたが、大きくクロスバーを越えてしまう。ここまでのスコアは2-1で変わらず、ついに最後の5人目を迎える。

 バイエルンの5番手はシュバインシュタイガー。これを決めるとバイエルンが勝ち抜けとなるシーンで、慎重にボールを置いた後、カシージャスの方を見ないまま真ん中やや左にシュートを蹴り込むと、カシージャスは逆に反応してこれを止めることができず、ゴールが決まった。

 この結果、決勝が行われるホームスタジアムにバイエルンが進むこととなり、マドリッドは宿敵バルセロナ同様、準決勝で敗退することとなった。


―TOTAL―
バイエルンM  3−3 
PK3-2 
Rマドリッド 



 
 






―FIRST LEG―
チェルシー 1−0  バルセロナ
ドログバ 45+2

 雨の中でのゲーム。3シーズン前の準決勝でも顔を合わせている両チーム。その時は1-1のタイスコアながら、アウェーゴール差でバルセロナが決勝へと進んだ。
 ホームのチェルシーは直前のゲームでCBダビド・ルイスが足を痛めてしまい、欠場。トップにはドログバ、両脇をマタとラミレスが務める。ベンチには、トーレスをはじめ、エッシェン、ボジングワ、スターリッジらが揃う。
 一方のバルセロナはメッシ、サンチェス、セスクの組み合わせ。ピケ、ペドロ、ケイタ、クエンカらがベンチスタート。

前半

 ゲーム開始から、チェルシーはボールを支配するバルセロナに対して引いて待ち構える、準々決勝のACミランと同じ姿勢で臨む。バルセロナにボールを回させ、守備陣形の外へは奪いには行かず誘いに乗らない。そしてバルセロナが踏み込んで来たところを人数をかけてチェックする。
 そのためバルセロナに圧倒的にボールを回されるも、3分、7分と縦のボールにドログバが抜け出しチャンスを作りかけ、場内は大いに沸く。
 一方のバルセロナは9分、チェルシーがやや前掛かりになったところを突き、イニエスタが最終ラインの裏に放り込んだボールにサンチェスが反応、寄せてきたキーパーのツェフをかわすように浮かしたシュートを放ったが、これは惜しくもクロスバーを叩いた。
 17分にはバルセロナの波状攻撃。まずメッシがPエリア左サイドをドリブルで強引にこじ開けてから、後ろのイニエスタに戻すと、イニエスタはダイレクトシュート。ツェフが体を倒して弾き返したボールを、今度はセスクが反応したが、枠を捕らえ切れず。
 27分前後には、セスクの左足、メッシのヘッドとシュートが続いたが、いずれもツェフに防がれる。
 ここまでメッシが目立つシーンは数えるほどで、チェルシーの守備が効果的とも言える。
 42分、自陣でのメッシの粘りあるボール奪取から、バルセロナがカウンター。ドリブルでメッシが持ち込み、Pエリア前で並走するセスクへパスを通す。飛び出すツェフに対しチップシュートを狙ったセスク。ボールはツェフの脇を抜けたが、ゴールイン直前で戻ってきたAコールにかき出されて、これもゴールならず。
 絶好の時間帯で、さらに圧力を強めるバルセロナ。しかしロスタイム、中盤でランパードがメッシからボールを奪うと、チェルシーが反撃。左サイドを上がるラミレスへパスが通ると、バルセロナのDF3人がつられてしまう。そこでラミレスが中央へボールを折り返すと、DFの隙間を縫ってファーサイドのドログバに通って左足を一閃。効果的な時間帯に、見事カウンターから先制点を奪った。

