〜 準決勝 〜

'09/04/28,29 第1戦
'09/05/6,7 第2戦


バルセロナ vs チェルシー  マンチェスターU vs アーセナル


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―FIRST LEG―
バルセロナ 0−0  チェルシー

 ホームのバルサはいつも通り、左からアンリ、エトー、メッシの強力3トップが並ぶ。累積カードがリーチのプジョールをスタメンから外してきた。
 対するチェルシーは、守り重視の作戦を取ってきた。

 チェルシーがもっとも警戒すべきはメッシだが、思うようには止められず、度々ファールを与えてしまう。
 13分にはメッシが右サイドからドリブルでDFボジングワを抜き去ると、ボジングワはたまらず手をかけてしまう。
 25分には中央でボールを受けたメッシがドリブルで突破を図ろうとしたところで、DFアレックスが足をかけて止めたことでイエローの判定。
 だがいずれの場面も、直後のFKはチャンスには結びつかない。
 
 守り一辺倒のチェルシーだったが、34分にバルサのミスからビッグチャンスを迎える。DFマルケスが蹴ったキーパーへのバックパスがショート、追っていたドログバがこれを拾い、Pエリアに入ったところでシュートを蹴りこむ。しかしこのシュートはGK正面。GKバルデスが弾いたところをドログバが詰めに行ったが、カバーに入ったDFピケにクリアされた。

 後半に折り返してすぐの48分、アンリがヘディングの競い合いで側頭部をDFアレックスの肩とぶつけ、一時脳震盪を起こしてしまう。
 意識を回復したアンリがピッチサイドへ出ている間に、さらにハプニングが起きる。今度はDFマルケスがゆっくりドリブルしている時に左足が少し引っかり、足の着き方が悪かったのか、結果的には左ひざの半月板を損傷。今季絶望の重症を負ってしまった。
 代わりにプジョールがDFに入った。
 その後も前半同様、チェルシーがしっかりとバルサのチャンスの芽をつぶす展開が続く。

 69分、バルサのエトーがトップでボールを受けるときのワンタッチでうまく反転、DFアレックスをまずかわすと、続くテリーには強引な股抜きで突破、一気にPエリア内に突入する。そこからエトーは追いすがったアレックスをスピードを緩めてやり過ごし、シュートまで持ち込んだが、GKツェフが足を伸ばしてクリア、ピンチを救う。
 74分、プジョールがイエローを受けてしまい、第2戦に出れなくなってしまう。マルケスの故障も考えると、バルサにとっては痛い状況に。
 82分、バルサはエトーに代えてボージャンを投入。87分にはアンリが下がり、MFフレブが入る。
 90分ちょうど、バルサは右に上がったダニエル・アルベスがチェルシーゴール前に放り込んだボールにボージャンが飛び込んだが、ヘディングシュートはクロスバーを越えてしまう。
 ロスタイムは5分あったがチェルシーの牙城を崩すことはできず、ホームの第1戦をバルサはスコアレスドローで終えることとなった。


―SECOND LEG―
チェルシー 1−1  バルセロナ
エッシェン 9 イニエスタ 90+3

 チェルシーの徹底した守りの前に無得点に終わったホームの第1戦。バルサはしかし、週末に行われた国内リーグのエル・クラシコにおいてレアル・マドリッドから6点を奪い、改めて半端ない攻撃力を見せつけた。
しかし、そのレアル戦で負傷したアンリがメンバーから外れてしまった。

 バルサのキックオフで前半開始。しばらくバルサがボールをキープしていたが、2分、中盤でメッシからボールを奪ったチェルシーのテリーが滑り込みながらも前線のドログバへパスを送る。フリーのドログバはそのまま抜け出ればビッグチャンスだったが、トラップをミスしてチャンスを潰す。
 このプレーをきっかけに、第1戦とは全く異なる攻め合う展開にもつれ込んだ。

