〜 準々決勝 〜

'10/03/30,31 第1戦
'10/04/6,7 第2戦


リヨンvsボルドー  バイエルンvsマンチェスターU

アーセナルvsバルセロナ  インテルvsCSKAモスクワ


見たい組み合わせをクリックしてください。





―FIRST LEG―
リヨン 3−1  ボルドー
Lロペス 10、77(PK)
バストス 32
  シャマフ 14  

 フランス勢同士の対決となったこのカード。ボルドーは、ここまでUCL負けなしの7連勝中。CBのプラニュスが故障のため、中盤の底を努めるAディアッラは出場停止のため、メンバーから外れている。
 ホームのリヨンも、今季のUCLではホームで負けなし。故障明け間もないボドメールをCBの先発に持ってきた。

 様子見といった展開で始まったゲームは、立ち上がりの10分といういい時間帯にいきなりリヨンが先制する。
 リヨンのFKが跳ね返された後にボルドーゴール前に放り込まれたロビングボールを、CBシアニが頭でクリアを狙ったがミス。右サイドにこぼれたボールをボドメールがゴール前に折り返すと、Lロペスが左足であわせてゴールが決まった。
 しかしそのわずか4分後、ボルドーのグルキュフが同点弾を演出する。
 右サイド前方でスローインを得たボルドー。SBシャルメのスローを受けたグルキュフが右サイド深く持ち込むと、切り返しで追いすがるトゥラランをかわしてそのままゴール間へへクロス。このボールにシャマフがピタリと頭で合わせ、早くもスコアをイーブンに戻した。

 24分のリヨン。右後方のバストスがロングボールをボルドーDFラインの裏へ蹴り込むと、デルガドが抜け出してこれに追いつく。Pエリアに入ったところでシュートを放ったが、GKキャラッソが左手で弾いてピンチを救う。
 するとそのボールを今度はボルドーがつないでカウンター。左サイドを持ち込んだトレムリナスが1つ内側のウェンデウへマイナス気味にパス。ウェンデウはダイレクトでゴール前に入り込んだグフランへボールを送ると、グフランはヒール気味の変則的なシュートでゴール上を狙ったが、ここはGKロリスが素晴らしい反応を見せ、左手で弾いてCKへと逃れた。

 32分、リヨンはパスをつないでボルドーゴールに迫ると、Pエリア左に抜けたピアニッチがゴール前へふわりと折り返す。このボールをDFトレムリナスが頭でクリアしようとするも空振り、ファーサイドのバストスへと渡ってしまう。バストスはトラップから左足を振り抜き、逆サイドのゴールネットにボールを突き刺して再びリヨンがリードを奪った。
 前半はこのままのスコアで終了。

 選手交代なく始まった後半。両チームともチャンスを何度も作り出すが、フィニッシュで阻まれて決定的なところまでは至らない。
 61分にボルドーに決定的シーン。右のシャルメからゴール前にセンターリングが蹴り込まれ、走り込んだシャマフが右足を伸ばして合わせたが、GKロリスが見事な反応でゴールを死守した。
 65分、リードするリヨンが先に動く。ピアニッチとバストスに代えて、シェルストレームとゴブを投入。
 69分、リヨンはデルガドが左サイド中盤からゴール前にボールを放り込んだところ、マクンがうまくボルドーDFラインの裏をとってゴール正面でトラップ、すかさずシュートを狙ったが、体制が崩れて力なくGKにキャッチされた。
 その1分後にはボルドーにチャンス。右のシャルメからのボールをPエリア内でグルキュフがお腹で弾き、連動してウェンデウが直接ボレーシュート。ボールは惜しくもクロスバーを叩いた。

 75分を回ったあたり、リヨンのシッソコがミドルシュートを放ったところ、ブロックしに行ったシャルメの避けた手にボールが当たってしまう。これがPKと判断され、Lロペスがきっちりと決めて、点差が2に広がった。

 79分、リヨンは左サイドをシッソコがドリブルで深く持ち込み、クロス。このボールに後方から走り込んだゴブがダイレクトで合わせたが、シュートは右に外れた。
 その1分後、Lロペスが不用意なファールでイエローを受け、第2戦に出場できなくなってしまう。
 90分、リヨンが連続で得た左CKの2本目、シェルストレームが左足で蹴り込んだボールにマクンがバックステップからヘディングシュート。しかし、マウス内にいたDFがクリアし得点ならず。 そしてロスタイムの2分を経過し試合終了。
 ホームのリヨンが先勝した。


