〜 決勝トーナメント1回戦 〜

'11/02/15,16 22,23 第1戦
'11/03/8,9 15,16 第2戦


ACミラン vs トッテナム  バレンシア vs シャルケ

アーセナル vs バルセロナ  ローマ vs シャフタール

コペンハーゲン vs チェルシー  リヨン vs レアル・マドリッド

マルセイユ vs マンチェスターU  インテル vs バイエルン

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―FIRST LEG―
ACミラン 0−1  トッテナム
クラウチ 80

 雨のジュゼッペ・メアッツァでのゲーム。
 現時点でセリエAの首位を走るミラン。故障者を多く抱え、この試合もピルロを筆頭に、インザーギ、ザンブロッタ、ボアテング、アンブロジーニ、ボネーラ、アバーテらを欠いている。ガットゥーゾ、ネスタも故障明け。冬の移籍市場で加入したカッサーノ、ファン・ボメルらは、今シーズンのUEFA大会に出ているため、UCLには出場できない。ロナウジーニョは移籍でチームを離れた。
 この日はイブラヒモヴィッチとロビーニョの2トップ、トップ下にシードルフ、中盤の底にチアゴ・シウバを配する布陣となった。
 グループリーグはインテルを抑えて首位突破したトッテナムだが、その貢献者であるベイルは怪我のため欠場となった。ワントップにクラウチが入る。

 トッテナムは立ち上がりから長身クラウチ目掛けてどんどんボールを放り込んでいく。11分には右SBのコルルカが中盤から縦にスルーパスが入る。ミランのSBアントニーニの裏を取ったレノンが鋭いクロスを放り込んだところにトッテナムの選手が殺到したが、すんでのところでGKアッビアーティがクリアしミランは事なきを得た。
 ミランはなかなか前線までボールを運べず、イブラヒモヴィッチも受けに下がって来てしまう。また、トッテナムの執拗な攻撃に好プレーで奮闘していたGKアッビアーティだったが、15分過ぎにアクシデント。頭を打った影響でアメリアと交代となってしまった。
 その後もトッテナムペースが続いたもののミランも踏ん張り、0-0のまま後半へと折り返した。

 後半、ミランはセードルフを下げてパトをピッチへ送る。
 50分、ミランは右のCKを得ると、ロビーニョが蹴ったボールはミスキックだったが、クリアされたボールをガットゥーゾが拾う。そしてトッテナムゴール前に浮き球を放り込んだところにジェペスが飛び込み頭で合わせたが、GKゴメスの好反応によって枠の外へと弾き出されてしまった。
 その10分後にもミランは右CKからジェペスが強烈なヘディングシュートを放ったが、ここもゴメスの壁に弾き返されてしまう。
 とは言えパト投入の効果か、一方的な前半と変わってミランも攻撃を組み立てられるようになった。しかしガットゥーゾがややヒートアップしているのが気掛かりなところ。
 スコアが動かないまま残り10分となったところ、トッテナム陣内へ前がかりになって攻め込んでいたミランに対し、イブラヒモヴィッチのパスをカットしたトッテナムが逆襲。右のレノンがドリブルで一気に攻め込むと、対峙したジェペスの軽率なスライディングをかわして2対1の状況に。やむなく間を詰めるネスタをしり目にマークが外れた中央クラウチへパスを送ると、クラウチは落ち着いてボールをゴールへ押し込んで、アウェーのトッテナムが先制点を奪うことに成功した。

 この後はトッテナムがしっかりとミランの攻撃を防ぎ、試合終了にイブラヒモヴィッチがオーバーヘッド気味に決めたシュートもオフサイドで認められず、試合終了。トッテナムがアウェーで勝利を奪って、ホームの第2戦を迎えることとなった。
 なお、試合中にイエローを受けて次節出場停止が決まっていたガットゥーゾだが、試合中や試合後にトッテナムのコーチへ手を出しており、結果的にさらに4試合の出場停止処分が下されてしまった。


―SECOND LEG―
トッテナム 0−0  ACミラン



―TOTAL―
ACミラン  0−1  トッテナム



 
 






―FIRST LEG―
バレンシア 1−1  シャルケ
ソルダード 17 ラウール 64 

 内田篤人がシャルケの右SBとして初めてUCL決勝トーナメントに挑む一戦。アウェーのスペインで、バレンシアと対する。シャルケのラウールにとっては移籍後初のスペイン凱旋となった。フンテラールとラウールの2トップで臨む。
 このところ国内リーグ負けなしのバレンシアはソルダードとアドゥリスをトップに、ドミンゲスがトップ下に入った。スペイン代表のマタは故障でベンチ外。

 前半9分にシャルケの右CKのチャンス。バレンシアが一度クリアしたボールを、シャルケのシュミッツが頭でラインの裏へ放り込む。このボールをヘーベデスがフンテラールにつなぎ、ゴール正面で絶好のシュートチャンスを迎えたが、なんと空振りでゴールを奪うことができなかった。
 17分のバレンシア。中盤でのボールの奪い合いを制して左に展開、アドゥリスが溜めてから外を駆け上がるマテューに縦パスを送ると、マテューは内田を振り切ってクロス。これをニアサイドに飛び込んだソルダードが右足で合わせ、早い時間帯にバレンシアの先制ゴールをたたき出した。
 26分、シャルケは内田とファルファンが右サイドから崩しにかかる。低い位置でボールを受けた内田が中盤右MFのファルファンにボールを預けると、スピードを上げてオーバーラップ、バレンシア陣内でファルファンからの縦パスを受ける。さらに内田を追い越してファルファンが前線へと上がったところでボールを送り、ファルファンがクロス。ここはバレンシアの壁に阻まれたが、こぼれたボールに反応した内田が今度は滞空時間の長いクロスを放り込んで、ファーサイドのクルゲがヘディングシュート。弧を描いたボールはゴール右上をとらえていたが、GKグアイタがバックステップから右手を伸ばし、ボールを枠の外へと押し出した。
 その後も両チームよくボールが動き、内田も右サイドをあがって攻撃の組み立てに加わるが、双方とも守りが固くチャンスを作るには至らずに前半終了。前半はバレンシアがボールを6割支配する内容だった。

 後半に入って48分、バレンシアが右のCKからシャルケピッチ内でボールをつなぎ、右サイドでボールを得たバネガがドリブルで深く持ち込んでからゴール前に折り返したが、走り込んだリカルド・コスタは追いつくことができずボールは流れてしまった。
 直後にシャルケGKのノイアーからのボールがそのままDFラインの裏に抜けたラウールへと渡ったが、ラウールのシュートはバレンシアGK、グアイタが横っ飛びで弾いてゴールを死守。
 53分、右サイドから攻め込んだバレンシアはボールをつないで左に展開、最後にフリーとなったアドゥリスがPエリア内でシュートを放ったが、GKノイアーにキャッチされた。
 徐々にバレンシアがシャルケゴールに襲い掛かるシーンが見られなくなり、勢いが落ちる。内田も守備で何度かバレンシアのチャンスの芽をつぶしていた。
 そんな流れの中の63分、シャルケは中盤でパスを回しながらバレンシアの隙をついてフラードが左サイドを抜け出すと、中央へとパスを折り返す。このボールに、ラウールがいったんマークについていたDFナバーロの背後に消えた後で前に入り込みニアで受けると、すかさず体をひねりながら左足を一閃。足を延ばしたナバーロの股の下からシュートをゴール左に流し込み、貴重なアウェーゴールで同点とした。そしてこのゴールで、ラウールが持つチャンピオンズリーグ最多得点記録を69に伸ばした。

