〜 準々決勝 〜

'11/04/5,6 第1戦
'11/04/12,13 第2戦


Rマドリッドvsトッテナム  インテルvsシャルケ

チェルシーvsマンチェスターU  バルセロナvsシャフタール


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―FIRST LEG―
Rマドリッド 4−0       トッテナム
アデバイヨール 4、57
ディ・マリア 72
Cロナウド 87

 本当に久しぶり、7シーズンぶりとなる、準々決勝を迎えるRマドリッド。対するトッテナムは初のUCL出場でここまできた。
 ホームのマドリッドは、調子を上げていたベンゼマが怪我で離脱してしまった。今日はアデバイヨールが先発。
 トッテナムはクラウチをトップに配す。右MFで先発リストに上がっていたレノンだが、直前に体調不良で離脱するアクシデント、ジーナスが急きょ先発に入った。

 立ち上がりのトッテナムは長身のクラウチにロングボールを集める展開。ある程度中盤はマドリッドに譲る形。すると4分、右CKを得たマドリッドは、ゴール前で競り勝ったアデバイヨールがヘディングシュートをたたき込み、欲しかった先制点を早い時間帯に奪い取った。
 いきなりプランが狂ったトッテナム。これでペースを乱されたのか、8分にFWクラウチが前線でボールを奪おうとした危険なスライディングで、早くもイエローカードを受けてしまった。このバランスを取るためか、マドリッドのアデバイヨールにもそれほど悪質でないプレーで12分にイエローカードが示される。
 それでも、やや過剰なくらいに守りを固めるトッテナムは失点の動揺を引きずったまま切り替えることができず、15分、またもやクラウチが前線でスライディングを見舞って、なんと2枚目のイエローカードで退場に。イエローカード2枚による退場の最速記録という不名誉な記録を作ってしまい、わずか15分で、試合が壊れた。
 トッテナムは全員が自陣に戻り、Rマドリッドの攻撃を辛抱強く耐える。マドリッドの左SBのマルセロは、左ウィングのように前に張ったままとなり、CBのペペとRカルバーリョ、ボランチのシャビ・アロンソとケディラが守る形。
 トッテナムにようやく訪れたチャンスは30分、自陣深い位置から左前方へのロングボールにSラモスの裏を取ったベイルが反応、胸トラップでゴールへ向かうと、寄せてきたCBペペをかわすようにPエリア左に侵入してシュートまで持ち込んだが、ボールはネットの外に突き刺さった。

 マドリッドは32分にダイナミックなプレー。左のマルセロが右サイドのSラモスめがけ、鋭いロングクロスを放り込む。ショートバウンドする難しいボールをダイビングヘッドで折り返したSラモス。ここにファーサイドでアデバイヨールが飛び込んだが、ヘディングはやや届かず惜しくも流れてしまった。
 36分、左のベイルに絶妙なボールが出たところへペペがスライディングを仕掛けるが、足をかけてしまってイエローカード。これでペペも次節は出場できなくなった。
 42分、マドリッドは左のCロナウドからの浮き球を受けたディ・マリアがPアークからシュート。このボールが寄せに来たCBドーソンに当たったが、笛は吹かれず。

 後半、トッテナムはなんと攻撃の選手FWデフォーを投入、代わりにファン・デル・ファールトを下げてスタートしたが、自陣ゴール前に釘付けとされる。辛うじて気を吐くのは左サイドのアス・エコトとベイルくらい。
 57分にはPエリア内左サイドからマルセロが上げたクロスを、ゴール正面のアデバイヨールにこの日2点目となるゴールを頭で押し込まてしまう。
 勢いづくマドリッド。1分後にはマルセロの左からの絶妙なクロスにケディラがダイビングヘッドを狙ったが、わずかに届かず。
 66分、右後方から放り込まれたボールを高い打点のヘディングできっちりゴールを狙ったきたアデバイヨール。ここはキーパーがパンチングで3得点目を防ぐ。
 72分のエジルのミドルシュートも弾き返したGKゴメス。だが、そのボールを再びマドリッドに拾われて回された挙げ句、右のディ・マリアに狙い済ましたミドルシュートを逆サイドのゴール左上に叩き込まれ、試合を決する3点目を喫した。