―SECOND LEG―
ボルドー 1−0  リヨン  
シャマフ 45

 ホームのボルドーは、フェルナンドが直前の国内リーグで顎を骨折してしまって今シーズン絶望。ここ最近の公式戦3連敗中。
 リヨンは、Lロペスとゴブが出場停止で不在。怪我によりマクンが欠場し、ボドメールはベンチスタート。3トップの真ん中はゴミスが努める。

 立ち上がりからホームのボルドーが攻勢ながらも、全体的にはイーブンな展開。18分にボルドーにセットプレーのチャンスが訪れる。右サイドの中盤からウェンデウが左足でゴール前に放り込んだボールに、グルキュフがGKヨリスの前で頭で合わせたが、クロスバーを大きく越えてしまった。
 44分、ボルドーは最終ラインからのロングボールをシャマフが落とし、これをディアッラが30M強の距離から強烈なボレーシュートを蹴り込んだが、惜しくもクロスバーに当たってしまった。
 その1分後、左サイドから崩しにかかるボルドー、トレムリナスが縦に走り込んだジュシエにスルーパスを送り、自らはPエリアに向かって走りこむ。ジュシエはDF2枚を引きつけてトレムリナスへリターンパス。ワントラップでPエリアに持ち込んだトレムリナスがマイナスのパスを送ると、走り込んでいたプラシールの右足を経由してゴール正面のシャマフが押し込み、ボルドーが前半終了間際に先制した。



―TOTAL―
  リヨン 3−2  ボルドー



 
 






―FIRST LEG―
   バイエルン 2−1  マンチェスターU
リベリ 77
オリッチ 90+2
ルーニー 2

 ホームのバイエルンはロッベンが故障のため、ベンチにも入ることができなかった。シュバインシュタイガーも累積のために不在。2トップはオリッチとミュラーのコンビ。左にリベリが陣取る。左CBに怪我から復帰したばかり、フェイスガードを着けたデミチェリスが入った。
 一方のマンチェスターは好調ルーニーのワントップで臨む。

 マンチェスターボールのキックオフで始まってすぐ、バイエルン陣内右サイドのコーナーに近いところでデミチェリスがナニにファールを与え、いきなりマンチェスターはFKのチャンス。
 ナニがゴール前に向かって蹴り込んだボールは壁の位置に入ったファン・ボメルの頭に当たってループ気味にゴール前に飛び込むと、ここにはデミチェリスが足を滑らせマークを外してしまったルーニーが走り込んでいた。ルーニーは難なくボレーでゴールに叩き込み、スタジアムが盛り上がるまもなくバイエルンは失点を喫した。

 あまりにも早すぎる得点は、両チームにどのような作用をもたらすのか。
 アウェーゴールでリードしたマンチェスターは、最終ラインでは時間をかけ、攻撃では、リベリの裏へ右のナニを走らせ長いボールを入れる戦術を多用。相手ボールとなったときには厳しくチェック。
 バイエルンは初めは攻め急いだものの、守りの意識が強いマンチェスターに対し、次第にペースをつかむようになる。
 16分、マンチェスターはカウンターから長いボールをルーニーが拾い、Pエリア内で切り替えしてシュートまで持ち込むが、CB2枚が壁を作り跳ね返す。さらに流れの中からナニがゴール前にドリブルで侵入しシュートを放ったが、ボールは枠の右に外れた。
 バイエルンは攻撃のさい、右からのクロスの精度が悪く再三チャンスを潰す。
 22分のマンチェスター、ナニのクロスがバーを叩く。
 その1分後、バイエルンはパス回しから中盤下がってボールを受けたリベリがDFラインの裏へボールを放り込む。このボールに反応したアルティントップがPエリア内でトラップを選択、しかし上手く収めることができずにGKに奪われてしまった。
 27分にも再びリベリから。左サイドでうまく縦へと抜け出すとゴール前にクロス。GKファン・デル・サールがクリアしたボールをアルティントップがダイレクトシュートを狙うがミートせず、しかしゴール前に流れるボールにオリッチが足を伸ばして押し込もうと狙ったが、タイミングが合わずにそのままラインを割ってしまった。
 38分、マンチェスターは左サイドに開いたフレッチャーからゴール前にセンタリングが入ると、DFデミチェリスがジャンプするも届かず、裏のルーニーにボールが渡る。ルーニーはピタリとボールを止めてからシュートを放ったが、GKブットが体でブロックしゴールを守った。

 後半に入ると、マンチェスターは攻撃の形を作れなくなる。
 まず開始早々バイエルンがマンチェスターゴールに畳みかけるが、GKファン・デル・サールを中心にこれをしのぐ。
 56分にはバイエルンのアルティントップが右サイドでボールを受けると、切り返しでDFエブラをかわして中央へと切り込む。さらにゴール前で2度の切り返しを見せて3人を振り切りシュート。だが、ファン・デル・サールに正面でブロックされた。