後半

 後半開始からほとんどの時間をチェルシー陣内でゲームが進む。
 56分、引いたチェルシーに対して、バルセロナはボール回しから右のサンチェスが中央のセスクにボールを預けPエリアにダッシュ、セスクからDFの頭を越す浮き球のパスが返ってチャンス。ワントラップからシュートに持ち込んだが、対峙するツェフのプレッシャーとAコールのチェックもあってか、右へと外してしまった。
 残り25分を切ってからグアルディオラ監督が交代のカードを使い出すも、1点ビハインドの状況でリスクを取ることなくペースを変えず、チェルシーの思い通りな形で時間が過ぎる。
 バルセロナが87分に得たFKで、メッシがゴール前に入れたボールをプジョルが頭で流しゴール左を狙ったが、ツェフが横っ飛びで弾き出す好セーブを見せゴールを守る。
 ロスタイムでもバルセロナにビッグチャンス。チェルシーが固める守備陣形の外から、メッシがドリブルからPエリア内に走りこむブスケッツに早いパスを通すと、ブスケッツは溜めた後に走り込んで来るメッシへヒールを使ってボールを戻そうとする。ここはテリーがスライディングでクリア、メッシの突破は防いだが、こぼれ球をペドロがゴール正面やや左の位置からゴールの逆サイドを狙いダイレクトシュート。しかし惜しくもポストを叩いてしまい、跳ね返りがブスケッツの足元に来たが、ブスケッツもシュートをふかし、得点に至らず。

 決定的なシーンをしのいだ直後、試合終了のホイッスルが響き、第1戦はホームのチェルシーがバルセロナを完封で倒すことに成功した。


―SECOND LEG―
バルセロナ 4−1  チェルシー
ブスケッツ 35
イニエスタ 43
ラミレス 45+1
トーレス 90+2

 1stレグに続き、直後の国内リーグ天王山、マドリッドとのクラシコをも落としてしまったバルセロナ。守備的に来るであろうチェルシーのゴールをこじ開けるために、今日はメッシ、サンチェス、セスク、そしてクエンカを前線に持ってきた。中盤をシャビ、イニエスタ、ブスケッツ。プジョル、マスチェラーノ、そしてこのところ外されていたピケが最終ラインに入り、ゴールを守るのはいつも通りバルデス。Dアウベスがベンチからのスタートとなった。
 対するチェルシーは、直前のアーセナルとのゲームに1stレグから8人の主力を温存してのスコアレスドロー。この日はドログバをトップに、右にマタ、中央ランパード、左にラミレスの攻撃陣。ミケルとRメイレレスが守備的MF、イバノビッチ、ケイヒル、テリー、Aコールの4バックに、キーパーはツェフ。

前半

 立ち上がり早々のチェルシーは前回同様守備ブロックを作って応じるも、少し位置は高め。すると3分、バルセロナは中盤のブスケッツが前線のサンチェスに縦パスを入れると、そのボールをすぐ横のメッシとダイレクトにワン、ツー、スリーとパス交換、DFを翻弄してメッシがPエリア内に抜け出してチャンス。しかし右足でのシュートは枠を捕らえられず。
 8分、チェルシーにアクシデント。DFケーヒルがピッチで足を滑らせてハムストリングを痛めてしまう。一瞬、交代を見送りかけたベンチだが、12分に交代でボジングワがピッチに入った。
 一方のバルセロナも16分、相手キーパーからのロングボールを追い掛けたピケがPエリア内でバルデスと交錯、頭を強打してしまう。脳震盪を起こしたピケは一度はピッチに戻ったものの、25分にOUT、DアウベスがIN。

 19分、ボールを持ったメッシがポストに入ったセスクのヒールを使ったワンツーでDFラインを突破したが、シュートはツェフにブロックされてしまう。
 そして35分、バルセロナが均衡を破る。バルセロナが得た右CKからの流れで、パスを受けて左サイドをクエンカが持ち込みゴール前へ折り返すと、待ち構えていたブスケッツが無防備なゴールにボールを押し込み、バルセロナが先制。これで、トータルでイーブンとなった。