 残り10分を前に、マドリッドは故障明けのイグアインとカカを投入。対するトッテナムはコルルカが足を痛めて交代を余儀なくされてしまう。
 駄目押しは87分、トッテナムのPエリア周辺でマドリッドが細かいパスをつなぎ、隙を突いてカカがPエリア内左サイドから右サイドのCロナウドへボールを放り込むと、Cロナウドは右足のダイレクトボレーでゴメスの足元からシュートを叩き込んだ。

 このまま4-0のスコアで試合終了。第1戦はRマドリッドの完勝となった。


―SECOND LEG―
トッテナム 0−1  Rマドリッド
Cロナウド 50

 大敗を受けてのトッテナムのホームゲーム。出場停止のクラウチに代わりパブリュチェンコのワントップ。
 一方のRマドリッドはアデバイヨールを先発起用。トップ下をエジル、右にCロナウド、そして左MFにマルセロを持ってきた。ベンゼマ、ディ・マリア、カカといったところがベンチに控える。
 試合立ち上がりから質の高いパスワークを見せるマドリッドは、早くも3分にアデバイヨールとのワンツーでPエリア内右サイドにエジルが抜け出しチャンスとなるが、シュートは甘く、GKゴメスにセーブされる。
 直後に逆襲に転じたトッテナム、左のベイルにボールが渡ると、瞬発力のあるドリブルでセルヒオ・ラモスをかわしてPエリアに入ったところでシャビ・アロンソのチェックで倒されにいったが、さすがにホイッスルは鳴らず。
 6分にもインターセプトから左のベイルにロングパスを放り込んだトッテナム。またもやベイルはキレのあるドリブルでSラモスを簡単にかわしてPエリアに持ち込むと、今度はシュート性のパスを放り込んだがGKカシージャスがブロック。こぼれたボールをモドリッチが拾ったところで倒れたが、これもPKとはいかなかった。
 10分を過ぎる頃には、ボールはよく動くもののチャンスが作れないようになってきた。
 27分、トッテナムはファン・デル・ファールとのスルーに右サイドをレノンが抜け出すと、Pエリア内でマイナス気味のパスを選択。このボールに走り込んだパブリュチェンコがゴール正面から狙ったが、大きく外してチャンスを潰してしまう。
 前半は無得点のまま終了。

 後半も拮抗した緊張感のある展開で始まったが、50分にCロナウドが意表をついてミドルシュート。これをGKゴメスがイージーに両手だけで処理にいった結果、無回転による変化に対応仕切れずハンブル、こぼれたボールがゴールに転がり込んで、トッテナムは非常に厳しい1点を献上してしまった。

 58分のトッテナム。ファン・デル・ファールトがPエリア内右サイドでボールを貰い、粘ってからゴール前にふわりとしたボールを折り返すと、フリーのパブリュチェンコが頭で狙ったが精度悪く、クロスバーを超えてしまった。
 マドリッドはセルヒオ・ラモス、Cロナウドとカードが貯まっている選手を早めに交代。
 74分、トッテナムに右CKからチャンス。ファン・デル・ファールトが左足で蹴りこんだインスイングのボールは、ファーサイドのデフォーへ。角度のない位置から頭で押し込もうとしたが、ポストに弾き返されてしまった。
 終盤はさすがに両チームペースが落ち、このままスコアが動くことなく試合終了。マドリッドが2連勝でトッテナムを下し、ベスト4に進出した。


―TOTAL―
Rマドリッド 5−0  トッテナム



 
 






―FIRST LEG―
インテル 2−5  シャルケ
スタンコヴィッチ 1
Dミリート 34
マティプ 17
エドゥ 40、75
ラウール 53
ラノッキア 57(own)

 UCL史上初の日本人対決が、ベスト8の舞台で実現。
 右SBを内田が務めるアウェーのシャルケは、先日監督が解任されたばかり。DFのメッツェルダーは鼻の骨折で不在。前線ではフンテラールとガブラノヴィッチを怪我で欠くため、ラウールとエドゥの2トップで臨む。
 対するインテルはUCLの歴史でわずか2例目となる、決勝トーナメント1回戦のホームゲームを落としたうえでの逆転勝ち上がりを演じている。ただし直前の国内リーグ戦では、ACミランとの天王山を、キブの退場などもあって完敗している。今日は怪我から復活してきたDミリートをエトーと組む2トップに起用。こちらも最終ラインのルッシオが出場停止で不在。ふくらはぎを痛めているキブがCB、サネッティが左SBに入り、長友はベンチスタートとなった。

