〜 準々決勝 〜

'09/04/7,8 第1戦
'09/04/14,15 第2戦


ビジャレアルvsアーセナル  マンチェスターUvsポルト

リヴァプールvsチェルシー  バルセロナvsバイエルン


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―FIRST LEG―
ビジャレアル 1−1  アーセナル
セナ 10 アデバイヨール 66



―SECOND LEG―
アーセナル 3−0  ビジャレアル
ウォルコット 10
アデバイヨール 60
ファン・ペルシ 69(PK)

 第1戦をホームで引き分けたビジャレアルは、セナとカソルラを欠いて第2戦を迎えることとなった。
 対するアーセナルは戦列を離れていた一部の選手が復帰し、ほぼ理想のメンバーを揃えた。ただしGKは、アルムニアが第1戦での怪我のため、ファビアンスキが務める。

 アーセナルは立ち上がりからビジャレアルを攻め立てると、10分に早くも先制する。
 中盤右サイドでパスを受けたエブエが前線のセスクへグラウンダーのパスを送ると、セスクはそのボールを流し、そのままDFラインの裏をうかがっていたウォルコットにボールが通る。抜け出したウォルコットは、飛び出したGKを冷静に見極めてループシュート。ボールはネットに吸い込まれた。
 28分、アーセナルはビジャレアルゴール正面やや右、20MのところでFKのチャンス。ファン・ペルシが左足でゴール左隅を直接狙うも、GKディエゴ・ロペスがブロック。弾いたボールをアデバイヨールが頭で押し込もうとしたが、ゴールマウス内にカバーに入ったディフェンダーがかき出して、ぎりぎりのところでゴールを防いだ。
 ビジャレアルもボールをつないではいたが決定的なシーンには至らず、前半終了。

 52分、ビジャレアルのカニが自陣でセスクからボールを奪い、一気に前線へパスを送る。DFシルベストルは裏を取られ、FWロッシが抜け出しかけたが、GKファビアンスキが好判断の飛び出しを見せ、先にクリアした。
 その後もビジャレアルは再三スルーパスでアーセナルゴールへ襲いかかるが、GKの鋭い飛び出しの前にチャンスを広げることができない。
 60分のアーセナル。ファン・ペルシが中央をドリブルで持ち込み、やや左でノーマークになっていたアデバイヨールにパスを通す。アデバイヨールはワンタッチでPエリアに侵入すると、落ち着いてシュートをゴール右に蹴り込んで、アーセナルが追加点を挙げた。

 このあと、中盤の素早いチェックで両チームの攻守がころころと入れ替わる中、67分にアーセナルのエブエが右サイドから攻め込み、Pエリア内のウォルコットへスルーパスを送る。最初の処理が少し流れたところへ、DFゴディンがスライディングでクリア。
 しかしこのプレーでウォルコットが倒れたことに対し、線審のアピールでPKと判定された。
 このジャッジに猛抗議したMFエグレンが2枚目のイエローを受けて退場。そしてアーセナルはPKをファン・ペルシがきっちりと決め、スコアは3-0と20分を残してほぼゲームの行方は決してしまった。

 その後5分間、ビジャレアルは果敢にアーセナルゴールを攻め立てたが、失速。
 最後までスコアは動かず、アーセナルが勝って準決勝に進んだ。


―TOTAL―
ビジャレアル 1−4  アーセナル



 
 






―FIRST LEG―
マンチェスターU 2−2  ポルト      
ルーニー 15
テベス 85
ロドリゲス 4
マリアーノ・ゴンサレス 89

 前チャンピオンのマンチェスターがホームにポルトを迎えた一戦。
 マンチェは今期のUCLをここまで無敗。しかし今回は中1日でのゲームと、コンディションは難しい。
 ポルトはフッキをトップに配す。

 前半の3分、ポルトは縦にパスをつなぎ、最後はリサンドロ・ロペスが強烈なミドルシュートを放つが、マンチェGKファン・デル・サールにパンチングで防がれた。
 そこから2本続いたCKの後のクリアボールをポルトがインターセプト、再びマンチェゴール前に運ぶと、ボールを拾ったCロドリゲスがフェイント1つ挟んでシュート。これがゴール左に決まって、立ち上がりの時間帯にポルトが先制に成功した。
 この2分後にもLロペスが枠内シュートを放つなど、試合はポルトのペース。

 13分にマンチェに最初のチャンス。右を上がったオシェイにパスが回るとゴール前にセンタリング。このボールをCロナウドがヘディングシュート。叩きつけたボールはしかし、GKの素早い反応でクリアされた。
 その2分後、思わぬ形でマンチェが同点に追いつく。ポルトのDF、ブルーノ・アウベスがノールックでGKに送ったバックパスを狙っていたのは、ルーニー。あっさりGKと1対1になると、シュートも落ち着いて決めた。