 60分あたりからやや膠着した状態に。
 そんな中、最初に動いたのはマンチェスター。70分、キャリックとパクを下げ、バレンシアとベルバトフを投入。ベルバトフを攻撃に加える。
 続いてバイエルンが精彩を欠くミュラーを、ゴメスと交代。
 75分、Gネビルが自陣ゴール前右寄りのところで不用意なハンドをおかし、バイエルンに23mのFKのチャンス。
 リベリが蹴り込んだボールはマンチェスターの壁にあたってコースを変え、GKファン・デル・サールが1歩も動けないままゴールイン。ラッキーな形でバイエルンが同点に追いついた。

 80分過ぎ、Pエリアのルーニーに長いボールがピタリと入ったが、反転する間にすかさずDFデミチェリスがチェックし、クリアに成功。
 82分、マンチェスターは3枚目のカードとしてギグスをピッチへ送る。するとすぐにチャンスを演出する。
 左CKをギグスが左足で蹴り、走り込んだビディッチが強烈なヘディングシュート。しかしクロスバーに弾き返されゴールならず。
 このあとは再びバイエルンがボールをキープする時間が長くなる。

 ロスタイムにはバイエルンにビッグチャンス。途中出場のクローゼが左サイドをドリブルで持ち込み、ゴール前のゴメスへパス。ゴメスは右に流れながらもシュート、しかしここもファン・デル・サールが素晴らしい反応でボールを弾き、得点を許さない。
 だが、ロスタイムの2分を回る直前、マンチェスターに一瞬の隙が生まれた。
 バイエルンのゴメスが強引なドリブルで突破をはかると、ヴィディッチがファール気味のブロックでドリブルを阻止。ここで一旦プレーが止まりそうになるが、ひとりオリッチだけは違った。皆がスピードダウンしたところ、スピードに乗ったオリッチがエブラの足元のボールを奪うと、そのままゴール前に。シュートフェイントを一発入れてGKを倒した上でボールをゴールに叩き込み、土壇場でバイエルンが勝ち越しに成功した。
 マンチェスターにとっては不幸なことに、この流れの中でルーニーが足首を痛めてしまい、ピッチアウト。
 リスタートまもなく試合終了のホイッスルが響き、第1戦はホームのバイエルンが勝利を手にした。


―SECOND LEG―
マンチェスターU 3−2  バイエルン   
ギブソン 3
ナニ 7、41
オリッチ 43
ロッベン 74

 バイエルンにアドバンテージを許したマンチェスターがホームで迎える第2戦。第1戦のケガで間に合わないとされていたルーニーが、スタメンに名を連ねてきた。4-3-3のフォーメーション、3トップの両翼はナニとバレンシアが務める。パク・チソンはメンバー外。
 対するバイエルンもロッベンが間に合い、リベリとともに両サイドを固め、2トップにはミュラーとオリッチ、2列目にはファン・ボメルとシュバインシュタイガーが入った。
 両チームとも、サブメンバーにもそうそうたるメンバーが揃う。
 立ち上がりからいきなり厳しく行く両チーム。ゲーム内容も激しくなりそうな予感が漂う。そして、確かに試合はすぐに動いた。
 2分30秒を回ったところ、右サイドをラファエウが持ち上がり早めに中央へボールを放り込むと、ルーニーがワンタッチでギブソンへ落とす。ワンツーでルーニーに戻す選択肢もある中で、ギブソンはPエリア手前からシュートを選択。グラウンダーのボールがブットの右サイドを破り、早くもマンチェスターが先制し、トータルでもアウェーゴールを得ていることでリードを奪う。

 そして第1戦と異なり集中力をとかないマンチェスター。 6分に差し掛かるところで右サイドを上がったバレンシアにボールが渡り、バイエルンSBのバドシュトゥバーと対峙する。Pエリアの内と外でボールを止めて両者が駆け引きをしている間に、ナニがするするとゴール真ん前へと移動する。そこへ、バレンシアが鋭いボールを蹴り込むと、飛び込んだナニが後ろ足のヒールでボールをゴールに流し込み、あっという間に2点を奪った。

