〜 準決勝 〜

'10/04/20,21 第1戦
'10/04/27,28 第2戦


インテル vs バルセロナ  バイエルンM vs リヨン


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―FIRST LEG―
     インテル 3−1  バルセロナ
スナイデル 30
マイコン 48
ミリート 61
ペドロ・ロドリゲス 19

 数日前に発生したアイスランドの火山噴火による火山灰の影響で、欧州の航空網が麻痺。アウェーのバルセロナは、国内リーグのエスパニョール戦を引き分けで終えた翌日にバスで出発、1泊挟んで2日かけてイタリアのミラノまで1000キロの距離をやってきた。
 インテルは今シーズン、ホームゲームで負けが無い。いや、モウリーニョ監督自身がホームゲームの負けがなく、負けた記録はチェルシー時代を超えてポルト時代までさかのぼる。
 グループステージでも戦った両チーム。ここジュゼッペ・メアッツァでのゲームはスコアレスドローに終わっている。
 バルセロナはイブラヒモヴィッチがケガから復帰して先発を果たした。イニエスタはケガで欠場。メッシはトップ下でスタート、左にケイタ、右にペドロとする4−2−3−1。
 インテルのフォーメーションも似たような形。トップにミリートを置き、トップ下にスナイデル、右にエトー、左にパンデフの布陣。

 立ち上がりはバルセロナがボールを支配。インテルはそれほど厳しい当たりを見せずに受けに回り、ボールを奪った時に素早くバルサゴールを襲おうとする気配がうかがえる。
 最初のビッグチャンスはインテル。17分、左のスローインからボールをつなぎ、ゴール正面20M強の位置からエトーが左隅にシュートを狙う。GKビクトール・バルデスが反応するものの、弾いたボールをミリートが左からシュート。しかしこれはゴール前を横切ってしまった。
 このシーンから徐々にインテルがペースをつかみ始めたが、インテルは自陣でのパスミスでボールをバルサに渡してしまうと、そこからバルセロナがボールをキープ。
 ゆっくりとしたボール回しでインテルのプレスをかわし続け、一番左のマクスウェルにわたった瞬間、縦へのドリブルでカンビアッソを振り切ると、そのままPエリア深いところまで侵入に成功。ぎりぎりまで持ち込んでからマイナスにパス、走り込んだペドロがゴール真正面からシュートを叩き込み、バルセロナがアウェーゴールとなる先制点を奪った。

 インテルは急いているせいか、なんどもオフサイドにかかってしまう。
 27分のインテル。左スローインからまたもやボールをつなぎ、スナイデルからパンデフ、そしてミリートと流れるように渡ってPエリアまで持ち込む。ミリートは飛び出すGKを見定めてシュートを放ったが、ボールは右に外れてしまった。
 30分、インテルは今度は右サイドからバルサの守備を崩しにかかる。マイコンからさらに右に開いたエトーへボールが渡り、グラウンダーのボールが中央へ蹴りこまれる。これを拾ったミリートが、さらにファーサイドのスナイデルへパスを送ると、すっかりマークがずれてフリーとなっていたスナイデルがシュートをゴールに叩き込んで、前半のうちにインテルが追いついた。
 メッシやイブラヒモヴィッチはまったくプレーをさせてもらえないまま、前半を終了。

 後半、立ち上がりからインテルがチャンスシーンを2度作り出すと、3度目に結果を出す。48分、ドリブルするメッシからボールを奪ったインテルはカウンター。パンデフが中盤をドリブルで持ち上がり前をゆくミリートへボールを送る。ボールはやや右へ流れたが、交差するように中へと上がってきたSBのマイコンへミリートがボールを渡すと、ワントラップからシュートをゴールに流し込み、早い時間帯にインテルが逆転した。
 その3分後、裏に抜けようとしたミリートをプッシングで阻止したプジョルがイエローカードを受け、第2戦に出場できなくなった。
 53分、右サイドでパスを受けたメッシが、ゆっくり中央に絞り込みながらコースを見つけてミドルシュート。しかしGKがブロック。
 54分にバルサの左CK。ゴール正面に落ちてくるボールに対し、インテル守備陣が前掛かりとなってしまい、ブスケッツがフリーでヘディングシュートを放ったが、ここもGKのジュリオ・セーザルがブロックでゴールを守る。