 5分、バルサはチェルシー陣内でボールをつなぎ、Pエリア内右サイドに入り込んだメッシへパスが通る。メッシにはバラックが対応、メッシは2度仕掛けたもののバラックにはじき返されると、サポートにきたシャビへ預ける。シャビがゴール前に蹴り込もうとしたボールは選手に当たって直接ゴールとなりそうになったが、ゴールマウス内でカバーしていたボジングワが蹴り出した。
 9分のチェルシー。GKツェフのロングキックから左サイドでボールをつなぐと、ランパードが右のファーサイドを狙ったクロスが選手にあたり、浮き球となって跳ね返される。このボールをエッシェンがダイレクトシュート。難しいシュートだったが見事左上のバーの下側を叩いてゴールが決まり、チェルシーが早い時間帯に均衡を破った。

 22分過ぎにチェルシーのカウンター。中盤でランパードがルーズボールを拾うと、すかさず縦パスを放り込む。バルサのDFラインとGKの間の絶妙な位置に落とされたボールにドログバが抜け出して迫ったが、GKバルデスがPエリアを飛び出して追いつき、足でうまくクリアした。
 1分後にも、GKツェフからのボールが左のラインを割そうなところをマルダが巧みなトラップでものにし、一気に縦へと持ち込んでチェルシーのチャンス。チェックにきたダニエル・アルベスにも力負けせずにゴールライン際まで攻め込むと、切り返してPエリア内に踏み込もうとしたところで倒される。惜しくもPKとはいかず、FKもGKにクリアされてしまった。
 さらに続けざまに、またもやランパードからバルサDFラインの裏へ絶妙なボールが放り込まれ、今度はPエリア内でドログバがボールを拾ったが、背後からDFアビダルのチェックを受け、シュートの前に倒されてしまう。しかしファールとはならず、PKを得ることはできなかった。
 その後も同じような展開が続き、30分を回った時点でバルサがボールを7割支配するものの、チャンスはチェルシーが作り出している展開。だが前半はこれ以上点は動かずに終了。

 後半に入っても展開は変わらず。後半最初のチャンスもやはりチェルシーだった。
 52分、左サイドをマルダが突破し、中央のアネルカへパス。アネルカはドリブルでPエリア手前まで持ち込みバルサのDFを引きつけでから、Pエリア内右サイドでフリーになったドログバへとつなぐ。
 ドログバはカバーに飛び込んできたDFをかわしてシュートしたが、詰めてきたGKバルデスの足に当ててしまい絶好のチャンスにゴールならず。セカンドボールを狙ったマルダのシュートもゴール左に外れてしまった。

 66分のチェルシー。ツェフのゴールキックをドログバが頭で縦につなぎ、反応したアネルカがアビダルを追い越し抜け出しかけたところで、両者の足が接触しアネルカ転倒。
 故意には見えなかったが、主審はアビダルにレッドカードを宣告。バルサは10人で戦わなくてはならなくなった。
 この状況に、バルサはプランを変えず、丁寧なパスワークでチェルシーの穴をさがしながらボールを支配し続ける。
 71分、左45度からランパードが放ったシュートはDFに当たってGKの逆をつく形になるが、バルデスがすぐに反応しこれを止めた。

 72分、1点リードを保つチェルシーは、ドログバを下げてMFベレッチを投入。
 79分、バルサは最終ラインにいたトゥレ・ヤヤがボールの処理を誤ったところをアネルカに奪われてしまう。アネルカはそのままPエリアまで持ち込んだところでトゥレ・ヤヤに倒されるが、ノーファール。
 残り10分となると、チェルシーはさらに自陣を固めるようになるが、10人のバルサの隙を見てはバルサゴールに襲い掛かる。何とかしたいバルサはしかし、ここまで枠内シュートは0。このまま最後まで、スタジアムのサポーターも含めた緊張感漂うゲームが展開される。

 82分にこの試合で一番の重要なシーン。チェルシー自陣の深い位置でのFKをGKツェフが大きく蹴りこみ、マルダが頭でトップのアネルカにつなぐ。アネルカがPエリアでワンタッチしたボールを、バルサのDFピケが右の手のひらではたいてしまう。決定的だったが、なんとノーホイッスル。もしここで見逃されることなくPKを取っていれば、結果は大きく違ったものになっていた。
 85分、バルサはMFブスケッツに替えてFWボージャンを投入。
 そして、時計は90分を回る。ロスタイムは4分。
 そして92分、この試合初めてバルサのシュートがチェルシーゴールの枠内へと飛ぶことになる。
 右サイドからゴール前に放り込まれたダニエル・アルベスのセンタリングはファーサイドに流れたものの、こぼれたボールをメッシが拾う。メッシは少し溜めてからPアーク内でフリーとなっていたイニエスタへパスを送る。イニエスタが満を持して蹴り込んだシュートがゴール右に決まり、土壇場でバルサがアウェーゴールを奪って立場を逆転させた。