 18分、ラファエウがファン・ボメルへの報復ファールにより、イエローを受けてしまう。
 20分過ぎ、ルーニーがバイエルンのヴァン・ブイテンとの競り合いで右足首を蹴られて痛めてしまう。しばらく足を引きずっており、周りの選手も気を使ってルーニーを使わない時間帯が5分以上続いたが、交代はなし。
 27分、ファン・ボメルがマンチェスターのフレッチャーのドリブルを後ろからチャージし、イエローカード。準決勝に進んだとしても、出場できなくなった。
 39分に、この試合初めてのバイエルンのチャンス。マンチェスターのFKをクリアしたボールをロッベンがセンターサークル内で受けると、右サイドを上がるミュラーへ、マンチェスターの3選手が足のでない絶妙なコースのパスを通す。ミュラーはそこからドリブルで中央へ絞り、左サイドを上がってきたオリッチにへラストパス。オリッチはワントラップでPエリアに飛び込んだが、GKファン・デル・サールが素早く寄せてボールをブロック、ピンチを救う。
 41分のマンチェスター。右サイドで得たスローインを素早くつないでバレンシアが右サイドを突破。さらにデミチェリスをかわしてPエリアに持ち込むと、中央へ速いパスを蹴り込む。このボールがファーサイドまで流れたところを、走り込んできたナニが直接蹴り込んでゴールゲット。
 しかし前半はまだ終わらない。43分、バイエルンのミュラーがヘディングでPエリア内につないだボールを、オリッチをマークしていたDFキャリックが頭でクリアしようとしてミス。左サイドにこぼれたボールを角度のないところからオリッチがゴールに転がし込んで、1点を返す。

 さらに前半のロスタイム、バイエルンはインターセプトから右のロッベンがパスを受けてドリブル、ずるずる下がるマンチェDF陣をよそに中央へと持ち込むと、左足からミドルシュートを放つ。ゴール左隅を狙ったシュートだったが、GKが横っ飛びのワンハンドでこれをブロック、ゴールを守った。
 さらにバイエルンがたたみかけるがマンチェスターはロスタイムを凌ぎきる。そして、バイエルンはあと1点アウェーゴールを奪えば勝ち越すことができるという、どちらに転がるかわからない状況で前半を終了。

 後半、ルーニーは引き続きプレー。バイエルンはミュラーを下げてゴメスを投入、そして、立ち上がりからマンチェスターゴールにプレッシャーをかけていく。
 すると50分、中盤のリベリの力強いドリブルに後ろから追いかけるラファエウが審判の目の前で手でつかんで止めに入ってしまい、ホイッスル。2枚目のイエローが出てしまい、マンチェスターは一気に苦しい状況へと追い込まれてしまう。
 54分、今度はバイエルンのバドシュトゥバーが不必要なスライディングでイエローをうけ、次のマッチは出場停止に。
 このファールでマンチェスターが得た右サイドFKのチャンス、ゴール前に放り込まれたボールにGKが飛び出しパンチング、こぼれたボールをナニがワントラップからボレーシュートで狙ったが、クロスバーの超えた。
 この直後、マンチェスターはラファエウの抜けた穴を埋めるため、故障から戻ってきたばかりのオシェイを投入。かわりに足をひきずるルーニーをここで下げた。
 59分のバイエルン、右のロッベンが放り込んだクロスをDFが頭でクリア、落下点にいたリベリが左足ボレーでゴールを狙ったが、ファン・デル・サールの正面となり弾き返された。
 63分に攻め込まれていたマンチェスターのカウンター。全員がマンチェ陣内にいる状況でエブラがバイエルン陣内にボールを出すと、反応したナニが左サイドから独走。GKと1対1となり、ニアサイドを狙ってシュートを放ったが、ここはブットがきっちりとパンチングで処理をした。
 この後あたりからオープンな展開となり、両チームともゴールに迫るシーンが出てくるが、フィニッシュの精度が足らずなかなか次の1点が入らない。
 そんな中、ようやくゴールをこじ開けたのは、バイエルンのロッベンだった。74分、左CKでリベリがファーサイドのロッベンへ山なりのボールを放り込む。フリーのロッベンはこのボールを待ち構えて左足のダイレクトボレー、きっちりコントロールされたシュートがゴール左下隅に飛び込んで、ついにバイエルンがトータルスコアをアウェーゴールで上回った。

 直後に両チームが動く。バイエルンはロッベンを下げてアルティントップ、マンチェスターは4分後にDFキャリックに代えてFWのベルバトフを投入、続けてギブソンを下げてギグスをピッチへ送る。少ない人数で反撃を試みるマンチェスター、時間が進むにつれボールを回して時間を使うようになるバイエルン。ロスタイムの3分を経過し、試合終了のホイッスルが響く。
 結局、この試合は勝ったマンチェスターだが、3-0から2点を追い上げたことでトータルスコアではアウェーゴール差によりバイエルンが上回り、準決勝進出を決めた。