 試合は開始30秒足らずで、いきなりインテルにスーパーゴールが生まれる。自陣左サイドでボールを奪ったカンビアッソが、トップのミリート目掛けシャルケDFラインの裏にロングボールを放り込む。抜け出たミリートにボールが渡る直前、GKノイアーがPエリアを飛び出して頭で大きくクリアするファインセーブ。だが、センターサークルまで跳ね返されたボールをスタンコヴィッチがダイレクトボレー、鮮やかに無人のゴールにシュートを叩き込んだ。このゴールには、試合後にインタビューを受けた内田も「なかなか見れないようなシュート」としか言いようがないものだった。
 落ち着きたいシャルケ。ここでさすがのラウールが献身的に低い位置まで守備に回り、インテルのペースを乱す。すると4分、シャルケが攻め込んで右を上がりフリーとなった内田へボールが渡ると、ニアサイドに絶妙なクロスが蹴り込まれる。ここにラウールがうまいタイミングで飛び込んだが、ヘディングシュートはわずかにゴール右だった。
 ラウールは続く6分にも、インテル陣内でのボール回しから右のファルファンがファーサードのラウールにクロスを放り込んで、GK正面となるヘディングシュートを見舞う。
 その後もシャルケが何度か攻め込みフィニッシュで終わるなど、早すぎる時間での失点は引きずらずに済んだ。
 すると17分、左CKを得たシャルケは、キックの瞬間に皆がニアサイドへ殺到、ひとりパパドプーロスがバックステップでスタンコヴィッチのマークを外したところに、長めのボールが放り込まれる。パパドプーロスがゴール正面であわせたヘッドはGKセーザルが弾き返したが、ルーズボールをマティプが押し込んでシャルケが早くも同点に追いついた。
 DFラインを高く保つシャルケの裏を19分にDミリートが狙い、自陣からのロングボールをPエリアへ抜け出して受けようとしたが、内田がこれをよくカバーし先にタッチ、ピンチを救う。
 その直後、反撃したシャルケはファルファンの右からのクロスがDFに当たってファーサイドに流れたところへフラードが詰めたが、シュートはGKにブロックされた。
 1分後、インテルはエトーがシュートをシャルケゴールに押し込んだが、オフサイド。再三DFラインの裏を狙うミリートも、ことごとくオフサイドに引っ掛かってしまう。
 さらにインテルは、スタンコヴィッチが足を痛めて13分にハルジャと交代するアクシデント。
 ようやく34分、攻め込んだインテルは中央スナイデルからPエリア内右のカンビアッソへボールが放り込まれると、これを頭でダイレクトで落とす。ここにうまくミリートが抜け出しており、シュートを押し込んで勝ち越しゴールを決めた。

 だが、この日のシャルケは攻撃の手を休めない。40分、カウンターからボールをつないだシャルケはエドゥーがスルーパスを受けて、やや右寄りからシュート。キブがスライディングした足に当たって浮き球となったボールに、いったん体を倒してしまったGKのセサールが左手を伸ばしてブロックするスーパープレーを見せたが、弾かれたボールを再びエドゥが滑り込みながらゴールへ押し込み、再び同点に追いついた。

 前半ロスタイム、シャルケはファルファンがイエローを受けて、次節出場停止となってしまった。このままタイスコアで後半へ。

 後半も開始1分をたたない時間帯にインテルにビッグチャンス。自陣左サイドでシャルケの攻撃を止めると、ハーフライン付近でボールをもらったスナイデルが反転直後、DFラインの裏を狙って動き出すミリート目掛けピンポイントのロングパスを放り込む。これを受けたミリートは、飛び出してきたノイアーを見極めシュートを放つ。だが、わずかに左へ外してしまい、絶好のチャンスを逃してしまう。
 その2分後にも決定的シーン。インテルがシャルケ陣内でボールをつなぎ、2列目やや右の位置でパスを受けたスナイデルからPエリア内のエトーへ、縦にスルーパスが通る。寄せてきたCBヘーベデスをエトーは中への柔らかい切り返しで見事かわすと、左足を一閃。しかしここでノイアーが素早く反応、左手1本で弾き出すビッグプレーでピンチを救った。
 この時間帯、インテルのペースだったが、ここで得点できなかったことで苦しい結果を招くことになってしまう。
 52分、インテルのキブがファルファンのドリブルを止めたプレーでイエロー、次節出場停止が確定。
 そしてこのリスタートの流れから、中盤右サイドにいた内田のエドゥへの攻めの縦パスから攻撃を組み立てると、中央にボールを運んだファルファンがPエリア内で待ち構えるラウールへ縦パスを入れる。ラウールは追いすがるCB2枚のチェックを振り切って、狭いニアのゴール右にシュートを決め、ついにアウェーで勝ち越しを決めた。
 また、このゴールでラウールの持つUEFAの大会通産ゴール記録を72に伸ばした。