 メッシが2度、ドリブルで持ち込もうとして同じアルゼンチンのサネッティと対峙、その結果、サネッティがうまいディフェンスを見せ、メッシからボールを奪取した。
 バルサペースにならないまま試合が進み、61分、インテルはバルサ陣内でモッタがボールを奪うと、持ったからパスを受けたエトーが右サイドからセンタリング。これをファーサイドのスナイデルが頭で折り返し、オフサイドの際どいタイミングで反応したミリートが詰めてゴールゲット。スコアを3対1とする。
 ここで、バルセロナはイブラヒモヴィッチを諦めてアビダルを投入、メッシを真ん中へと持ってくる。
 時間が経つに連れてインテルが引き気味になり、バルセロナがインテル陣内でボールをキープする率が増えるが、インテルの固い守りの前にチャンスを作ることができない。
 そしてホイッスルが響き、インテルがバルサを下して第2戦を迎えることになった。


―SECOND LEG―
バルセロナ 1−0  インテル
ピケ 84

 第1戦でよもやの3失点を喫したバルセロナは、ホームで最低2点が必要な状況。今日の布陣は右にメッシ、左にペドロ、真ん中にイブラヒモヴィッチの3トップ。中盤はケイタが前目で、その下にシャビとブスケッツ。DFラインはプジョルが累積警告で、アビダルがケガで不在なこともあり、CBはトゥーレとピケ。左SBに兄弟対決となるガブリエル・ミリートが入り、右SBはDアウベス。
 一方のインテルは、故障が心配されたスナイデルがトップ下で先発。最前線にディエゴ・ミリート、右にエトー。左はパンデフが先発の予定だったが、ウォーミングアップ中に筋肉を故障し、急遽キブに変更された。前回メッシを封じたサネッティは同じく左SB。

 開始わずか2分で、インテルサイドPエリアのわずか右でFKを得たバルセロナだが、ここはインテル守備陣が無難に処理。
 その後もバルセロナがボールを回す展開。10分過ぎ、ピッチ外で倒されて肩を痛めたマイコンが時間稼ぎのためにわざわざピッチ内に戻ってから故障をアピール、スタジアムはブーイングの嵐。
 インテルはミリートが前線で張っているものの、エトーやスナイデルは全く消えた状態で20分を経過。時折カウンターから攻めるものの数をかけず、最終ラインはガッチリと壁を作ったまま。
 22分、バルサは右のDアウベスからのセンタリングを、Pエリア内のイブラヒモヴィッチが頭で落とし、そこにシャビが入り込んだが、サムエルとルッシオがしっかりとブロックしシュートを打たせず。その1分後にも右のDアウベスからのボールを今度はペドロがダイレクトで狙ったが、枠の右に外れた。
 27分、インテルのモッタがブスケッツの顔に手をかけたことでこの日2枚目のイエローを受け、なんと早々に退場。キブとDミリートを中盤へ下げ、スナイデルがトップに残る布陣へと変更し、守りに比重を置く。

 32分、メッシが右寄りでボールを受けてドリブルで左に移動しながらシュート、しかしGKセザールが横っ飛びで反応、わずかに手に当てたことで左に外れた。
 その後も何度かバルサはインテルゴールに迫るものの、ゴールをこじ開けるには至らず。一方のインテルはシュート0本、7割方ボールをバルサに支配された内容で、前半を終了。