―TOTAL―
   バイエルン  4−4 
(アウェーゴール差で)
マンチェスターU



 
 






―FIRST LEG―
アーセナル 2−2  バルセロナ
  ウォルコット 69   
  セスク 85'(PK)
イブラヒモヴィッチ 46、59

 アーセナルのホーム、エミレーツスタジアムで行われる、時折雨の降る中でのゲーム。
 絶好調のメッシ、そして初の凱旋ゲームとなるアンリを擁するアウェーのバルセロナ。ケガからピケとシャビが戻ってきたが、逆にイニエスタが軽く太ももを痛めており、欠場。右にペドロ、左にケイタ、中央をイブラヒモヴィッチ、そしてトップ下にメッシという攻撃陣。2列目にシャビとブスケッツを並べる。アンリはベンチスタート。
 一方のアーセナルはバルセロナの下部組織出身であるセスクがケガを抱えているものの、2列目のスタメンに名を連ねた。前線はベントナーを中心に、右をナスリ、左にアルシャービンの布陣。

 立ち上がりにいきなりバルサにチャンス。右のCKを得ると、ボールをゴール前ではなくスペースのあった少し後方に入れると、ブスケッツがダイレクトで狙う。しかしここはGKアルムニアが好反応を見せ、CKへと逃れた。
 しかし、さらにバルサはアーセナルゴールにプレッシャーをかけ続ける。5分過ぎにはメッシがゴール真正面まで入り込み、Pエリアのすぐ外から放ったシュートをGKがブロック。さらにそのすぐ後には右を上がったダニエウ・アウベスの折り返しにイブラヒモヴィッチがゴール真ん前で合わせたが、ふかしてしまう。
 14分、ゴール前のシャビが少し左でフリーのイブラヒモヴィッチにパスを渡しまたもや決定的なシーンを作るが、イブラヒモヴィッチのシュートをGKアルムニアが左手で阻止。
 さらにこぼれたボールをなんとかつないだバルサ、左からPエリア内に折り返したボールをニアのイブラヒモヴィッチがスルー、後ろのシャビがPスポット付近からシュートするもGKがブロック、跳ね返したボールを2度、3度とシュートするバルサだが、GKアルムニアを中心に跳ね返す。
 バルサの猛攻の前に何点か失点してもおかしくないシーンを、アーセナルはどうにか耐える。

 23分、アーセナルは左からPエリアに持ち込んだナスリが右足で巻くようにファーサイドを狙ってシュートを打ったが、右に外れた。
 27分、アーセナルは足を痛めたアルシャービンに替えて、エブエを投入。
 37分、アーセナルにこの試合初めてのビッグチャンス。左サイドからのクロスをDアウベスがクリアミスし、ゴール真正面のベントナーへと渡る。すかさず右足ボレーを放つがGKバルデスが飛び込んでブロック、こぼれたボールを今度は左足でシュートするベントナー。しかしなんと右ポストに当ててしまう。だが、一連の流れが終わったあとで、そもそもオフサイドだったと判定された。
 42分、アーセナルは2枚目のカードもケガで切らずを得なくなった。故障上がりのガラスが足を痛めてアウト。

 一方的な展開に苦しんだアーセナルだがスコアレスでしのぎ、後半へと折り返す。しかし、早々にバルセロナにあっさりとゴールを破られてしまう。
 バルセロナボールのキックオフで始まると、最終ラインの組立からピケがアーセナルDFラインの背後を狙うボールを右前方に放り込む。ここに追いついたイブラヒモヴィッチが、少し前に出たGKの頭を超えるループシュートをゴールに放り込み、これまでなかなか決まらなかったシュートが30秒足らずで決まった。
 このあとアーセナルはマイボールの時も攻め急いでしまい、すぐにボールを失う悪循環。バルサペースで後半もゲームが進む。そんな中53分、アーセナルは左サイドをセスクが持ち上がり、さらに左をオーバーラップしたエブエへと展開。エブエはゴール前に意外性のある柔らかなボールを放り込むと、走り込んできたベントナーが高い打点のヘディングシュートで合わせたが、惜しくもGK正面。
 59分、それまでアーセナル陣内で攻めつづけたバルサが少しスピードダウン、中盤でシャビがボールを持ち、アーセナルのディフェンスも高い位置でラインを整える。すると、イブラヒモヴィッチがDFラインの裏を狙って動き出した瞬間、シャビから絶好のボールが放り込まれた。ガラスに代わり最終ラインに入ったソングが慌てて追いかけたものの、イブラヒモヴィッチは豪快なシュートをゴール右上に叩き込み、バルセロナにアウェーで2点のリードを奪われてしまった。

