〜 決勝 〜

'12/05/19
ドイツ ミュンヘン、 アリアンツ・アレナ





バイエルン・ミュンヘン  1−1 
(PK 5-6)
チェルシー      
ミュラー 83 ドログバ 88

 11-12シーズンのファイナル、スペインのビッグクラブをそれぞれ準決勝で倒して、ドイツのバイエルンとイングランドのチェルシーの顔合わせとなった。
 UCL初の、ファイナル進出チームのホームスタジアムで行われる、決勝戦。そのホームゲームとなるバイエルンは、当然ながら勝利が義務付けられる。
 一方のチェルシーは、07-08シーズン以来2回目の決勝進出で初優勝を目指す。国内リーグを6位で終えたため、来シーズンもUCLに出場するためには優勝するしかない。クラブ運営にも大きく影響するため、こちらも譲れないところ。

 バイエルンの監督、ユップ・ハインケスは、Rマドリッドでビッグイヤーを獲得した経験を持つ。
 チェルシーの暫定監督、ロベルト・ディ・マッティオはビラス・ボアスから監督を引き継いで以降、不調だったチェルシーを見事立て直しここまでたどり着いた。

 バイエルンはバドシュトゥバー、グスタボ、アラバを出場停止で欠く。一方のチェルシーはテリー、イバノヴィッチ、Rメイレレス、ラミレスといった主力級が出場停止。

 ホームのバイエルンはほぼベストメンバー。ゴメスをトップに、左にリベリ、右ロッベン、トップ下をミュラー。ボランチにシュバインシュタイガーとクロース。最終ラインの中央をボアテンクとティモシュクが務め、右SBラーム、左SBはコンテント。キーパーは、ノイアー。
 ベンチにはラフィーニャ、プラニッチ、オリッチのほか、日本人初として宇佐美も名を連ねた。

 一方のチェルシーはドログバが先発。トップ下をマタ、右MFにカルー。左はバートランドが入る。ボランチはランパードとミケル。CBは怪我から戻ってきた二人、ケイヒルとダビド・ルイス。左SBにAコール、右SBをボジングワ。キーパーはツェフ。
 チェルシーのバートランドは本職は左SB。ラームとロッベンを警戒した起用といえる。

ベンチメンバーはチェルシーの方が豊富か、トーレスを筆頭にスタリッジ、マルダ、エッシェンらが控える。


前半

 試合開始直後の騒然とした雰囲気の中、バイエルンのシュバインシュタイガーが何でもないところで手を出しハンド、いきなり2分にイエローを受ける。
 アウェーとなるチェルシーは守備的に入り、結果、バイエルンに多くのシュートを打たれることになる。
 それでも序盤は、攻撃の際には中盤から押し上げてバイエルン陣内にボールを運ぶ。
 バイエルンはやや攻め急ぎが感じられるものの、いつも通りの入り。
 18分にバイエルンが3本のCKを立てつづけて得るが、生かすことができず。
 21分には左サイドでロッベンとリベリでパスを回しつつチェルシーの守備ブロックの隙をうかがうと、ドリブルでロッベンがリベリをスクリーンに使ってPエリアにうまく持ち込みシュートを放つ。しかしGKツェフが右足でブロック、ボールはゴール左上のポストを叩いてピッチの外へ。
 35分すぎ、リベリのスルーパスにコンテントが左サイドを抜け出してダイレクトクロス、これをゴール正面に走り込んだミュラーがボレーで合わせたが、ボールはゴール左に外れてしまった。
 その1分後にはチェルシーにチャンス。中盤右サイドでボールを奪うと、パスを繋いで右サイドバートランドから中央ドログバへクロスが入る。ドログバはこれを後ろ足で後方のランパードヘ落とし、さらにランパードから右のカルーヘとつないで最後はカルーがニアサイドを狙ってシュート。流れるような攻撃だったが、このシュートはキーパーにキャッチされた。
 このままスコアレスで前半は終了。
 ここまでシュート数ではチェルシーの2に対しバイエルンが13と上回っているものの、ホームチームへの戦いをしているという意味では、決してチェルシーもバルサ戦のように引きすぎているわけではなく、拮抗した内容だった。


後半

 後半もメンバーは変わらずスタート。
 48分、上がりかけたコールの裏をロッベンが取って抜け出しバイエルンにチャンス。ダビド・ルイスが引き出されて中央が手薄になったが、ロッベンがそのまま右サイド深いところから右足でクロスを狙ったところ、戻ってきたAコールかコースに入ってブロックし、見事カバーした。
 53分、めずらしくチェルシーがバイエルン陣内に攻め込んだところを、逆にバイエルンがカウンター。左に開いたミュラーがドリブルで持ち込み、Pアーク上のロッベンへマイナスのパス。ロッベンがダイレクトで狙ったシュートはAコールがブロック、こぼれたボールをリベリがゴールに押し込んだが、これはオフサイドで得点にはならなかった。
 59分のバイエルン、ゴール正面でボールを受けたロッベンがシュートに行ったが、Aコールがスライディングでブロック。
 このあたりから流れは徐々にバイエルンに。チェルシーは中盤をシュートカットした縦パスがふえ、しかし前線でボールが収まらなくなり、守りで堪える時間が多くなる。必然的に、バイエルンのシュートやCKの数が増えてくる。
 そんな流れの中でも72分にはチェルシーにチャンス。左に開いたドログバにボールが入ると、背後に着いたティモシュクを一瞬でかわして持ち込みゴール前にパスを送る。つながればゴールというところ、なんとかコンテントがクリアし守る。
 その直後、チェルシーはバートランドを下げて、マルダを投入する。
 81分、Aコールがミュラーの足を引っ掛けて、イエロー。
 バイエルンは82分、右サイドのロッベンがゴール前にクロスを放り込んだところを、ミュラーがヘッド。ここはツェフがキャッチしたが、1分後にも左からクロースがファーサイドめがけてクロスを放り込み、ミュラーがヘッド、叩きつけられたボールがバウンドしてツェフの頭上を破り、絶好の時間についにバイエルンが均衡を破った。