 ガチガチに引いて守るインテルの壁をどうやってバルセロナが崩して2点を奪うのか。後半バルサはGミリートに変えてマクスウェルをピッチへ送り、45分がスタート。
 早々にセンターライン付近でFKを得たインテルが時間をかけた末に直接シュートを狙う。勢いは弱く枠も外したが、これがインテルのファーストシュート。
 しかしこのあと、時折インテルがバルセロナ陣内に攻め上がるシーンが出てくる。だが、バルサはボールを奪ってもインテルが戻りきる前に攻めの形を作ることができず、膠着したまま時計は進む。
 60分近くになるとミドルシュートで打開を図るバルサだが、枠に飛ばない。するとバルセロナはイブラヒモヴィッチに代えてボージャン、ブスケッツに変えてジェフレンを投入し、さらに攻勢を強める。するとインテルもスナイデルに代えてムンタリを投入。
 残り時間15分となると、インテルは9人全員が引いて守り始め、バルサはピケが前線に上がる。
 残り10分、Dミリートを下げ、コルドバを入れるインテル。
 82分、やや左寄のメッシからゴール前に放り込まれたボールが走りこむボージャンの頭にピタリと合ったが、このビッグチャンスにボージャンはシュートを右に外してしまい、皆が頭を抱え込む。
 だがその2分後、ようやくバルセロナがゴールをこじ開けた。
 インテルのPエリア前でゆっくりパスを回すバルセロナは、中央のシャビから左前のピケに鋭いパスが入り、ゴール前へ。前からGK、後ろからコルドバが追いすがるところをボールを止めてかわすと、反転してそのままシュート。冷静で見事なプレーにより、先制点を挙げた。

 騒然とするスタジアム。バルセロナはシャビ、メッシと立て続けにミドルシュートを放つが、GKセーザルが防いだ。
 ロスタイムは4分。92分、ゴール前にこぼれたボールにボージャンが反応しボールをゴールに押し込んだが、その前にトゥーレのハンドを取られノーゴール。
 最後に訪れたCKもバルセロナはものにすることはできず、試合終了のホイッスル。インテルが10人で守りきり、このゲームは敗れたものの、決勝進出を決めた。
 バルセロナは2連覇を絶たれ、決勝でマドリッドのホームであるサンチャゴ・ベルナベウに立つことも無くなった。


―TOTAL―
インテル 3−2  バルセロナ



 
 






―FIRST LEG―
バイエルンM 1−0  リヨン    
ロッベン 69

 バルセロナと同様、リヨンも火山の影響でバスで860kmを2日かけ、ミュンヘンまでやってきた。
 そのリヨンは、バイエルンとの2連戦の間に予定されていた国内リーグを5月に延期することに成功。
 バイエルンはファン・ボメルとバドシュトゥバーが不在。

 前半、バイエルンが何度かリヨンゴールに襲いかかるが、フィニッシュの精度が悪く得点に至らない。逆に30分、リヨンは右のCKのクリアボールをエデルソンが直接ミドルシュートで狙ったが、ゴール前のデミチェリスに当たって枠をそれた。
 37分、バイエルンのリベリがドリブルでボールを持ち込む際、止めに来たLロペスの左足首を踏みつけたことで一発退場、バイエルンはひとり少なくなってしまった。

 後半、バイエルンはティモシュクを中盤に送り、代わりにFWのオリッチOUTでスタート。リヨンのゴールを目指して戦う姿勢に変わりはない。数的優位のリヨンは、慎重というよりは神経質な試合運び。51分にロッベンが右サイドをドリブルで仕掛けたところにトゥラランが不用意に足を掛けて、イエローカード。
 53分、バイエルンのラームがドリブルで中央を突破、Pエリア内の右サイドを深く持ち込んでからゴール正面のミュラーへマイナスのパスを渡したが、ボールが足元に入りすぎたミュラーはシュートを打てずにチャンスを逃す。

 54分、中盤でのボールの奪い合いでトゥラランが足の裏を見せたことで2枚目のイエローを受け、リヨンも10人となってしまった。
 この結果、試合はスピードアップする。

 バイエルンはなんどがゴール前に迫るもののチャンスを作るまでに至らなかったが、69分、ロッベンがミドルシュートを蹴り込んだところ、無回転だった上に、かがんだミュラーの頭にかすってコースが変わり、GKの逆を付く形になってゴール。ついに均衡が破れた。