 アーセナルは66分、3人目の選手交代として、DFサニャを外しウォルコットを投入。ナスリをトップ下に加え、ウォルコットを定位置の右に置く。そして、いきなり結果を出した。
 69分、アーセナルは高い位置でバルサにプレッシャーを掛けてブスケッツのミスを誘いディアビがボールを奪うと、ナスリを経由したボールはベントナーへ。ベントナーはためを作ってから、右サイドを駆け上がるウォルコットに対しDFマクスウェルの裏にパスを送る。ウォルコットは簡単に抜け出しワンタッチでゴールへ向かうと、そのまま低い弾道のシュートをGKに当てながらもねじ込む。ベンゲル監督の采配が的中し、まず1点を返すことに成功した。
 そしてここから、ようやくアーセナルの時間帯となる。

 72分、アーセナルは分厚い攻撃からゴール真正面20m強の位置でセスクがファールを受け、FKのチャンス。しかしセスクのキックは枠の上へ。なおこのファールでピケがイエローを受け、2ndレグに出場できなくなった。
 77分、バルサはイブラヒモヴィッチに替えて、アンリをピッチへ送ると、アーセナルファンからも暖かい拍手で迎えらえれる。ただし、早速ボールを持った瞬間、大きなブーイングの制裁を受けることとなった。
 83分、アーセナルがパス回しから右のウォルコットにボールが渡る。ウォルコットはドリブルでPエリア近くまで持ち込み、ゴール前に強めのボールを蹴り込むと、バルサのプジョルに当たり、弾んだボールがゴール真正面のベントナーのもとへ。ベントナーは頭でフリーとなっていたセスクへと落とし、セスクが直接シュートを放とうとしたところへ、後方からプジョルがボレー寸前の右足を挟む形でファール。
 アーセナルにPKが与えられ、プジョルは一発退場となってしまった。
 セスクはPKを豪快にゴール左に叩き込み、2対2の同点に。
 しかしこの直後、セスクは右のすねを痛めて倒れこみ、ピッチの外へ。交代枠がないため再びピッチへ戻ったが、結果的には後の検査で骨にヒビが入っていることがわかり、少なくとも6週間の離脱となってしまった。

 87分、バルセロナは退場したプジョルへの対応として、メッシを下げてミリートをピッチへと送る。
 この終盤、お互い10人となっても攻撃をし合い、試合のペースは落ちないままロスタイムも経過。見ごたえのあった第1戦は、2対2の引き分けに終わった。    


―SECOND LEG―
バルセロナ 4−1  アーセナル     
メッシ 21、37、42、88 ベントナー 18   

 1stレグの前半に圧倒的なパフォーマンスを見せたバルセロナが、ホームでアーセナルを迎える一戦。注目のカードではあるが、両チームとも重要な選手を欠いて臨むことになった。
 バルサはCBのプジョルとピケが出場停止、イブラヒモヴィッチが国内リーグゲーム前のアップで右足を痛めて欠場。ボージャンがFWに入った。
 アーセナルはセスクが出場停止、かつ骨折によりメンバーから外れている。アルシャービン、ガラス、そしてソングがケガで不在。キャンベルも足を痛め、ベンチスタート。第1戦で流れを変えたウォルコットを先発に持ってきた。

 試合開始序盤、バルセロナがボールを回し、アーセナルがプレッシャーをかけて守る、様子見といった展開。
 15分、アーセナルのキーマンであるナスリがバルサのミリートによる厳しいスライディングを受けて負傷、しかしなんとか治療をしてピッチに戻る。
 18分、7割がたボールを支配されていたアーセナルが、初めてのチャンスをものにする。
 センターライン付近でボールを持ったミリートに対しアーセナルのディアビが厳しいチェックからボールを奪うと、右サイドを縦に抜け出るウォルコットに対してスルーパスを通す。ウォルコットはスピードのあるドリブルでPエリアまで持ち込み1対1の状況を作るが、ここでシュートではなく、ウォルコットと同時に抜け出して中央に走り込んだベントナーへのパスを選択。
 ベントナーが直接シュートを放とうとした時に、追いついたDアウベスが後ろからチェック、GKバルデスがボールを体で一旦は止める。しかしこぼれたところを素早く起きたベントナーがいち早くゴールに押し込んで、アウェーのアーセナルが先制することに成功した。
 しかし、これでバルサに火をつけてしまう。