 バレンシアは68分、ドミンゲスとバネガに替えてホアキンとビセンテを投入。ドリブラーを2枚入れて攻勢を強めると、攻守の入れ替わりが早くなる。
 76分にはバレンシアがシャルケの攻撃をしのいで逆襲。右サイドをホアキンがドリブルで持ち込み、トップのソルダードに当ててから中央をあがるビセンテへとつないだところで、シャルケの右サイドは内田がビセンテとアドゥリスを見なければならない状況となる。内田はここでしっかりと応対、ビセンテが左のアドゥリスへパスを出すとすかさず詰めて中央に折り返そうとしたボールをきっちりとブロック、ピンチを救った。
 内田はまた、バレンシアが右サイドからゴール前に放り込むクロスを何度か頭でクリアするなど、守備に奔走。
 82分、ここでは内田が相手を倒してしまい、シャルケ陣内左サイドでバレンシアのFK。ここで早いリスタートを選択したバレンシアはアルベルト・コスタがゴール前に早いボールを折り返すが、ニアサイドに走り込んだソルダードとアドゥリス二人とも、惜しくもボールに触れることができずに流れてしまった。
 シャルケが辛抱強く守る時間が続き90分を経過。ロスタイムには投入されたばかりのシャルケのハオがラウールからのパスを受けてPエリア内まで持ち込みシュート。GKグアイタが右手を延ばして何とかCKに逃れたが、その後もバレンシアにチャンスが訪れることはなく試合終了。
 最後の最後にシャルケは左SBのシュミッツが2枚目のイエローを受け次の試合に出場できなくなってしまったが、大きなアウェーゴールを土産に、ホームの第2戦を迎えることになった。


―SECOND LEG―
シャルケ 3−1  バレンシア
ファルファン 40、90+4
カブラノヴィッチ 52
リカルド・コスタ 17

 アウェーゴールによりいくらかのアドバンテージを持ってシャルケが臨むホームでの第2戦。フンテラールが故障のため、FWにはガブラノヴィッチが入る。
 対するバレンシアは怪我から復帰のアドゥリスがトップを務める。

 前半立ち上がりはシャルケが押し気味に進んだが、最初のチャンスはバレンシア。
 8分に左CKを得ると、ゴール前を固めるシャルケに対し、後方から走り込んだマテューへマイナスのボールが入る。フリーのマテューは左足でゴール右を狙ったが、わずかに外れてしまった。
 シャルケの最初のチャンスは14分、バレンシア陣内に攻め込んで、フラードが左サイドからクロスを放り込む。このボールがゴール正面のガブラノヴィッチに入ったが、ヘディングシュートはGKの正面を突いてしまった。
 17分、均衡が破れる。内田の守るシャルケの右サイドからバレンシアが崩しにかかり、Pエリア内のトバルへ縦パスが入る。対応したシャルケのマティプだが、トバルの一旦戻して再び前に出る切り返しにあっさりと振り切られてしまい、折り返されたボールをリカルド・コスタが頭で合わせてゴール。バレンシアがアウェーでの得点を挙げ、早い時間にシャルケのアドバンテージをひっくり返すことに成功した。

 21分、バレンシアはシャルケ陣内でボールをつなぐとトップ下のマタからDFラインの裏に抜けるアドゥリスへスルーが通る。アドゥリスは左に流れるドリブルを一つ挟んで振り向きながらシュートを狙ったが、DFメッツェルダーがきっちりスライディングでコースをふさいだ。
 このあとシャルケが守備を維持しつつも攻勢を強める。そして40分、ゴール真正面25Mほどの絶好の位置でFKを得ると、ファルファンが右足で直接ゴール右上に放り込む。前半のうちにシャルケが同点に追いつき、2試合のトータルスコアでもイーブンに戻した。

 後半開始から7分、シャルケは左サイドで粘ったクルーゲがゴール前にクロス、GKグアイタがパンチで逃れたボールをファルファンが拾う。至近距離でファルファンが放ったシュートはグアイタが体に当てて防いだが、こぼれたボールに目の前のガブラノヴィッチが素早く反応。押し込もうとしたボールは右ポストをたたいてゴール前を横切り、続いて左ポストの内側に当たってゴールイン。シャルケがリードを奪い、またこの得点によって延長戦はなくなり、後のないバレンシアが前に出てきた。

 バレンシアは58分、自陣からカウンターでアドゥリスが抜け出しGKと1対1になるも、対峙したノイアーがスーパーセーブでアドゥリスのシュートを弾き、CKに逃れた。
 このあと、なかなかバレンシアは素早くパスを繋ぐサッカーに持ち込めず、時間が過ぎる。72分に中央でパスをつないでから右に展開、すかさずシャルケのDFライン裏にクロスが入りTコスタが飛び込むが、シュートまで持ち込めず。
 シャルケは81分、バレンシアDFのクリアミスをガブラノヴィッチが奪って抜け出す。やや右サイドに持ち込んで放ったシュートはGKがタッチ、コースを変えたボールは右ポストに当たってCKとなった。
 終盤、シャルケは体力が厳しい中、ラウールを筆頭に必死に走ってバレンシアの攻撃をしのぐ。
 93分には前掛かりのバレンシアからボールを奪ってラウールがトップのガブラノヴィッチへボールをつなぎ、3対1のシチュエーション。ここでガブラノヴィッチは時間をかける選択をせず、ちゅうちょなくロングシュートを狙う。これは惜しくもクロスバーを叩いてゴールキックとなってしまった。
 しかし94分、しゃにむに全員で攻めるバレンシアからボールを奪ったシャルケ、クリアボールが右のファルファンへとつながってそのままドリブルで独走。Pエリアに入ったところで、引導を渡すループシュートをキーパの上からゴールに決める。
 そして試合終了。シャルケがこの試合を勝って、1勝1分けで準々決勝進出を決めた。


―TOTAL―
バレンシア  2−4  シャルケ



 
 






―FIRST LEG―
アーセナル 2−1  バルセロナ
ファン・ペルシ 78
アルシャービン 83
ビジャ 26

 昨シーズンのベスト8と同じく、今シーズンは決勝トーナメント1回戦でこのポゼッションサッカーの優である2チームのビッグカードとなった。
ホームのアーセナルはこれまでの対戦成績2分け4敗の雪辱を期する。故障離脱していたナスリが先発に名を連ねた。GKにはヨーロッパカップ戦初出場、二十歳のシュチェスニー。右SBのサニャは出場停止。トップにファン・ペルシ、右ウォルコット、左ナスリ、トップ下にセスクという前線で臨む。
 一方のバルセロナはプジョルを怪我で欠く以外はベストメンバーが揃った。いつものとおりメッシ、ビジャ、ペドロが前線に入る。