 残り2分。猛然と攻め込むチェルシーは右のCKを得ると、ゴール前にGKのツェフも顔を出す。そのツェフがランパードが蹴り込んだボールを頭で後ろに流すと、これをバラックがダイレクトシュート。ボールはシュートコースに飛び込んできたエトーの腕の付け根にあたったが、ノーファールでまたもやPKとはならず。
 騒然とするスタジアム。バルサは残りの交代カードで時間を稼ぐ。そして、ロスタイム7分を過ぎたところで無情にも試合終了のホイッスル。

 2試合通してバルサを完璧に封じてきたチェルシーだが、最後の最後で1点を失い、また少なくとも1つはPKを損した結果、トータルスコア1対1、アウェーゴールの差でバルサが決勝への切符を手にした。


―TOTAL―
バルセロナ  1−1 
アウェーゴール差により
チェルシー



 
 






―FIRST LEG―
マンチェスターU 1−0  アーセナル   

 史上初のUCL連覇を狙うマンチェスターUがホームにアーセナルを迎えた第1戦。意外なことに、ヨーロッパのカップ戦としては初の顔合わせである。

 マンチェスターは開始直後より前線から猛然とアーセナルの選手をチェイスし、エンジン全開。2分には早くもアーセナルのPエリア内に3度もボールを運び、アーセナルDF陣を慌てさせる。特に左DFの若いギブスがミスを連発、悪い流れを引きずってしまう。
 5分を回る頃にはいくらか流れが落ち着きを見せるが、アーセナルは攻撃の形を作れず、マンチェスターのペースは変わらない。
 12分にようやく右のウォルコットがゴール前にクロスを放り込んだが、簡単にクリアされた。

 17分、マンチェスターに決定的なシーンが訪れる。軽快なパス回しで全体を押し上げると、ピッチ中央でCロナウドとテベスが細かいパス交換をつないでDFを引きつける。そして、そこからノーマークの右のオシェイへ展開。
 するとアーセナル守備陣は、今度はフリーでクロスを上げようとするオシェイに気を取られ、ゴール前のテベスがフリーに。オシェイが蹴り込んだクロスに対し、するするとゴール前に入ったテベスがダイレクトシュートを放つ。だがここは、GKアルムニアが横っ飛びの左手て1本でこれを弾き返すスーパーセーブで、アーセナルのピンチを救った。

 続くマンチェスターの右CKの場面。一旦ファーサイドに流れたボールをマンチェのキャリックが再びゴール前に折り返したところ、アーセナルの選手に当たったボールが、ファーサイドのオシェイのもとへ。オシェイがアーセナルゴールにシュートを叩き込み、押していたマンチェスターが先制した。

 27分にようやくアーセナルのファーストチャンス。右のウォルコットがドリブルで中に切れ込みつつ、中央アデバイヨールへパス。アデバイヨールは後ろのセスクにボールを戻すと、セスクは20Mのダイレクトシュートを放つ。弾道の低い良いシュートだったが、GKファン・デル・サールがきっちり押さえた。
 その2分後のマンチェ。中盤でCロナウドが右に開いたテベスへボールを展開。テベスはそこから中に向かってDFギブスにドリブルで仕掛けると、縦への切り返しでギブスを振り切り、ファーサイドへクロスを送る。このボールにCロナウドが頭でピタリと合わせたが、GKアルムニアも反応しており、正面でシュートをブロックした。
 さらにクリアボールを再びマンチェスターに奪われて、ゴール正面左寄りからCロナウドにシュートまで持ち込まれたが、これもアルムニアがストップし、ゴールを守る。

 32分、テベスがアンデルソンとのワンツーで中央を突破、Pエリアに飛び込んだが、やや大きくなったトラップにアルムニアが身体を投げ出してブロックし、シュートを撃たせず。
 この後、アーセナルもペースを落とすようなパス回しができるようになり、試合は膠着したまま前半終了。