 さらにその直後、チェルシーのテリーがボールのないところでサンチェスの背後から膝蹴りを見舞い、一発レッド。チェルシーは一人少なくなってしまう。
 ばたつくチェルシーは引き続きドログバを前線に残し残りで守る形を取るが、バルセロナに翻弄される。すると43分、チェルシーが前掛かりになっていたところでRメイレレスがパスをカットされ、バルセロナにカウンターを受けてしまう。途中ボールを受けたメッシがドリブルで注意を引き付けて左前方のイニエスタへパス、タイミングを合わせて抜け出したイニエスタは丁寧にゴール右にシュートを流し込み、バルセロナが連続得点でリードを奪った。

 怒涛の前半終盤。しかしまだ終わらない。
 直後にはラミレスがイエローを受け、次の試合は出場停止に。
 ロスタイム、チェルシーはバルセロナの攻撃をしのいで攻撃に転じると、中盤でランパードがチェックを受けながらも前方に駆け上がるラミレスに対しパスを通すことに成功する。Pエリアでボールに追いつきざまラミレスがループシュートを放つと、見事バルデスが伸ばす手を越えて無人のゴールに飛び込んだ。
 これでトータルスコアで並んだチェルシーは、アウェーゴールにより半歩リードを奪い返すことに成功して、ハーフタイムへ。

後半

 後半は開始直後からチェルシーのPエリア付近で試合が進む。そして48分、セスクがメッシとのワンツーで抜け出そうとしたところでドログバが伸ばした足に引っ掛かり、バルセロナが絶好の時間帯にPKを手に入れる。
 ここで抗議をしたイバノビッチがもったいないイエローを受け、次の試合に出れなくなってしまった。
 そしてキッカーはメッシ。狙った右サイドはツェフの反応と同サイドだったこともあってか、ややシュートが高くクロスバーに当ててしまい、このチャンスを逃してしまう。しかし、まだ時間は40分以上を残す。
 ドログバを含め、10人全員で守るチェルシー。56分には右サイドで守っていたドログバがクエンカからボールを奪うと、そのままドリブル。対峙したプジョルを巧にかわしてセンターラインから強烈なロングシュート。バルデスに横っ飛びのセービングを強いた。
 追い掛けるバルセロナは、一人少ない上に引いて守るチェルシーに対し、残り30分となって攻め急ぐシーンが目立つようになる。これをチェルシーは、ツェフを中心に集中してよく耐える。また、ドログバが効果的に相手からボールを奪って時間を費やし、バルセロナを苛立たせる。
 71分にはボールを失ったメッシがランパードを抱え込んで、珍しくイエローカード。
 残り10分となって、ドログバがお役御免。トーレスがピッチに入る。
 何度となくハーフサイドでの攻撃を繰り返すバルセロナ。82分、メッシのパスを受けたDアウベスの折り返しをサンチェスがゴールに突き刺したかに見えたが、Dアウベスがオフサイド。
 その1分後にゴール正面やや右からメッシが放った強烈な低いシュートは、右のポストを叩く。
 89分、マスチェラーノに足をかけてしまったRメイレレスにイエロー、これで次の試合の出場停止は4人となってしまった。


 ついに試合はロスタイムへ。すると、チェルシーはAコールの大きなクリアボールが、前に残って狙っていたトーレスへと渡って、センターラインからキーパーと1対1の独走状態に。Pエリアギリギリまで出てきたバルデスに対し、トーレスはボールを右に捌いてきっちりかわすと、無人のゴールへとボールを流し込んだ。
 決定的な1点がチェルシーに入って、ディ・マッテオ監督も喜びを爆発させる。

 もはや望みを絶たれたバルセロナだったが、一瞬呆然とした空気に包まれたカンプ・ノウのサポーターからは、わずかな残り時間も大きな声援が送られる。
 そしてホイッスルが鳴り響き、満身創痍のチェルシーがバルセロナを敗って、決勝進出を決めた。


―TOTAL―
チェルシー 3−2  バルセロナ