 試合開始から両チームとも中盤で非常にコンパクトな中でプレーを展開。ポゼッションサッカーをより極めているバルセロナは、アーセナルボールの際は鋭いプレスでボールを奪取し、マイボールの時には相手のプレスを素早いワンタッチパスをつないで翻弄。アーセナルも積極的なプレスでバルサを好きにさせず、スピードのあるカウンターでバルセロナゴールへと迫る。
 4分にアーセナルがバルサ陣内左サイドで得たFKは、ナスリが絶妙なボールをゴール前に放り込むも、触る者なくワンバウンドでGKがキャッチ。  5分には左サイドを上がったバルサのマクスウェルのパスをウォルコットがカット。ワンツーを挟んで自らドリブルでバルサ陣内中央へ持ち込み、そこから前方のファン・ペルシにスルーパスを送ったが、惜しくもラインを割ってしまった。
 このプレーのすぐ後には、アーセナルがパス回しでバルセロナを圧倒。バルサ陣内でワンタッチ、ツータッチのパスを中心にボールをキープし、隙を突いてセスクが繰り出したループパスにファン・ペルシが反応、ゴールエリア左からボレーで狙ったが、GKバルデスに体で防がれた。
 そこで今度はバルセロナがカウンター。素早く前線へパスをつなぎ、中央のメッシがドリブルを仕掛けたところで、アーセナルのソングがチャージで止めに行く。このプレーでソングにイエロー。ここまでで、まだ7分を経過したに過ぎない。
 攻守がくるくる変わる展開だが、10分を回るとアーセナルに小さなミスが見られるようになり、バルセロナの支配率が高まりだした。すると15分、センターサークル内でボールを奪ったイニエスタがトップのメッシに鋭いパスを蹴り込むと、メッシはシンプルに後方のビジャへ落としてすかさずターン。そこにビジャからスルーが入り、メッシがCB二枚のマークを振り切って完全にGKと1対1に。メッシはPエリア内やや左に流れながら、飛び出したGKシュチェスニーを小さいシュートフェイントで倒させたところですかさず軽く浮かしたシュートを狙ったが、わずかにゴール右に外れてしまい、バルセロナは最初のビッグチャンスはものにすることができなかった。

 ものすごく両チームが密集した中でパスを回すバルセロナ。そんな中の19分、中盤でボールを拾ったメッシから縦パスを受けたイニエスタが前を向き次第、トップのビジャが走り出す狭い隙間にパスを通す。だが、惜しくもビジャはあと1歩追いつけず、キーパーがキャッチした。
 25分、今度はアーセナルがカウンター。バルサのパスミスをウィルシェアが拾ってウォルコットへ。ウォルコットは自陣中央からスピードを上げて持ち込むと、右を上がるセスクへスルーパス。追いついたセスクがダイレクトでクロスを折り返したが、バルサCBアビダルが何とか頭で触ってファン・ペルシにつながるのを阻止した。
 その1分後、均衡が破れる。
 中盤右寄りでボールを受けたメッシが縦のスペースへ小刻みなドリブルで持ち込むと、アーセナルDFの最終ラインをうかがっていたビジャへ見事なスルーを通す。抜け出したビジャがきっちりシュートを決めて、バルセロナがアウェーゴールで先制した。

 29分にもバルセロナがアーセナルゴールに迫る。右に展開されたボールをDアウベスがPエリア内に持ち込み、中のビジャへマイナス気味にパス。ビジャはドリブルで右に流れながらDFを避けつつゴール前へ鋭く折り返す。ここにペドロがニアで反応したが、ヒール君で押し込もうとしたシュートをGKがブロックしゴールならず。
 右サイドに出たボールをバルサスローインで始めたが、Dアウベスのバックパスが乱れたところをファン・ペルシが奪って、今度はアーセナルにチャンス。ファン・ペルシからいったんナスリに戻し、ワンタッチで前方ウィルシェアに送られると一気にゴール前へ。前にはウォルコット、左にファン・ペルシ、右にエブエという状況でファン・ペルシにボールが出たが、ファン・ペルシはシュートミス。こちらもチャンスを生かせなかった。
 31分あたりからバルサはアーセナル陣内を中心にパスを回し、1分15秒ほどの間で37本ものパスを通す。だが、アーセナルもボールを奪えないまでも引き過ぎることなくこれに対応。最後はメッシのファールを誘った。
 35分、アーセナルがバルサゴール前に殺到し最後はセスクがシュートを撃つも、守りの壁に阻まれる。
 38分、メッシが右中盤でパスを受けてドリブルでソングを抜き去り、そこからスルーパスを出したところでコシエルニーに阻まれたが、リバウンドをそのままの勢いでメッシが奪うと、Pエリアに入ったところでもう一度パスを選択、しかしこの時点でオフサイドとなった。
 この後は双方が相手ゴールに迫る展開。しかしどちらもしっかりと守り、チャンスを作らせない。前半はこのままの形で終了。

 後半開始早々、アーセナルは後方からパスをつないでバルセロナサイドのPエリア内までボールを運んだが、セスクからパスを受けたファン・ペルシがオフサイド。続くリスタートでアーセナルがボールを奪うと、パスをつないで最後はウィルシェアのシュートまで持ち込む。
 この後はバルセロナもポゼッションを高め、両チームがっぷり四つの目の離せない展開に。57分にはバルサのアビダルから高いアーセナルDFラインの裏にボールが入り、これにビジャが抜け出したが、シュート体勢に入る前にコシエルニーが追いつき何とかカット。
 59分、アーセナルがバルサ陣内左からのスローインでパスをつないで攻め込んだところでバルサCBのピケがセスクを倒してイエローカード。これでピケは次節出場停止。
 62分のアーセナルの攻撃。右に展開したボールをエブエがクロス。いったん弾き返されたボールをセスクが拾って今度は左のナスリへ。ナスリはそのままダイレクトでニアサイドに走り込むファン・ペルシへと合わせたが、背後に着いたピケがコーナーに逃れてピンチを救う。
 65分ごろにはやや流れが落ち着き、バルサの支配率が上がる。すると67分、メッシがブスケッツとの縦のワンツーで中央を前へとボールを運ぶと、Pアーク内からシュート。DFに当たって戻されたボールをシャビが拾い、再びPエリア内左から最終ライン裏に抜けるメッシへとパスを送る。メッシはワンタッチからシュートを狙ったが、GKの飛び出しもあってゴール左外にコースを外してしまった。
 この直後、リードしているバルセロナはビジャを下げてケイタを投入。追いかけるアーセナルもソングに替えてアルシャービンをピッチへ送る。さらに77分、ウォルコットをベントナーと交代し、攻撃の活性化を図る。すると、その直後にさっそく結果が現れた。
 左サイドから組み立てたアーセナルは、クリシがPエリア内深いところへボールを放り込み、ここにファン・ペルシが入り込む。ゴール前にベントナーも詰めてくる状況で、ファン・ペルシはクロスではなく意表を突いてキーパーとゴールの狭い間からシュートをたたき込み、アーセナルがバルセロナに追いついた。