 ホームでさらに得点が欲しいバイエルンだが、このあともリヨンを攻めあぐね、85分にはロッベンが下げられてしまう。ロスタイムの3分も淡々と過ぎて試合終了。
 バイエルンにとっては最低限の勝利、リヨンにとっては許容範囲の1失点による敗戦となった。  


―SECOND LEG―
    リヨン 0−3  バイエルンM
オリッチ 26、67、78

 ホームで先勝し、アウェーのリヨンに乗り込んできたバイエルン。先週のようなバス移動は無いものの、国内のゲームから中2日のゲームとなる。リベリは出場停止だが、逆にファン・ボメルがサスペンション明けで復帰。FWはオリッチとミュラーの2トップ。ロッベンがいつも通り中盤の右に入る。
 ホームのリヨンは1stレグ以来のゲームで休養十分。怪我が心配されたクリスとブームソンのCBがいずれも先発を果たした。

 リヨンボールでスタートしたゲームは、開始2分にバイエルンがいきなりビッグチャンス。大きなクリアボールがバイエルン陣内右サイドへ転がり、CBのクリスが処理に向かったが、後ろからオリッチにチェックを受けてボールを奪われてしまう。オリッチからゴール正面に走り込んだフリーのミュラーへパスが入ったものの、ミュラーはシュートを右に外し、好機を逸してしまった。
 リヨンもバイエルンも前線からボールを追うため、動きの速い展開となる。特にバイエルンのオリッチは気迫を表に出してチームを叱咤する。そして、どちらかというとバイエルンのペースで試合は進む。
 9分のバイエルン。リヨン陣内右サイド深いところで得たスローインで、ロッベンがゴールニアサイドのミュラーへ直接ボールを送り、ミュラーが角度のないとこから右足を振り抜く。だが、ボールはゴール前を通り過ぎてしまった。
 両チーム決め手を欠き、20分あたりからあまり動きがなくなったが、26分、左のスローインからバイエルンがリヨンゴールに迫る。ボールを受けたミュラーがロッベンとのワンツーでPエリア内に縦へと抜け、DF2枚を引きつけたところでオリッチへマイナス気味にパス。オリッチはパスを受けざま反転してマークについていたシソッコを振り切り、そのままシュート。見事アウェーゴールが決まり、バイエルンが先制した。

 30分を回ったところ、攻め上がったリヨンは右のスローインからの展開でマクンがゴール前にクロスを送ると、ファーサイドでフリーのバストスに通ったが、バストスはボレーシュートを右に外し、チャンスを潰してしまった。

 前半の1点によりリヨンには3点が必要となる中、いくらか余裕を持って後半を迎えるバイエルンは、故障を抱えるヴァン・ブイテンに代えてデミチェリスをピッチへ送る。
 リヨンもSBのシッソコを外してFWゴミスを投入、攻撃のカードを切り、後半開始。
 57分、ロッベンが20M程の距離からゴール左隅を狙ったGKの手前でワンバウンドするシュートを放ったが、ヨリスが見事な反応を見せCKへ逃れた。
 59分、バイエルンがカウンターから左サイドをオリッチが持ち上がるところに、リヨンDF・クリスが正面からスライディング。足の裏を見せたということでイエローが提示される。さらにクリスはこの判定に拍手したことで続けてイエローを受けてしまい退場。これで、リヨンは窮地に立たされた。

 直後、バイエルン陣内でボールを奪うことに成功したゴブがドリブルで持ち込み強烈なシュートを放ったが、DFが寄せてシュートコースが限定されており、GKブットが横っ飛びでブロックしゴールを守った。
 67分、左サイドを持ち上がるアルティントップから、さらに前のオリッチへスルーが通る。抜け出たオリッチが左足を振り抜くとボールはゴールに飛び込んで、ダメ押しに近い1点がバイエルンに入った。

 さらに78分、右サイドを深く持ち込んだラームからのクロスを、頭部から流血していたオリッチがヘディングシュート。これが決まってオリッチはハットトリック。
 このあともバイエルンは攻めつづけ、ロスタイムの2分も終了。バイエルンが2連勝で、決勝進出を決めた。


―TOTAL―
バイエルンM 4−0  リヨン