 57分、右の一番低い位置から内田がまたもや早い縦パスを前線へと放り込み、攻撃の火ぶたを切る。受けたラウールは簡単にボールを落とすと、入れ替わるようにボールを受けたフラードが飛び出し右サイドを抜け出す。中にはCBラノッキア、その背後をエドゥが並走。フラードはPエリアに入ったところでゴール前にグラウンダーのボールを蹴りこむと、手前のラノッキアがスライディングでカットに行ったが、なんとボールをゴールに押し込んでしまい、4点目を献上してしまった。

 挽回すべくインテルはすぐさま攻め込むと、59分、Pエリア左サイドに残っていたエトーにボールが転がり出る。エトーはさらに持ち込んでからゴール前に早いボールを折り返すが、惜しくもミリートは1歩届かずチャンスを逃す。
 悪い歯車は止まらない。61分、エドゥが反転したところをひっかけたキブに、2枚目のイエローカード。キブは国内リーグに続き2試合連続で退場となった。レオナルド監督は怪我のスタンコヴィッチに代わって入っていたハルジャを下げる選択を取り、コルドバを投入。
 シャルケにはプレーに余裕が出てきた。64分にはインテルゴール前でのこぼれ球をフラードが正面から20Mのシュートを放ったが、惜しくも左ポストをたたいて枠の外へ。
 インテルが前掛かりに出てくると、しっかりと守備のラインを作って人数をかけてシュートをブロック、決定的なシーンを作らせない。
 75分、シャルケはインテル陣内でゆっくりとパスを回しチャンスをうかがうと、ファルファンが中央からラノッキアを突破、スライディングに来たコルドバが届く前にシュートを放つと、GKのセザールが逆を取られながらも足を延ばしてブロックする。跳ね返されたボールを再び拾ったファルファンは、すかさず詰めるセザールを左にかわして角度のないところからゴール前に折り返す。カバーに戻ったラノッキアが足に当てたボールはまたもやオウンゴールとなりそうだったが、左のポストに弾かれコルドバがキープ、ギリギリのところで耐える。
 しかし、この一連のプレーはまだ終わっていなかった。コルドバがクリアしたボールを再びシャルケが拾うと、Pアーク内でラノッキアを背負った状態のエドゥにボールが入る。すかさず反転したエドゥは豪快な左足シュートをゴール左に叩き込み、なんとシャルケに5点目が入った。インテルにとっては国内リーグACミラン戦に続く屈辱の3点差となってしまった。

 直後、インテルはモッタを下げて左SBに長友を投入。高めの位置を狙うため、内田とスペースが重なる。何度かゴール前にも顔をだし、クロスも放り込んだが、チャンスにはつながらない。
 守備でも気を吐く長友。91分には右サイドの内田が長友の背後に出たボールに反応したが、長友が快足を飛ばしてPエリア内でコースブロック、ゴールキックとする。
 93分に左からインテルゴール前にボールが放り込まれたシーンでは、ファーサイドで手薄となっていたところを長友が飛び込んでヘッド、ボールが相手のエドゥに飛んでヒヤリとしたが、インテルがクリアに成功した。
 試合終了直前、左サイドからエトーが仕掛け、Pエリア内からシュートを狙うも、ボールは右に流れてしまう。
 そして試合終了のホイッスルが響き、2対5のスコアでシャルケがインテルに完勝、アウェーゴール5点を手土産に、第2戦のホームゲームを迎えることになった。一方のインテルは少なくとも4点を取る必要があり、準決勝進出はかなり厳しくなった。