 これでスタジアムの空気が一気にヒートアップ。その声援に後押しされるようにアーセナルは4分後、バルセロナの人数をかけた攻撃をゴール前でしのいで、カウンター。自陣中盤のセスクにボールが渡ると、バルサ陣内右サイドの大きなスペースへ縦に長いスルーパスが飛び出す。ここを狙っていたナスリが追いつきバルセロナのDF3枚を引き付けると、戻り切れていないバルサ守備陣の隙間を突いて逆サイドに上がってきたアルシャービンへのパスを選択。フリーのアルシャービンは狙い澄ましたインサイドのシュートをGKバルデスのゴールに決めて、見事な速攻で一気に逆転に成功した。

 リードを奪った後もアーセナルは引き過ぎることなく、バルセロナに対峙する。バルセロナはボールを保持するものの、なかなかうまくこじ開けることができない。ロスタイムに入ったところで、バルサが右前方を狙ってボールを放り込んだところを、アルシャービンが頭でGKにバックパス。だが、これをDアウベスが狙っており、キーパーと交錯しながらもボールを拾い、アーセナルゴール前へ。しかしここも何とかアーセナルが耐えきった。
 そして、試合は終了。アーセナルが逆転勝ちでバルセロナを下した。一方の敗れたバルセロナも、アウェーゴールと最少得点差でもって、ホームでの第2戦に臨むこととなった。


―SECOND LEG―
バルセロナ 3−1  アーセナル
メッシ 45+3、71(PK)
シャビ 69
ブスケッツ 53(OWN)

 カンプ・ノウの第2戦。バルセロナはピケとプジョールのCB2枚が不在。ブスケッツとアビダルが代わりを務める。
 アーセナルは怪我で出場が危ぶまれていたファン・ペルシとセスクがメンバーに入り、そのうえ先発に名を連ねてきた。ウォルコット、ソングらは帯同できず。

 立ち上がりは第1戦同様、両チーム非常にコンパクトなスペースの中で、バルセロナがパスを回してアーセナルが受ける展開。
 4分、バルサのシャビからアーセナルDFラインの裏を狙うペドロへ浮き球のパスが入るが、素早く詰められてクリアされる。
 6分にはPエリア内のメッシまでパスが入ったが、マークをかわすことはできずにカットされた。
 アーセナルはノーチャンスだがよく集中し、緊張感をキープしたまま10分を経過。
 13分、バルセロナによる前線からのプレッシャーを受けて自陣中盤でパスミスをしたアーセナルにピンチ。マスチェラーノがダイレクトで縦にボールを出したところにメッシが反応する。CBコシエルニーがマークについてメッシを止めたものの、そのボールを再び奪われ、左のビジャからゴール前のシャビに対しパスが送られたが、ウィルシェアがなんとかカバーし事なきを得た。
 15分、ペドロを強引に止めてコシエルニーに早くもイエローが出る。このFKでDアウベスが蹴りこんだボールをGKシュチェスニーが受けた際に突き指をしてしまい、アーセナルは早くも交代のカードを切ってアルムニアを投入する。
 29分、アーセナル右SBのサニャがちょっと遅延行為をしただけで、イエローを受けてしまった。
 アーセナルが集中してバルセロナの攻撃を摘む同じような展開のまま、30分が経過。バルサが7割近くボールを支配している。アーセナルはトップのファン・ペルシになかなかボールが入らず、入ったとしても収まらない。
 31分、左のビジャからパスを受けたメッシが、細かいドリブルでジュルーとコシエルニーをかわしPスポット付近まで持ち込んだが、最後は大きくなってシュートには至らず。
 32分にマークにあいながらビジャが放ったシュートは、力なくアルムニアがキャッチ。
 36分、バルセロナはアーセナル陣内でパスをつなぎ、 左のビジャから外を回ったアドリアーノへスルーパスを送る。アドリアーノがゴールライン際で追いつきざまに左足で蹴りこんだボールは、左ポストに跳ね返された。
 43分、ようやくファン・ペルシへの縦パスがつながり、粘った結果CKをゲット。アーセナルとしては初めてのチャンスだったが、これを生かせず。ウィルシェアがドリブルで突っかかって倒された際、アビダルがファン・ペルシに手を出して両チーム少しもめてしまうと、この後のプレーでファン・ペルシがDアウベスとの接触の際に手を出し、イエロー。
 ロスタイム2分、バルセロナがカウンターから右のメッシにボールを展開、メッシは左足のドリブルで中央に持ち込みシュートを放ったが、コースが限定されておりGKアルムニアの正面だった。
 さらに押し込むバルセロナ。48分にシャビがPエリア内でボールを奪われたが、拾ったセスクに対しマスチェラーノらが素早くプレッシャー。苦し紛れに出したヒールパスをイニエスタが奪い返すと、縦に抜けるメッシへとボールが渡る。飛び出してきたアルムニアをボールを浮かして抜き去ると、無人のゴールにボールをたたき込み、バルセロナがついにゴールをこじ開けた。そして、前半を終了。

 アウェーゴール差により、このままだとバルセロナの勝ち抜けとなる状況で後半スタート。だが、バルセロナが押し込む展開は変わらず。
 そんな中、52分に左のナスリが粘って持ち込み、アーセナルはこの日2本目のCKを獲得する。バルサゴール前にボールが放り込まれると、これを競り合ったブスケッツが頭で押し込んでしまい、なんとオウンゴール。スコアをイーブンとし、勝ち抜けに向けてリードを奪い返した。

 直後の54分、バルセロナは中央をシャビからペドロ、そしてビジャへとつなぎ強行突破。しかしアルムニアに体でボールを止められた。
 56分、DFラインの裏を狙って飛び出したファン・ペルシは、オフサイドの笛が鳴ったもののシュートを撃ってしまう。この愚かなプレーで2枚目のイエローカードを受け、アーセナルは35分を残して10人となってしまい、ここからは0トップの布陣でバルサの猛攻を耐えることになった。
 さっそく58分、バルセロナは右のDアウベスのクロスをPエリア内でシャビがつないで左のビジャへ。シュートはGKが体でブロック、弾いたボールをビジャがゴール正面のシャビに通すと、やや大きくなったトラップをコシエルニーが大きくクリア。
 さらには、左から持ち込んだアドリアーノのシュートのようなクロスをアルムニアがクリアし、DアウベスがPエリア内で狙ったシュートは大きく枠の上へ。メッシの中央の持ち込みから右のDアウベスにはたいてゴール前にクロスが入ったシーンでは、ビジャがシュートを放つ前にアルムニアがセーブするなど、5分ほどの間でも次々とチャンスを作り出す。
 66分、メッシからPエリア内に走り込むビジャに絶妙なスルーパスが入ったが、GKがビジャのシュートを弾きゴールならず。
 そして69分、イニエスタが中央をドリブルで持ち込むと前方のビジャへパス。ビジャはダイレクトで縦へ抜けるシャビへとつなぐと、シャビがシュートをゴール左に押し込んだ。この得点により、トータルスコアで両チームが並んだ。