 しかしポルトの勢いも減速しない。すぐにCロドリゲスのヘディングシュート。続くチャンスにLロペスがゴールエリア内でスライディングシュートを狙ったが一歩届かず。
 35分あたりから、マンチェはダイレクトパスをつないだ攻撃が出るようになる。だが、ポルトの善戦が目立った前半だった。

 後半立ち上がりは、両チームの持ち味を出した攻守の入れ替わりが早い展開。
 59分にパク・チソンに代えてギグスを投入したマンチェは、より攻撃的に出る。その直後のプレーで、ルーニーが30Mほどの位置から思い切ったループシュートを狙ったが、惜しくもGKにクリアされた。続くCKではヴィディッチが頭であわせるも、GKがブロック。
 68分にはポルトがカウンターからLロペスがシュートまで持ち込んだが、GKがなんとかタッチし左に外れた。さらにCKからの流れの中でシソコが強烈なロングシュートを放つも、GKがセーブ。

 アウェーゴールを許した現状に、なんとしてもホームで勝っておきたいマンチェは72分、FWテベスをGネヴィルと共にピッチへ送り、さらなる攻勢に出る。
 75分、ポルトのブルーノのハンドから、マンチェはゴール正面Pエリアわずか外のところでFKのチャンスを得る。だが、Cロナウドは壁に直接当ててしまった。
 85分、マンチェは右の高い位置でのスローイン。ゴール手前のライン際に走り込むルーニーに、Gネヴィルがスロー。DFブルーノを背負った状態で、ルーニーはボールを直接ヒールで後ろにつなぐ。ここに飛び込んだのは、テベス。ボレーシュートがネットに突き刺さり、マンチェが絶好の時間帯で逆転に成功した。

 だが、90分まであとわずかというところで再びスコアが動く。マンチェ陣内右サイドからゴール前にLロペスが放り込んだクロスを、マンチェのオシェイが頭でクリア、これが逆サイドでフリーとなっていたマリアーノ・ゴンザレスに渡ってしまい、失点。
 ロスタイムの3分間に直接FKのチャンスもあったマンチェだが、再逆転はならず。
 ポルトはオールドトラフォードで引き分けながら2点を挙げたことで、第2戦を有利な状態で迎えることとなった。


―SECOND LEG―
      ポルト 0−1  マンチェスターU
Cロナウド 6



―TOTAL―
マンチェスターU 3−2  ポルト      



 
 






―FIRST LEG―
リヴァプール 1−3  チェルシー 
Fトーレス 6 イバノビッチ 39、62
ドログバ 67



―SECOND LEG―
 チェルシー 4−4  リヴァプール
ドログバ 51
アレックス 57
ランパード 76、89
Fアウレリオ 19
シャビ・アロンソ 28(PK)
ルーカス 81
カイト 83

 第1戦はホームのリヴァプールが先制したものの、チェルシーがアゥエーゴール3発で快勝、リヴァプールは厳しい状況でこの第2戦を迎えることとなった。
 チェルシーはテリーが警告の累積で不在。リヴァプールはなんとジェラードが怪我により不在。

 序盤は互角の攻防でなかなかチャンスシーンに至らない。
 最初のチャンスは13分のリヴァプール。後方で右に開いたCBシュクルテルが中盤のカイトに早いボールを当てると、カイトはこれを拾って反転、前を向いて前線のベナユンにボールを送る。ベナユンはこのボールを受ける素振りを見せつつ、反転しながらヒールでFトーレスにダイレクトパス。このパスを感じていたFトーレスはさらにPエリアに持ち込んでシュートまで至ったが、チェルシーDFのプレスもあって枠を外した。
 ここから、リヴァプールは高い位置からプレスをかけ、チェルシーはそのDFラインの裏を狙った攻防となっていく。

 18分、リヴァプールは右サイドでFKを得る。
 11分にも同じ位置でのセットプレーを得ていたリヴァプール。この際には、Fアウレリオが左足でファーサイドへゴールに向かうような早いボールを放り込み、GKツェフが素早く飛び出しクリアしたが、際どいシーンだった。
 そしてここでは、極端にファーサイドにリヴァプールの選手を配した状態で、Fアウレリオはなんとニアサイドへのシュートを選択。
 誰もが意表を突かれ、そしてGKツェフもファーを警戒し1歩踏み出した瞬間、左足で巻くようにして鋭く蹴り込まれたボールはワンバウンドしてゴールニアサイドギリギリに飛び込む。
 見事なゴールでリヴァプールが先制。面白い展開になってきた。

 その後もリヴァプールがチャンスを作り、チェルシーには拙攻が続く。
 27分、またもやリヴァプールが右サイド、先ほどより若干後方でFKを得る。Fアウレリオがチェルシーゴール前にボールを放り込むと、DFイヴァノヴィッチがチェルシーの選手を両手で抱え込んでいたプレーでイエローカードを受け、リヴァプールにPKが与えられた。
 これをシャビ・アロンソがきっちり決めて、2試合のトータルスコアは3-3。アゥエーゴール差でまだチェルシーが上回っているものの、勝敗の行方は分からなくなった。