―SECOND LEG―
シャルケ 2−1  インテル
ラウール 45 ヘーベデス 81 モッタ 49

 すでに第1戦で勝負が決しているといっても過言ではない、第2戦のシャルケホームのゲーム。
 この日はインテルの長友が左SBでUCL初となる先発を果たし、対面のシャルケ右SB・内田との対決となった。
 シャルケはラウールとエドゥの2トップ、出場停止のファルファンに代わってバウムヨハンが左MFに入る。鼻骨を骨折していたメッツェルダーがCBに帰ってきた。インテルはエトーとDミリートの2トップにスナイデルがトップ下。ボランチは守備の意識の強いカンビアッソではなく、モッタが入った。

 試合は圧倒的に優位に立つシャルケも、前から積極的に仕掛ける。一方のインテルも、この日は組織的な動きが機能する。
 ゲーム開始5分、インテルはスナイデルが右からの強いパスをワンタッチで前に転がしマティプをかわすと、一つドリブルを挟んでそのままゴール正面からオープニングとなるミドルシュート。だが、これはノイアーがしっかりとキャッチ。
 8分、シャルケは右の内田に大きくボールが展開、長友との最初の対決。縦を狙った内田に対し長友も並走、折り返しを狙ったボールをスライディングで止める。そのまま攻撃につなげようとした長友だが、今度は内田が素早くチェック、サイドにボールを蹴り出してカウンターを封じた。
 12分にはインテルのエトーが左サイドを持ち上がり、外から追い越した長友に向けてPエリア内への縦パスが出たが、今度は長友が狙ったパスを内田ががっちりブロック。
 16分のシャルケ。中盤左のフラードからトップのラウールに絶妙なクロスが放り込まれ、オフサイドすれすれのタイミングで長友を振り切ったラウールがPエリアに入ったところで正面からヘディングシュートを放ったが、GKセーザルがセーブ。
 1分後には自陣左でインテルからボールを奪取したフラードが、今度は右前方をうかがうラウールめがけ、ロングボールを通す。ここで、ラウールvs長友のマッチアップ。ドリブルで中へと持ち込み、Pエリアに入ったところで縦に切り返すが、長友もすかさず反転、ラウールに食いつく。もう一度、中、縦と切り返しをかけたラウールだが長友をかわすことができず、強引に持ち込もうとしてファールを取られ、ここは長友の勝利。
 35分、インテルのスタンコビッチがミドルシュートを狙ったが、GKノイアーがワンハンドでクリア。
 この時間、インテルはやや攻撃が中央からの1本調子になってしまい、得点の香りがしなくなる。
 すると前半終了直前、中盤の奪いからボールを拾ったシャルケはフラードがドリブルで中央を持ち込むと、前を走るラウールへスルーパス。飛び出してきたキーパーをPエリア内で右にかわし無人のゴールへボールを流し込む。シャルケが良い時間に先制点を手にした。

 後半、インテルはスタンコヴィッチを下げてパンデフを投入。
 すると49分、インテルは右CKのチャンスから、ルシオが頭で落としたボールにモッタが絡み、1点を返すことに成功する。
 逆にシャルケは59分の右CKで、ショートコーナーからフラードがゴール前にクロスを入れたところ、マティプが頭で流したボールをファーサイドのヘーベデスが押し込むことに成功。だが、これはオフサイドだった。
 62分にインテルが得た右CKでは、ショートコーナーからスナイデルがゴール前のエトーめがけてボールを放り込んだが、内田がしっかりと体を合わせた結果、エトーはヘディングシュートをコントロールしきれずに枠を外した。
 65分、インテルが左サイド側で攻撃を組み立て、中央を持ち上がったラノッキアが左前方のエトーへボールを当てたところで、長友がシャルケDFの隙間を狙ってトップスピードで上がる。そこにエトーから横パスが入ると、スピードに乗ったままワンタッチで内田とヘーベデスを振り切ってゴール前にクロスを放り込むが、ここは飛び出したGKノイアーにキャッチされた。
 残り20分となってきたが、インテルに4店が必要ということもあって試合はやや膠着した感じに。
 80分、インテルはスナイデルをあきらめコウチーニョを投入。するとその直後、コウチーニョが出したパスをCBのヘーベデスがインターセプト、ボールをラウールに預けると、高いインテルの最終ラインの隙を突きそのままゴールに向かって走り出す。ここにラウールから絶妙なパスが放り込まれ、キーパーと1対1。ヘーベデスは狭いゴール右サイドにシュートをたたき込んで、この試合の勝ち越し点を奪った。