 さらに攻め続けるバルセロナはわずか1分後、Pエリア内でボールを受けたシャビが後方から走り込んできたペドロへパスを出したところで、コシエルニーとペドロが交錯。これがPKとなる。キッカーのメッシはゆっくりとしたモーションからゴール左にボールを蹴りこんで、3対1。また、トータルスコアでもアーセナルを上回り、延長による決着もなくなった。

 アーセナルは74分にロシツキに替えてアルシャービンを、78分にはセスクを下げてベントナーを投入。攻めるしかないアーセナルだが、この日ここまでアーセナルはシュートが1本もない状態とあっては、なかなか厳しいものがある。
 78分にはアーセナルのPエリア手前で4対4。左のビジャがドリブルで中へとしぼり、中央のシャビ、さらに右のメッシへと回す。メッシはそのまま前に抜けてシュートを放つが、ここはアルムニアがコースをカットしゴールを守る。
 ゆっくりとボールを回してアーセナルを誘うバルセロナ。しかしアーセナルもやみくもには飛び出せず、時折鋭くゴールに迫るバルセロナの攻撃に耐える時間が続く。
 84分には右サイドでのボール回しから中央イニエスタに当ててシャビに戻すと、それを追い越したメッシへボールが出る。メッシはそのままPエリア中央に入り込みシュートをうかがうが、あと一歩のところでカットされた。
 その2分後、右のDアウベスにボールが出ると、中央に絞るドリブルからペドロを使ったワンツーで縦に突破。完全に抜け出したが、シュートとパスの中途半端なボールを出してしまい、メッシも反応できずに流れてしまった。
 87分にアーセナルにビッグチャンスが訪れる。左に下がっていたアドリアーノに対し二人でプレスをかけてボール奪取に成功、このボールをウィルシェアが中央を走るベントナーへぴたりとパスを通す。Pエリア内でキーパーと1対1になったベントナーだが、最初のトラップが流れてしまい、シュートを撃つことなくGKバルデスに防がれてしまった。
 ロスタイムに入ってもバルセロナのパスワークは変わらず、このまま試合終了。この試合、途中ファン・ペルシが退場したこともあるが、結果的にはアーセナルはシュートを撃たせてもらえないままバルセロナに付け入るすきを与えてもらえず、完敗。
 トータルスコアで上回ったバルセロナがベスト8へコマを進め、アーセナルは昨年に続きバルセロナの牙城を崩すことはならなかった。


―TOTAL―
バルセロナ  4−3  アーセナル



 
 






―FIRST LEG―
    ローマ 2−3  シャフタール
ラト 28(own)
メネーズ 61
ジャジソン 29
Dコスタ 36
Lアドリアーノ 41



―SECOND LEG―
シャフタール 3−0  ローマ    
ウイリアン 18、58
エドゥアルド 87



―TOTAL―
    ローマ  2−6  シャフタール



 
 






―FIRST LEG―
コペンハーゲン 0−2  チェルシー  
アネルカ 17、54



―SECOND LEG―
  チェルシー 0−0  コペンハーゲン



―TOTAL―
コペンハーゲン 0−2  チェルシー  



 
 






―FIRST LEG―
   リヨン 1−1  Rマドリッド
ゴミス 83 ベンゼマ 65



―SECOND LEG―
Rマドリッド 3−0  リヨン   
マルセロ 37
ベンゼマ 66
ディ・マリア 76

 Rマドリッドがアウェーゴールを挙げての引き分けから迎える第2戦。いくらかのアドバンテージを抱え、ベンゼマのワントップに、左からCロナウド、エジル、ディ・マリアと並べてきた。
 一方のリヨンはリサンドロ・ロペスをトップに持ってきた。リーグ戦を欠場していた選手も何名か戻ってきた。

 試合は頭からリヨンが積極的に出る、予想通りのオープンな展開。
 開始から4分、マドリッドの連続攻撃。ドリブルで上がった左SBのマルセロがハーフラインを越えたところでリヨンDFラインの裏へスルーパス、ここにエジルが反応したが、好判断で飛び出したGKロリスがクリアする。しかしもう一度マドリッドがボールを奪うと、左サイド前線に残っていたマルセロがドリブルで縦に仕掛け、Pエリア内の角度のないところからシュートを放ったが、ロリスがCKに逃れた。
 今日のマドリッドはこの左SBマルセロの攻撃が目立つことになる。
 リヨンは25分、自陣から右前方ブリアンへの大きなサイドチェンジからチャンス。キープするブリアンの後ろから追い越したレベイエールへボールが出ると、そのままドリブルでPエリア近くまで持ち込みゴール前へ折り返したが、そこにはリヨンの選手が詰めておらずセルヒオ・ラモスがカットした。
 27分、左サイドに開いてボールを受けたCロナウド。中にもマドリッドの選手の枚数がそろっている状況だったが、Cロナウドは対峙するシッソコを縦に行くとみせて中に持ち込み、Pエリアに入ったところでシュートを選択。鋭い弾道だったが、ここもGKロリスがパンチングでゴールを守った。
 37分、マドリッドが左サイドからリヨン陣内に攻め込み、いったんリヨンにボールをクリアされたがこれをマルセロが拾うと、ゴールへ向かう。Cロナウドの一瞬溜めてから縦に出すワンツーを受けて3人をごぼう抜きにすると、さらにPエリア内で左への切り返しから一人をかわし、左足シュート。ロリスが左手で当てたものの、ボールはそのままゴールの中へ。マドリッドが先制した。

 41分にも再び分厚い攻撃を見せるマドリッド。左サイドをマルセロがまたもやえぐってマイナス気味に折り返したところでベンゼマがシュート。しかしここもロリスがパンチングで逃れる。
 押せ押せのムードの中、42分に左後方からのクロスをベンゼマが頭で押し込んだシュートは、オフサイドだった。
 結局前半のうちに追加点がならなかったマドリッド。ハーフタイム直前にはマルセロが左足裏を痛めひやりとしたが、後半も元気に現れた。リヨンは後半開始からゴミスを投入。しかしグルキュフが精彩を欠くなどもあり、マドリッドペースで試合は進む。
 52分、マドリッドは中盤左でベンゼマがこの日調子の上がらないグルキュフからボールを奪い、中央をエジル、右をCロナウドが上がる3線速攻。ベンゼマは中央のエジルにボールを預けると、そこからダイレクトのワンツー、スリーでボールをPエリアまで運ぶ。しかしここで右のCロナウドが空いていたもののエジルは左に追いやられ、撃たされた形のシュートは大きく外れてしまった。
 この後もすっかりマドリッドペース。リヨンにはチャンスが訪れないまま、66分にベンゼマのゴールが生まれる。
 リヨンの攻撃をカットしたマルセロが、リヨン陣内に向けて縦に長いボールを蹴りこんだところ、エジルとCBロブレンが競り合ったところボールはすり抜けて、ゴール方面の空いたスペースへと抜けてしまう。ここにいち早く反応したのは、ベンゼマ。Pエリアでボールに追いつき1つドリブルを挟んで、GKの足元からシュートを流し込んだ。