 攻めなければならないチェルシーは、カルーに替えてFトーレスを投入。マタも含め、攻撃陣が前線に張るフォーメーションに変更する。
 86分、ダビド・ルイスがロッベンを引っ掛けてイエロー。
 87分、バイエルンは点を取ったミュラーに替えて、故障明けのファン・ブイテンを投入。ティモシュクを中盤に上げる。
 88分、Fトーレスの仕掛けから、この試合初めてのCKをチェルシーが右サイドで得る。このチャンスにマタが蹴り込んだボールを、ドログバがニアサイドに走りこんでヘッド。鋭いボールがバイエルンゴールに飛び込んで、土壇場で同点とした。

 ロスタイム2分、チェルシーはマタがリベリに倒されて、ゴール正面やや右、25mほどのところでFKを得る。ドログバが狙ったが、上空に大きく外してしまった。このままロスタイムの3分が経過し、決着つかず延長戦へ。


延長前半

 後半終了時のメンバーで延長開始。
 後半終了時の勢いそのままに、序盤はチェルシーがバイエルン陣内に攻め込み、シュートも放っていく。
 しかし延長前半3分、リベリがPエリア内で仕掛けたところをドログバが後ろからチェックに行ってファールとなり、バイエルンにPKを与えてしまう。
 キッカーは、ややPKに不安のあるロッベン。ゴール右を狙ったがツェフが読んでブロック、決定的なチャンスを逃してしまう。

 このPKを誘ったプレーで足をつってしまったリベリは交代。オリッチが代わりに入った。
 両チーム疲れのため、中盤を省略したパスが増え、ミスパスも出てきた。
 スコアは変わらず、15分の前半を終了。


延長後半

 延長後半7分、右サイドをラームがえぐってニアサイドのゴメスに折り返したが、ケーヒルが体を張ってゴメスをブロックしシュートを許さず。
 全体的に間延びし、流れも停滞気味。
 そしてそのまま試合終了。結局120分を経過し決着つかず、PK戦へ。


PK戦

 チェルシーにとっては07-08シーズンに続き、またもや優勝の行方をPK戦にゆだねることとなった。前回はマンチェスターUTDに敗れている。
 バイエルンは準決勝でRマドリッドをPK戦の末、倒してきている。
 コイントスの結果、バイエルンサポーター側のゴールを使い、バイエルン先攻、チェルシー後攻となった。

 バイエルン1人目はラーム。ゴール右を狙ったボールにツェフが反応し触ったものの、ゴールイン。成功。
 チェルシーの1人目はマタ。同じくゴール右を狙ったところをノイアーが反応、見事弾きだして失敗となる。
 まず、バイエルンがリード。

 バイエルン2人目はゴメス。やはり右隅を狙い、ここもツェフに反応されたが決まって、成功。
 チェルシー2人目はダビド・ルイス。ゴール右上に豪快にけり込み、成功。

 バイエルン3人目のキッカーは、なんとGKのノイアー。疲れのない選手を起用してきた。長い助走からゴール左にシュート。またもやツェフの反応と同サイドだったが、無事成功。
 チェルシーはランパード。ゴール正面上に強烈なシュートを叩きこみ、成功。

 バイエルン4人目はオリッチ。ここまで読みがすべて当たっていたツェフは、オリッチの右を狙ったシュートを右手で弾きだすスーパーセーブ。オリッチ失敗。
 チェルシーはAコール。ゴール右隅にしっかり決めて、成功。これでスコアはイーブンに。

 バイエルン5人目、シュバインシュタイガー。ゴール右を狙ったところ、ツェフが5本連続でこれも見事反応して触ると、ボールは右ポストを叩いて失敗。
 チェルシー最後のキッカーは、ドログバ。短い助走で落ち着いてノイアーの逆を突いてゴール左に流し込み、この瞬間にチェルシーが初優勝を成し遂げた。

 これで、国内カップ戦との2冠を達成。国内リーグは6位という順位だったが、これで来期もUCLに参加する資格を得た。
 出場停止だったテリーとラウール・メイレレスもピッチに下りてきて、優勝の喜びを分かち合った。
 バイエルンにとってはホームスタジアムでの決勝での優勝ならず、国内リーグ、カップ、そしてUCLと、すべてのタイトルを2位で終わることとなった。