 試合はこのまま終了。シャルケがインテルを破り、UCLで初の準決勝進出を決め、同時に内田も日本人初の準決勝進出となった。相手はマンチェスターU。パク・チソンとの対決となる。
 なお、この試合もっとも距離を走った選手は、長友だった。


―TOTAL―
インテル  3−7  シャルケ



 
 






―FIRST LEG―
   チェルシー 1−0  マンチェスターU
ルーニー 24

 イングランド勢同士の対決。3月に国内リーグで戦ったときにはチェルシーが勝利。そもそもここ9年間、スタンフォード・ブリッジでは勝ちのないマンチェスターU。できれば負けずに終わって、現在リーグ26戦、4月のチェルシー戦以来負けなしのホームに帰りたいところ。
 この日のチェルシーはトーレスとドログバの2トップ。
 3冠の可能性が残っているアウェーのマンチェスターUは、トップにエルナンデス、その下にルーニーを配する。右MFにバレンシア、パク・チソンが左MFに入った。
 試合序盤は主導権争い。互いに攻め込むがチャンスには至らない展開が続く。
 19分、チェルシーはマンチェスター陣内でパスをつないで右のドログバに回す。最初のタッチでボールをゴールにむけてうまくコントロールしたドログバはそのままの勢いでミドルシュート。強烈なシュートだったが、GKファン・デル・サールがしっかりと弾き出した。
 マンチェスターは23分に得た左CKからボールをつなぎ、右のキャリックが左に大きくサイドチェンジ。これをギグスが最初のトラップでうまくPエリアの深いところへボールを運び、ボシングワをかわして一気に抜け出すと、ゴール正面のルーニーにマイナスのラストパス。待ち構えるルーニーは、右のインサイドでゴール右ポスト内側を叩くシュートをきっちり決めて、マンチェスターがアウェーゴールで先制した。

 30分あたりからチェルシーが再三マンチェスターのPエリア内まで攻め込むが、粘りのある守りの前にフィニッシュに至らない。
 40分を過ぎたあたりからは逆にマンチェスターの時間となるが、ゴールをこじ開けることはできず。
 前半終了直前、逆襲からチェルシーにビッグチャンス。左サイドをドログバが持ち込むと、切り替えしたあと右足でゴールに向かってクロスを上げる。このボールに合わせてゴール正面にトーレスがフリーで飛び込むも、わずかにボールに届かず。そのまま流れたボールがあと少しでゴールインとなりそうだったが、右ポストを叩いてしまう。さらには弾かれたボールが目の前に転がってきたランパードが押し込もうとしたボールは、体勢を崩して倒れ込んでいたファン・デル・サールの上を行ったものの、カバーに入ったエブラにゴールからかきだされてしまい同点にできずに前半を終える。

 後半に入って50分のチェルシー。ドログバの右からのクロスにラミレスがフリーでヘディングシュートを放ったが、枠を外す。
 この後、直前のプレーで膝を痛めた右SBラファエウが続行を断念、ファーガソン監督はナニを投入し、バレンシアを右SBへ下げる。そして、チェルシーが攻め、マンチェスターが構える展開となる。だが、チェルシーのペースではなくマンチェスターのペース。
 67分にマンチェスターのカウンター。右サイドのナニが持ち込み、中央にはルーニー、エルナンデス、そしてギグスもトップスピードで駆け上がる。遠いサイドのエルナンデスを狙ってゴール前にナニがクロスを放ったが、GKツェフがどうにか触ってコースを変え、シュートを打たれずに済んだ。
 打開を図りたいチェルシーは、70分にジルコフとドログバを下げてマルダとアネルカを入れる。
 74分にはマンチェスターゴールに攻め込み、ボシングワの右からのクロスをファーサイドのトーレスが頭で狙ったが、ファン・デル・サールが横っ飛びで左手を伸ばしブロック、得点を許さない。
 チェルシーは85分あたりから敵陣ゴール前でパスをつなぐ時間が多くなるが、マンチェスターの集中した守りを崩すことができない。
 ロスタイムの92分にはPエリア内にこぼれたボールに反応したラミレスがエブラに倒されたが、ノーホイッスル。そのあとにPKを貰いに倒れたトーレスは、イエローカードを受けてしまった。
 結局前半の1点を守りきったマンチェスターがアウェーゲームをものにした。