 この失点で苦しくなったリヨン。だが、流れはマドリッドから動かない。
 68分にも3線速攻、今度は右に流れたエジルがボールを受け、中央にベンゼマ、左にCロナウド。エジルがうまくゴール前に蹴りこんだパスをベンゼマがダイレクトシュート。しかしここも一人頑張るロリスが弾きだしてゴールを守る。
 するとその直後、ようやくリヨンのピュエル監督はグルキュフをあきらめ、ピエを投入。
 余裕のできたマドリッドは、74分にCロナウドをアデバイヨールと交代。
 76分、GKカシージャスのゴールキックをエジルがバックヘッドでリヨンの最終ライン裏につなぐと、真ん中でノーマークだったディ・マリアがこれを拾う。飛び出すロリスだが、チップシュートになすすべなし。リヨンの望みを断ち切る3点目となった。

 残り15分ほどの間もマドリッドペースは変わらず、試合は終了。マドリッドがチームに勢いをつける完勝で、準々決勝に駒を進めた。


―TOTAL―
   リヨン 1−4  Rマドリッド



 
 






―FIRST LEG―
   マルセイユ 0−0  マンチェスターU



―SECOND LEG―
マンチェスターU 2−1  マルセイユ   
エルナンデス 5、75 ブラウン 82(own)

 初戦をスコアレスドローで終わり、アウェーゴールを与えないというミッションは成功したマルセイユ。マンチェスターのホームに移っての第2戦。
 マンチェスターはルーニーとエルナンデスを前線に、ギグスとナニを両サイドに配する。

 開始わずか5分。中盤でボールを受けたルーニーは左のギグスに大きく展開、そのままルーニーがPエリア内左サイドのスペースに向かってスピードを上げて駆け上がったところに、ギグスから折り返しのパスが入る。ルーニーがワントラップからゴール前に送ったボールは、ファーサイドで詰めていたエルナンデスへと渡り、楽々と押し込んだ。シンプルで鮮やかな攻撃によりマンチェスターが先制した。しかし、マルセイユとしては1点取れば勝利ということに変わりはない。

 9分、マルセイユは自陣右サイドから前方中央に放り込まれたボールを、戻りながら受けたAアユーが直接ヒールでゴール前につなぐと、CBスモーリングの裏で狙っていたジニャクへ渡る。Pエリア内にフリーで抜け出し絶好の場面となったが、ワンバウンドしたボールを直接狙ったシュートは、枠をとらえることができなかった。
 24分、マルセイユのGKマンダンダがキックミス、前線に残っていたマンチェスターのナニに渡してしまい、ピンチとなる。そこからPエリア右サイドに入り込んだルーニーにボールが渡るが、ルーニーのマイナスのボールはナニには合わず、クリアされてしまった。
 34分、右サイドを駆け上がって攻め込んだオシェイが、左のハムストリングを痛めてしてしまう。ピッチを出ている間にマルセイユが左CKをゲット、ショートコーナーからゴール前にクロスが入ったところへ、ディアワラがドンピシャのタイミングで飛び込んだが、ヘディングを決めそこなってしまった。
 結局、オシェイに替えてファーガソン監督はラファエウをピッチへ送る。
 39分、マルセイユのシェイルがゴール正面から強烈なミドルシュートを放ったが、GKファン・デル・サールがきっちりとセーブ。
 このあと、お互いが交互に攻め合うオープンな展開になるが、スコアは変わらずハーフタイムへ。

 後半、ややマンチェが主導権を握る。
 56分にはマルセイユ陣内でパスを回してペースを握ると、ルーニーがPエリア左サイドでディアワラをかわし、さらにファーサイドでフリーとなっていたエルナンデスへパスを通そうとしたが、ここはエインセにカットされた。
 61分、マンチェスターはナニに代えてグループリーグ第1節での足首骨折から復帰してきたヴァレンシアを投入。ヴァレンシアはキレのある動きを見せ、さらに攻撃を活性化する。
 だが67分、途中出場のラファエルもハムストリングを痛めてしまい、3枚目のカードを切る羽目に。双子の兄弟、ファビオと交代。
 同点としたいマルセイユ、74分に右に開いたレミにボールが渡り、鋭いパスをゴール前のシェイルへと通したが、シェルがダイレクトで合わせたシュートはファン・デル・サールにしっかりとキャッチされてしまった。
 するとそのすぐあとに、マンチェスターはギグスとヴァレンシアのコンビが右サイドを攻略する。ロングスローを右サイドの深い位置でギグスが拾うと、対峙するエムビアを避けるようにヴァレンシアにバックパス。ヴァレンシアはドリブルで中央へ絞ると見せかけ、反転。外に残っていたギグスを確認し、縦へスルーパスを通す。完全に抜け出したギグスは、やはりDFラインの裏を取ってゴール前に入り込んだエルナンデスへグラウンダーのパスを送ると、エルナンデスはここも合わせるだけで2点目を奪取。これでマルセイユが勝ち抜くためには2点が必要となってしまった。

 すると81分、マルセイユがマンチェスターゴールを攻めたて、CKを2度続けてゲット。2本目にゴール前に蹴りこまれたボールを、ブラウンが痛恨のオウンゴール献上。スコールズがかき出そうとしたが間に合わなかった。

 この得点でマルセイユが勢いづく。だが、マンチェスターもファン・デル・サールの冷静なプレーなどで落ち着きを取り戻し、そのまま延長へ。
 そして4分間のロスタイムもマルセイユに得点を許さず、試合終了。
 マンチェスターUが、ホームゲームで勝利を挙げて、準々決勝に進出した。


―TOTAL―
   マルセイユ 1−2  マンチェスターU



 
 






―FIRST LEG―
  インテル 0−1  バイエルン
ゴメス 90

 昨シーズンファイナルの顔合わせ。ホームのインテルは、今季モウリーニョの後を継いだベニテスとの契約を12月末に解除、新たにレオナルドを招聘。同じく冬の移籍シーズンに抜擢された長友は、ベンチスタート。右SBにマイコン、左にキブを置き、エトーのワントップの下にスナイデルとスタンコヴィッチという布陣。
 対するアウェーのバイエルンはここに来て前線のメンバーが揃い、左にリベリ、右にロッベンを配する。トップはマリオ・ゴメス、その後ろにミュラーが入る。