 わずか3分後、バルサはボールをつないで右サイドから攻めこむと、中央にドリブルで入ったメッシがDFラインの裏を狙うシャビへパス。このボールはDFシルベストルがカットしたものの、再びボールはメッシのもとへ。トラップから鋭くメッシが左足を振り抜くと、矢のようなシュートがネットに突き刺さり、あっという間にバルセロナがスコアを振り出しに戻してしまった。
 その後もメッシの切れのあるプレーが冴える。
 30分には自陣左サイドから粘りのあるドリブルで2人、3人とかわし、最後はスライディングを仕掛けたデニウソンがイエローを受けてしまった。
 その2分後にはバルサDFのクリアボールを右サイドで受け、ドリブル。Pエリア内で対峙したシルベストルを切り返しでかわして縦に抜けると、右足でシュート。しかしこれはサイドネット。

 いまやポゼッション率が85%を越えてきたバルセロナ。35分からの2分間も、まるでTVゲームをプレーしているかのような、シンプルで見事なパスワークをアーセナル相手に展開する。
 まずアーセナルのスローインから始まったプレーを、バルサの各選手が素早くプレス、20秒もしないうちに左サイドでケイタがボールを奪う。すかさず今度はアーセナルがプレスをかけるが、狭いところでのパス回しからあっさり囲いを抜け出すと、センターを経由し右のDアウベスへ展開。
 Dアウベスはファーサイドからゴール前に走り込むボージャンヘのタイミングを計り、早いクロスをDFラインとGKの間へと蹴り込む。これはなんとかアーセナルが対処し大きくクリアするが、ボールは再びバルセロナへ。
 ワンタッチパスを中心に、アーセナルの綻びを探しつつ右サイドから左サイド、再び右サイドとボールを回すバルセロナ。そして中央でメッシがボールを持ったところで左のアビダルがスルスルとオーバーラップ、そこへメッシからピタリとパスが入る。
 アビダルがPエリア内で折り返したボールは、アーセナル守備陣が体を張ってブロックしたが、こぼれたボールにいち早く反応したペドロがPエリア内に走り込むメッシへ丁寧に戻すと、ワンタッチでスペースに持ち込んだメッシが右足で落ち着いてシュートを決め、次元の違うサッカーであっさりとアーセナルに逆転してみせた。

 時計が41分を回ったところ、センターライン付近でハイボールの競い合いからルーズになったボールを、ケイタがヘディングで縦にパス、そこに走り込んだのはメッシ。アーセナルのDFラインがバラけてギャップができたこともあり、メッシがスピードに乗って独走。前に出て待ち構えるアルムニアを見切り、Pエリアに入ったところでループシュート。簡単そうにゴールを決めて、前半だけでハットトリック。アーセナルは少なくとも2点が必要な状況で後半へ折り返すこととなった。メッシは今シーズン、リーガの3回と合わせ4回目のハットトリックとなった。

 メンバー変わらずスタートした後半、バルサは引き続き攻撃の手を緩めない。49分、右のDアウベスから鋭いボールがアーセナルゴール前に蹴り込まれ、メッシが狙って足から飛び込んだが、GKがキャッチ。
 その後、両チームの入れ替わりの早い攻防が展開される。
 52分、バルサはアビダルが故障によりマクスウェルと交代。その4分後には、ボージャンを下げてトゥーレを投入、メッシをトップに上げる。この交代でバルサはやや守りに入り、アーセナルがボールを支配するようになるが、固い守備の前になかなかフィニッシュに至らない。
 69分のアーセナル、右に開いたディアビのクロスがそのまま抜けてファーサイドでフリーのロシツキへ渡る。だが、ロシツキはシュートミス、大きく外してしまった。
 71分過ぎ、バルサはブスケッツがセンターライン付近でファールを受ける。するとメッシが意表を突いて、素早いリスタートでアーセナルのDFライン裏へボールを蹴り込む。狙っていたペドロが抜け出し、Pエリアの外からループシュートを狙ったが、ボールは右へと外れた。
 その直後、アーセナルは左のクリシからの絶好のクロスをベントナーが頭で合わせる。久しぶりのチャンスだったが、右ポストに当ててしまった上に、わずかにオフサイドだった。

 残り15分を切る頃になるとアーセナルがややペースダウン、バルサのプレッシャーに、後方へパスを戻すシーンが増える。
 82分のメッシ、中盤でボールを受けると粘りのあるドリブルから一転、急加速で3人、4人と抜いてPエリア内に飛び込むと、追いすがるDFを急ブレーキの切り返しでかわし、さらに詰めてきたサニャに対しては冷静に股抜きをしてゴール前に抜けようとしたが、体を止められて突破できなかった。