―SECOND LEG―
マンチェスターU 2−1  チェルシー   
エルナンデス 43
パク・チソン 77
ドログバ 77

 勝利が必要なチェルシーは2トップのシステムではなく4-3-3のフォーメーション。とは言え攻撃的な3選手を並べるリスクは高いため、ドログバをベンチスタートとし、右からアネルカ、トーレス、マルダの組み合わせ。
 ホームのマンチェスターUは週末のリーグ戦でメンバーを落としたため、その時に続きスタメンとなるのはヴィディッチとエブラのみ。第1戦同様、エルナンデスの下にルーニー、そしてスタート時は右MFにパク・チソン、左にナニというイレギュラーな布陣。ボランチはキャリックとギグスが務める。

 このゲームも序盤から両チームが攻め合う展開。
 15分にはチェルシーのマルダが左サイドをドリブルでPエリアまで持ち込むと、中のランパードヘパス。ランパードは右足でゴールを狙ったが、GKファン・デル・サールがしっかりと抑えた。
 25分あたりはマンチェスターが小気味よくパスをつなぎペースを作る。27分には左CKが流れて逆サイドでルーニーに渡り、再びゴール前に鋭いクロスが放り込まれたところへニアサイドのエルナンデスが頭で合わせて先制したかと思われたが、わずかにオフサイドの判定だった。
 しばらくするとマンチェスターは出足はいいものの雑なプレーが目につき、結果としてチェルシーが押し気味に。だが、前半も終盤に近づくと再び流れはマンチェスターへ。
 43分、マンチェスターはチェルシーPエリア手前でのFKからチャンスを作る。一度クリアされたボールを再び拾うと右サイドに開いたギグスへ展開。ギグスはオシェイとのワンツーでDFラインの背後を取ると、そのままドリブルでPエリアに持ち込みゴール前にラストパス。ここへ中央のルーニーのとともにファーサイドに飛び込んできたエルナンデスがボールをゴールに押し込んで、マンチェスターがいい時間帯に先制点を手に入れた。

 これで勝ち上がるためには2点が必要になったチェルシーは、機能しなかったトーレスを前半で諦め、後半からドログバを使ってきた。
 しかしマンチェスターの組織的な守りが機能し、チェルシーはチャンスをほとんど作れないまま時間が過ぎていく。
 70分のマンチェスター。キーパーからのロングボールをルーニーが競り勝って頭で落とし、自ら右サイドへ拾いに回ると、そのままゴール前に高いボールを放り込む。ここに後方から走り込んできたギグスが頭で狙ったが、うまくミートできずにGKチェフにセーブされてしまった。その直後、チェルシーのラミレスがナニを背後から削って2枚目のイエローで退場、厳しい状況に追い込まれてしまった。
 しかし77分、チェルシーは中盤のエッシェンからやや右サイドでDFラインの裏を狙ったドログバにロングパス、これをドログバは反転しながら胸を使ってゴール方向にコントロールすると、Pエリア内に入って右足一閃。鋭いシュートはファン・デル・サールの足元を破ってゴールネットに突き刺さり、チェルシーが同点とするアウェーゴールを手に入れた。これで、あと1点チェルシーが奪えば逆転勝利。

 だが、リスタートでマンチェスターが攻め込むと、Pエリア左サイドで中央ギグスからのパスを受けたパク・チソンが、胸トラップによる見事なコントロールから左足シュートをゴールに叩き込み、1分も経たないうちにチェルシーの希望を打ち砕いてしまった。

 残り時間は10分そこそこ。数的不利の中でもそれを感じさせない集中力を維持するチェルシーだが、ルーニーが時間を操る大きく正確なサイドチェンジを効果的に繰り出し、ペースを渡さない。そしてタイムアップ。マンチェスターがベスト4に進み、チェルシーは今回も悲願の優勝を達成できなかった。


―TOTAL―
   チェルシー 1−3  マンチェスターU



 
 