 前半開始早々インテルが得た40m程のFKで、スナイデルがインテルゴール前に放り込んだボールをジェノアから獲得したばかりのCBラノッキアがフリーで合わせたが、右足のシュートは右に外れる。
 このあとバイエルンのファン・ハール監督は、早くも左SBのグスタボとボランチに入っていたプラニッチをポジションチェンジ、修正を図る。
 その後はバイエルンに流れが傾いたが、22分にインテルのチャンス。右サイドでボールを受けたマイコンが自陣からドリブルで持ち上がり、途中でエトーに預けると、少しキープしたエトーがマイコンとのワンツーで縦を突破。追いすがるバドシュトゥバーを振り切り、バイエルンゴール前近い位置のカンビアッソへボールをつないだが、カンビアッソのシュートはGKにブロックされて得点にはならなかった。
 対するバイエルンはその直後の攻撃でゆっくり組み立てると、右のロッベンがインスイングでゴール前に放り込んだクロスを、リベリがヘディングシュート。これは惜しくもクロスバーを叩いた
 28分のバイエルン。大きなサイドチェンジで右のロッベンにボールが回ると、対峙するキブとカンビアッソの間から走り込むラームへ絶妙なパスを通す。ラームはそのままの勢いでPエリア右よりに持ち込みボールを折り返したが、合わせたゴメスはシュートを大きくふかしてしまった。
 33分、セットプレーが2度続いたインテルは、そのクリアボールを再びPエリア内に放り込むと、ルシオがつないだボールをゴール正面のエトーが拾う。すかさず2つドリブルを挟んで左から回り込み、コースを作って左足一閃。だがここはGKもファインセーブ、左手でシュートをブロックした。
 このあとも両者得点ならず、後半へ。

 前半のうちに、バイエルンは左SBに移動したプラニッチがハムストリングを痛めて交代。後半スタート時は両チームともメンバーの入れ替えはない。
 47分のバイエルンの攻撃。右のロッベンにボールが回ると、またもやキブとカンビアッソが寄せて来たところで、二人の隙間から今度はクロスをあっさりと上げる。このボールにミュラーが頭で狙ったが、シュートはゴールの左に流れてしまった。
 バイエルンは53分、左サイドでインテルからボールを奪うと、リベリがドリブルで切り込んでから中央へパス。Pアーク内のミュラーがワンタッチで後方に落としたボールをロッベンが受け、ドリブルでPエリア内右方向に流れながらシュートまで持ち込んだが、右ポストに阻まれてしまいここも得点ならず。
 受け身の時間が続くインテル。57分にようやく枚数をかけた攻撃を展開すると、バイエルンのクリアボールを奪ってPエリア内のエトーへとつなげる。エトーはトラップからシュート。GKが正面のボールを弾くとカンビアッソの目の前に転がったが、このチャンスでカンビアッソはシュートを大きくふかしてしまった。
 65分にはバイエルンFWゴメスがインテルCBラノッキアを翻弄。ゴメスはトップの位置でラノッキアにマークされた状態からその裏を狙うと見せ、反対に少し引いてパスを受けると、ラノッキアは反応が遅れた上に足を滑らせてしまう。慌てて寄せてきたラノッキアを尻目にゴメスはミュラーにボールを預けてラノッキアの背後へ。そこへミュラーからダイレクトでボールが入ったが、ここはGKジュリオ・セザールがよく詰めてピンチを救った。
 このあとインテルはミスパスをカットされるなどもあって、一方的にバイエルンの攻撃にさらされる展開となる。さらに73分、ラノッキアがキブとの接触で膝を痛め、ピッチを去る。投入されたのはやはり冬にジェノアから獲得したMFハルジャ。サネッティが左SBに、キブがCBに移った。
 80分、スナイデルが得たFKから久しぶりにバイエルンゴールに迫ったインテル。エトーから右のハルジャに出たボールをPエリア内深い位置から折り返したが、GKがカットし、詰める選手もいなかった。
 残り5分となったあたりからインテルにチャンスが続く。スナイデルのFKは相手にあたってわずかにゴールの上へ。続く右CKでゴール真ん前のモッタが強烈なヘッドを放ったがGK正面。
 その後もセットプレーのチャンスが何度も続いたインテルだが、バイエルンゴールをこじ開けることができない。
 インテルの攻撃が一段落した89分過ぎ、バイエルンのロッベンが右から中央へドリブルで持ち込みミドルシュート。無回転のワンバウンドシュートにキーパーは反応したものの抑え切れず、こぼれたところを抜目なく狙っていたゴメスが押し込み、最後の最後でついに均衡が破れた。

 試合はこのままバイエルンが勝利。インテルは守り重視の展開だったがアウェーゴールを奪われての敗戦となってしまった。


―SECOND LEG―
バイエルン 2−3  インテル  
ゴメス 21
ミュラー 31
エトー 4
スナイデル 63
パンデフ 88

 終了間際の得点でアウェーゲームをものにしたバイエルンがホームで迎える第2戦。しかしバイエルンは勝利した第1戦の後の国内ゲームで不調が続いており、リーグ戦と国内カップで3連敗。ファン・ハール監督が来シーズンまでの契約を縮小し、今期いっぱいとされてしまった。直前の国内リーグのゲームでは大勝し、このゲームへの弾みとしたいところ。GKは第1戦を完封したクラフト。トップにマリオ・ゴメス、2列目にロッベン、ミュラー、リベリ、ボランチにシュバインシュタイガーと前回スナイデルをマークしたグスタボが入る。
 一方のインテルはレオナルド監督に代わってから好調を維持している。キブが左SBで先発したため、長友はベンチスタート。サネッティが風邪でメンバー外となったため、モッタが中盤の底に入り、カンビアッソとスタンコヴィッチ、スナイデルが中盤、パンデフとエトーの2トップで臨む。
 関東東北大震災の直後のUEFA主催ゲームとあって、アンセムの際に「私たちは日本の皆様と共にいます」という横断幕とWITH YOU JAPANという電光掲示板のメッセージ、そして喪章を着け、黙とうの後のゲーム開始となった。

 試合は開始早々の4分、いきなりインテルが先制する。左サイドを上がったキブが縦に入れたボールをスタンコヴィッチがいったん受けて、すぐ右のパンデフへ。ここでCB2枚がパンデフに注意を奪われた瞬間、間を縫って縦に抜けるエトーにパンデフからスルーパスが通る。オフサイドギリギリのところだったが笛はならず、エトーがボールに追いつきざま左足を振り抜き、GKクラフトの足元からボールをゴールに流し込んだ。
 このゴールの後も、両チーム早いプレッシャーで攻守がころころと入れ替わる、見ごたえのある展開。
 10分にはバイエルンのリベリが左サイドでボールを持つと、そのまま中央に回り込んで右前のゴメスへパスを通す。ゴメスがそのまま前を向いてPエリア内でシュートに持ち込んだが、ラノッキアがスライディングでコースを切った。
 21分、この日も切れているバイエルンのロッベンが、右サイドをドリブルで縦に仕掛ける。対応するキブとラノッキアに対しロッベンが中へと切り込み、さらに後方から詰めてきたモッタに対しても左足アウトを使ってさらに左へと切り返して3人をかわすと、1つドリブルを挟んで左足のミドルシュート。コースはGK正面だったが鋭いシュートで、Jセーザルが第1戦に続きこのボールもキャッチに行ってハンブルしてしまう。こぼれたところに詰めたゴメスが、後ろ向きながら背後へのループシュートを決めて、技ありのゴールでバイエルンが同点に追いついた。