 88分のバルサの攻撃。中盤のボール回しからセンターサークル内でシャビがボールを持つと、浅いアーセナルDFラインの裏をうかがうメッシにちょんとパス。オフサイドをアピールし立ち止まるアーセナルの面々を尻目に難なくボールを持ち込むメッシ。慌ててサイドからカバーにきたエブエを減速してやり過ごし、続いて追いついてきたベルマーレンもゴール前でスピードを落として追い抜かせざま、少し左に流れてシュート。
 一度はGKアルムニアが足でブロックに成功したが、再びメッシがボールを拾うと見るやすかさず立ち上がって構えた瞬間、足が揃ったところを鋭い股抜きシュートを決められてしまう。試合を決定づけるメッシ自身の4ゴール目となった。

 スタンドは勝利を確信してのお祭り騒ぎ。そしてそのままロスタイムの3分を経過。4対1、試合運びも含めてバルセロナが文句なしの完勝。アーセナルは実際の実力差以上に、先制点以外に何もできずに終わった。


―TOTAL―
アーセナル 3−6  バルセロナ



 
 






―FIRST LEG―
    インテル 1−0  CSKAモスクワ
ミリート 65

 インテルがホームにCSKAを迎える第1戦。CSKAの本田は現地練習で足を痛めていたが、トップ下で先発。
 インテルは3トップの真ん中をミリート、左にエトー、右をパンデフが務める。
 CSKAはインテルの出足をくじくためか、立ち上がりからファールを連発しゲームを止める。その効果もあってか、CSKAがやや引き気味ながらもお互いミスが目立ちイーブンな展開となる。
 12分、インテルのマテラッツィが悪質なタックルで早くもイエロー。CSKAはゴール正面30M程のところでFKのチャンス。本田が蹴ると見せかけてイグナシェビチが狙ったが、GKにキャッチされた。
 23分、DFシェンニコフの2度のパスミスなど、パスが弱くインテルに奪われるシーンが続くが、大きなピンチには至らず。
 32分、CSKAのクラシッチがイエローを受け、第2戦は出場できなくなってしまった。
 前半はスコアレスで終了。

 後半の55分、CSKAのアルドニンがミドルシュートを放ち、ボールは枠を捉えていたが、インテルGK・JセザールがパンチングでCKに逃れた。
 60分、CSKAの自陣でのミスからカンビアッソがボールを奪い、Pエリアに入る直前、オフサイドぎりぎりでスタンコビッチへボールを渡す。しかしボールが足元に入ってしまい、押し込もうとしたスタンコビッチのボールは力なくGKにキャッチされた。
 64分にもインテルにチャンス。右サイドに大きく展開されたボールに追いついたパンデフがペナルティアーク内のスナイデルへパス、スナイデルがちょんと落としたところに自ら走り込んだパンデフがそのままシュートを蹴り込む。しかしここはGKアキンフェエフが素晴らしい飛び出しからワンハンドでクリア、ゴールを守る。
 その1分後、今度は左からエトーが仕掛け、中央に絞り込んでニアサイドへシュートを放つが、GKがしっかりとキャッチ。さらにインテルの波状攻撃が続く。GKアキンフェエフからパスでつないだボールを受けた本田を3人で囲んで奪取すると、スナイデルがスピードに乗ったドリブルで中央突破。Pエリアの手前でミリートへボールを渡すと、うまくトラップでシュートコースを作り出し鋭く右足を振り抜いたミリート。ボールはゴール左隅に飛び込んで、ついにホームのインテルがゴールをこじ開けた。

 69分、CSKAはジャゴエフをピッチに送り、本田がアウト。
 インテルは引き続きCSKAゴールを攻め立てるが、CSKAが粘りのある守りで追加点を許さない。
 71分には右サイドでパンデフがミリートとのワンツーからPエリア内に飛び込み、飛び出してきたGKをもかわして角度のないところからシュートを放つ。だがDFアレクセイがよく戻り、ゴールマウスに飛び込みながらも右足アウトサイドでボールをかき出した。
 CSKAはさらに間を置かずにのこり2枚のカードを切って、流れを変えようとする。
 83分、左に開いてフリーとなっていたスナイデルにパスが通り、ドリブルでPエリア内へ持ち込み1対1に。しかし右足でニアサイドを狙ったシュートは左に外れてしまった。
 その後もインテルのCKから2本連続でシュートを打たれるなどCSKAは防戦一方となったが、時間が経つにつれてインテルも最小得失点差での勝利をよしとしたプレーになり、このまま終了のホイッスル。
 CSKAはアウェーの戦い方であったため本田にもあまり見せ場はなく、第1戦はインテルの勝利で終了した。


―SECOND LEG―
CSKAモスクワ 0−1  インテル    
スナイデル 6



―TOTAL―
    インテル 2−0  CSKAモスクワ