―FIRST LEG―
バルセロナ 5−1  シャフタール
イニエスタ 2
Dアウベス 34
ピケ 53
ケイタ 61
シャビ 86
ラキツキ 60

 昨シーズンのUCLチャンピオンとEULチャンピオンの顔合わせとなった。
 ホームのバルセロナは病気療養中のアビダルのほか、プジョルを怪我で欠く。ペドロはベンチスタート、ケイタが中盤、左SBでアドリアーノがスタメン。
 初のベスト8に臨むシャフタール。自信のあるホームに、なるべくよいスコアで帰りたいところ。最後にカンプ・ノウでバルセロナと対戦した08-09シーズンのグループリーグ最終節、3-2のスコアでバルセロナを下したゲームを、再現したい。CBチグリンスキを故障で欠いている。

 シャフタールのキックオフでゲームスタート。すると30秒もたたないうちに右サイドでボールをつなぐと、Pエリア内に走り込むFWムヒタリャンにボールが渡る。強引にドリブルでCBに入っているブスケッツを抜きに行ったところで倒れたが、ノーファール。
 1分35秒、左から攻め込んだバルセロナは、メッシが狙ったスルーパスがDFに引っかかったところをイニエスタが拾うと、そのままドリブルで持ち込み冷静にゴール左隅に流し込んで、あっという間に先制してしまった。

 シャフタールはこの失点で守備では落ち着きを失ってしまうが、押され気味ながらもチャンスも作る。
 10分、シャフタールはカウンターからジャジソンがワントップのルイス・アドリアーノに絶妙なパスを送り、GKと1対1のビッグチャンスを演出。しかしPエリア手前でボールを拾う際にルイス・アドリアーノがコントロールミス、シュートに持ち込めないまま終わってしまった。
 12分にもルイス・アドリアーノが縦パスに抜け出し中央からPエリアに突入するが、両サイドを挟まれて正面からGKバルデスに素早く詰められて、シュートをゴール左に外してしまった。
 その直後には、バルサの右SBダニエウ・アウベスがなんとバックパスをミスし、ルイス・アドリアーノへのパスとなってしまう。このピンチにGKがダッシュで飛び出しスライディングでクリア、こぼれたボールを左MFウイリアンに無人のゴールめがけダイレクトシュートで狙われたが、左に流れて失点は免れた。
 33分、バルセロナに追加点。左中盤のイニエスタが、右サイドから裏を狙うDアウベスに向けてシャフタールの最終ラインとキーパーとの間にボールを放り込む。キーパーも含め、シャフタールの選手がDアウベスを見失った状態の中、ボールをキャッチに出てきたキーパーの手前でDアウベスが先にボールを奪うと、すかさずシュート。無人のゴールに押し込んだ。
 2-0のスコアで後半へ折り返し。

 53分、バルセロナは右のCKのチャンス。サインプレーでゴール前に意識を集中させたところでシャビが2列目の空いたスペースへグラウンダーのボールを蹴りこむ。ここにファーサイドから走りこんだピケがダイレクトシュートを決めて、ゲームを決める3点目が入った。

 厳しい流れだったが、シャフタールは60分、右サイドでFKを得ると、ゴール方向に蹴りこまれたボールをラキツキがニアサイドで触ってゴールを落とし入れ、1点を返す。
 しかしバルセロナはリスタート直後、右サイドからメッシがドリブルで中へと持ち込み、DFが集中したところで中央の空いたスペースへパス。ここに走りこんだケイタが強烈なシュートをゴール左上に叩き込み、あっさりと点を奪え返してシャフタールの希望を打ち砕く。

 82分、シャフタールは左サイドからうまく攻撃を組み立ててゴール前にボールを折り返すと、逆サイドのルイス・アドリアーノが詰めて角度のないところからシュート。しかし惜しくもゴール左ポストの内側をたたいた後、ボールはゴール前を横切りキーパーがキャッチ、あと一歩でゴールならず。
 直後にはバルサが攻め込んで、Pエリア内の途中出場したペドロへボールが通る。ここでペドロはさらにメッシへのパスを選択したが、こちらはオフサイドとなってチャンスをつぶしてしまった。
 86分のバルセロナの攻撃。右からDアウベスがPエリア内に侵入、そこから横にパスを流し、ゴール正面のシャビが押し込んでチーム5点目が決まった。
 試合はこのまま終了。シャフタールにとっては厳しい結果となった。


―SECOND LEG―
シャフタール 0−1  バルセロナ
メッシ 43



―TOTAL―
バルセロナ 6−1  シャフタール