 後半69分のマンチェスター。中盤左サイドでセスクからボールを奪ったCロナウドがそのままドリブルで中央へ持ち上がると、30M弱の距離からミドルシュート。GKが見送ったシュートは惜しくもクロスバーを叩いて、ゴールを越えていった。
 その後もマンチェが押し気味の展開が続くがアーセナルもなんとか耐えて、敗れはしたものの最小失点でこのゲームを終えた。 


―SECOND LEG―
   アーセナル 1−3  マンチェスターU
ファン・ペルシ 76(PK) パク・チソン 8
Cロナウド 11、61

 決勝戦へ進むためには勝利するしかないアーセナルが、ホームにマンチェスターUを迎えた第2戦。
 アーセナルはファン・ペルシが怪我から復帰しスタメン入り。
 マンチェはパク・チソンをスタメンに持ってきた。アーセナルのウォルコット対策としてルーニーを左に置き、パク・チソンは右を務める。

 立ち上がりは第1戦のようなマンチェに一方的に攻められることは無く、むしろアーセナルがマンチェゴール前に押し込む展開。だが8分、自滅する形でペースを手放すことになる。
 若干流れが落ち着いてきた時間帯で、マンチェスターは左サイドのスルーパスに反応したCロナウドがPエリア内で追いつくと、ダイレクトでボールを折り返す。そこに入り込むマンチェの選手はいなかったが、対応したDFギブスが足を滑らせ転倒。後ろから来たパク・チソンがボールを拾い、体勢を崩しながらもシュートを放つと、ボールはアーセナルゴールへ。思わぬ若手のミスから、アーセナルはアウェーゴールを許してしまった。

 10分のマンチェスターU。Cロナウドがファールを受け、ゴールから40Mほど離れた右サイドでFKを得る。ここでCロナウドはゴールを直接狙うと、無回転のボールがGKアルムニアの腕の先をすり抜けて、ゴール右に突き刺さる。
 開始たった11分で2試合合計3点差となって、アーセナルは4点が必要となってしまった。

 18分、ルーニーが左サイドからミドルシュートでゴール右サイドを狙ったが、ここはGKアルムニアが素晴らしい反応でワンハンドブロック、CKに逃れた。
 32分のマンチェ。今度は左サイド、30Mほどの距離からCロナウドのFK。またもや直接狙ったが、今度はGKががっちりキャッチ。

 後半に入って52分、マンチェスターはカウンターからCロナウドが右サイドへ抜け出し、そのまま中央へドリブルで仕掛ける。DFジュルーをかわしゴール正面に差し掛かったところで、左足を振り抜いたが、またもやGKアルムニアが好セーブをみせてボールを弾き出した。
 60分、アーセナルは左CKからマンチェゴールを攻め立てるが、マンチェがきっちりと守りきる。そしてカウンター。
 Cロナウドが拾ったボールをパク・チソンが受けてドリブル、さらに左のルーニーへ。3対3の状況の中、アーセナルの2枚がルーニーに寄ったところでルーニーからゴール前にパスが入る。そこにトップスピードでDFジュルーを振り切って上がってきたロナウド、シュートをゴールに叩き込んでこの日2点目。
 このゲームのスコアも 0-3 となって、アーセナルのサポーターが早くも席を立ち始めてしまった。

 アーセナルは64分、ファン・ペルシが右サイドからドリブルで中に切り込みシュートまで持ち込むが、惜しくもGK正面。
 72分には途中出場のベントナーが右サイドから持ち込み、Pエリア内に入ったところでシュートするが、ボールはゴールの右外。
 その3分後、中盤左のナスリが中央のファン・ペルシへパスを送ると、ファン・ペルシはワンタッチでPエリア内へループパスを放り込む。ここにセスクが走りこんだところで、後ろからフレッチャーが倒してしまい一発レッド。フレッチャーは決勝に出ることができなくなってしまった。

 このPKをファン・ペルシが右上に叩き込み、意地の1点を返したが反撃はここまで。
 マンチェスターが2連勝でアーセナルを下し、決勝進出を決めた。


―TOTAL―
マンチェスターU 4−1  アーセナル