 このゴールから10分後、今度は左サイドに回ったロッベンがドリブルで中へ持ち込みパスを送る。このボールがインテルの選手に当たって最終ラインの裏にこぼれ、ラッキーな形でPエリア内のミュラーの元へ。素早くJセーザルが詰めたもののミュラーはループでシュートを決めて、バイエルンが逆転に成功した。

 35分、まだ左サイドにロッベンが残るバイエルンだが、今度はロッベンとの絡みからリベリが左サイドを突破し独走、GKと1対1になる。しかしここはJセーザルがしっかりとコースに入り、シュートをブロック、CKに逃れた。
 39分のインテル、ルシオが中央を持ち上がり、スナイデルへパス。スナイデルはグスタボのチェックをかわし、右サイドを上がるスタンコヴィッチへ見事なパスを通す。しかしスタンコヴィッチのファーストタッチがやや流れてしまい、GKに押さえられた。
 直後に今度はバイエルンのチャンス。左でボールを持ったリベリがゆっくりと中へ持ち込み、Pエリア内右の深いところへボールを放り込む。ここにゴメスが滑り込みながらラインぎりぎりでボールに合わせると、GKも飛び出して無人となったゴール前にボールがコロコロと転がっていく。慌てて反応したラノッキアとミュラー。辛うじて先に追いついたラノッキアが滑り込みながらかき出したボールが、同じく滑り込むミュラーの足に当たって左ポストをたたいたが、ボールはピッチの方に転がってGKがキャッチ、なんとか失点を免れた。
 41分、インテルはゴール真正面30Mほどの位置でFKのチャンス。もちろんキッカーはスナイデル。スナイデルはここでふわりとしたシュートを選択、クロスバーを越えてしまった。
 43分、左サイドでロッベンも絡んで崩しにかかるバイエルンは、リベリがPエリアに持ち込んでゴール前に折り返す。これをラノッキアがカットしたところ、並走するロッベンへのパスとなってしまった。ロッベンはシュートまで持ち込んだが、やや左の角度のないところだったため、枠を外した。
 前半ロスタイム、バイエルンのカウンター攻撃に対応したルシオがリベリからボールを奪ったものの、ゴールライン際でクリアをせずにボールをキープ、リベリとミュラーに詰められてボールを失ってしまう。ミュラーがゴール前へボールを送り、バイエルンがチャンスを迎えたが、最後はオフサイドになってしまった。

 後半に入って6分、最低でも2点が必要なインテルは、スタンコビッチに替えて久しぶりの出場となるコウチーニョを投入。
 59分、インテルのルシオが攻撃に出てファールし、イエローカード。累積で次のゲームは出場停止。
 しばらくインテルの攻撃が続いたが、61分からバイエルンが連続でインテルゴールに迫る。左サイドをゴメスが突破、ゴール前のロッベンに向けてクロスを蹴りこむが、マークしていたキブがブロック。ボールを奪ったインテルだが、マイコンがミスからミュラーに奪われてしまい、再びインテルにピンチ。バイエルンは左サイドでボールを回すと、リベリが緩急をつけたドリブルでカンビアッソを置き去りにし縦に抜け、マイナス気味にふわりとしたボールを折り返す。Pエリア内で待っていたゴメスがダイレクトで強烈なボレーシュートを蹴りこんだが、コースに入ったJセーザルがしっかりブロックしピンチを救う。
 すると直後の63分、逆襲に転じたインテルは、左のコウチーニョから右のエトーにボールを振ったところで、エトーはフリーになっていたスナイデルに落とす。走り込みざまスナイデルが右足を振りぬくと、シュートは逆サイドのゴール左に見事に決まって、インテルが1点を返した。

 65分、バイエルンはインテルゴール前でのゴメスとミュラーのワンツー、さらにもう一つミュラーに返してPエリア内でフリーとなるチャンス。だがミュラーがトラップを挟んだことで、ラノッキアにシュートをブロックされてしまった。
 その直後にはインテルが逆襲、CKを得ると、スナイデルのボールはいったん跳ね返されたものの、再び放り込むとラノッキアが頭で合わせ、ゴール前で混戦に。しかし、バイエルンが何とかかき出した。
 67分にはスナイデルからのパスをPエリア内でゴールを背にしながら受けたパンデフが、プラニッチのマークを受けながらシュートを狙ったが枠の外。
 68分、ロッベンが下がりアルティントップと交代、インテルにとって最も怖い存在がいなくなる。さらにその2分後にはCBファン・ブイテンが下がり、バドシュトゥバーが投入される。
 この後も両チーム相手ゴールに攻め込みあい、緊迫した展開が続く。ただしバイエルンの右サイドの迫力はなくなった。
 80分のインテル。左サイドを持ち込んだエトーの折り返しをスナイデルがダイレクトシュート、しかし前にいたパンデフに当ててしまう。
 この80分あたりから引いて守るような形になったバイエルンは、82分にカウンターから3対2の好機を迎えたが、ゴメスのドリブルはラノッキアに阻止された。
 刻一刻と少なくなる時間に、レオナルド監督の顔にも焦りが見える。粘るバイエルンにレオナルドが2枚目のカードに選んだのは、長友。87分、キブを下げてさっそうとピッチに入る。
 すると1分後、自陣中央付近でインテルがFKを得た瞬間、左サイドの長友がトップスピードで駆け上がり、そこをめがけてスナイデルからロングボールが放り込まれる。このボールにバイエルンCBブレーノが先に入るが処理を誤り、背後についたエトーが奪取。ここに長友も入り込んでバイエルンの守備陣の注意が集中したところで、エトーは右にボールを転がす。ここに走り込んできたのは、パンデフ。左足で落ち着いて放ったシュートがゴール左上に飛び込んで、土壇場でインテルが逆転に成功した。

 この後パンデフを下げてハルジャを投入するインテル、CBブレーノを下げてMFクロースを投入するバイエルン。ロスタイムは4分。しかしインテルはこのリードをきっちりと守り切って、試合終了。
 インテルが逆転でベスト8進出を決めた。

 なお、ゲーム終了後、長友が被災地を勇気づけるメッセージを書いた日の丸を掲げ、ピッチにはFC東京バージョンの「you'll never walk alone」が流れ、アリアンツ・アレーナの観客からの拍手も添えられた日本へ向けた特別な演出で、素晴らしい試合が締めくくられた。


―TOTAL―
  インテル  3−3 
アウェーゴール差でインテルの勝利
バイエルン