 流れを変えたいチェルシーは35分にカルーに代えてアネルカを投入。両チームとも気迫のこもったプレーの応酬に、攻守が巡る間しく入れ替わる。
 前半終了直前には、リヴァプールがCKでクリアされたボールをつなぎ、左後方からシャビ・アロンソがゴール前ファーサイドにロングボールを放り込む。するとカイトがヘッドで競い勝ち、ボールはゴール左上に飛んだが、GKツェフが素早く反応しパンチングでピンチを逃れた。
 緊迫感を残したまま、ゲームは後半へ。

 後半立ち上がりも思うようにボールがつながらないチェルシーだったが、50分にアネルカが右サイドでボールを深いところまで持ち込んだワンプレーが、結果を出す。
 アネルカがDFを振り切ってゴールに向かって蹴り込んだグラウンダーのボールに、ニアサイドに走り込んだドログバが軽く触って微妙にコースを変えると、構えていたGKレイナがハンブル。ボールはゴールに転がり込んで、チェルシーが1点を返した。

 55分、チェルシーはゴール正面20M程の距離からのFKを獲得。ドログバがゴール右を狙ったが、わずかに枠の外。
 しかしその2分後、今度は先ほどの位置から5Mほど後方で、再びFKをゲット。
 GKレイナが壁の修正で構えを作り終える前に、アレックスが強烈なシュートを蹴り込むと、反応の遅れたレイナの左手をぶち抜いてゴールが決まり、それまでの不調が嘘のようにあっという間に同点にしてしまった。

 その後両チームともやや攻め急ぐシーンが目立つが、ハイレベルの応酬には変わりない。
 63分のリヴァプール。右サイドから攻め込み、マスチェラーノのミドルシュートにつなげたが、GKが横っ飛びでクリア。
 66分にはチェルシーのカウンターが炸裂。自陣でボールを拾ったマルダが、右サイドを上がっていたドログバに、併走するDFカラガーの裏を通す見事なピンポイントパスを通す。
 ドログバは体を寄せてきたDFキャラガーをあっさり弾き飛ばすとPエリアに侵入。そこから中央に走り込んできたバラックへマイナス気味にパスを送る。完璧にリヴァプールの守備を崩したが、バラックがPエリア内で放ったシュートはコースが甘く、GKにセーブされてしまった。
 73分にはリヴァプールがチェルシーゴール前でパスをつないでチャンスを作るなど、終盤に入っても集中力の途切れない、見応えのあるシーンは続く。

 76分、チェルシーの攻撃をしのいだリヴァプールがビルドアップにかかったところで、シャビ・アロンソのパスがバラックにカットされる。このボールを左に流れたドログバへ通すと、ドリブルでPエリア内に持ち込んだドログバが左から折り返したボールをランパードが押し込んで、チェルシーが大きな1点を手に入れた。

 80分、リヴァプールはFトーレスを下げてエヌゴグを投入すると、いきなりチャンスが生まれる。
 チェルシーゴール前に放り込まれたロングボールのこぼれ球をベナユンが拾うと、粘り強いドリブルでキープしてから後方のルーカスにパスを送る。ルーカスがミドルシュートを放つと、ボールはDFエッシェンに当たってコースが変わり、ゴールイン。まず1点を返した。
 さらにその1分後、リエラが左サイドを攻め込み、ゴール前に早いクロスを蹴り込むと、うまく前に抜け出たカイトがゴール正面でヘディングシュートを叩き込み、4点目。
 これでリヴァプールがアゥエーゴールでチェルシーを上回り、トータルスコア5-6と、あと1点で大逆転という状況に。またもや試合の行方が分からなくなってしまった。

 84分、エッシェンがリヴァプールのPエリア内に入ったドログバへボールを放り込み、一度ボールはこぼれたものの、反応したドログバがシュートまで持ち込んだが、左に外れる。
 85分にリヴァプールはDFアルベロアOUT、バベルIN。時間をかけないロングボール主体の組み立てへシフトし、GKまでもが前目のポジションをとって、がむしゃらに攻める。
 そして、最後のドラマは89分に訪れた。
 リヴァプール陣内右サイドでのスローインからチェルシーがボールをつなぎ、最後はアネルカからパスを受けたランパードがゴール正面でシュート。ボールは左ポストを弾き、跳ね返ってワンバウンドでゴール前を横切り反対の右ポストに当たって、ゴールの中へ。
 終了間際の得点は、事実上の駄目押しとなった。

 残された時間はわずかだったが、リヴァプールは闘志を切らすことなくゴールに迫る。リスタート直後、左サイドを崩してFアウレリオがセンタリング。GKツェフがパンチで弾いたボールをエヌゴグがダイレクトでシュートしたが、ゴールマウスのライン上でエッシェンが横っ飛びのヘディングでクリア、得点を許さない。
 ロスタイムに入っても果敢に攻めるリヴァプールだったが、チェルシーは選手交代などで着実に時計を進め、試合終了。
 もつれにもつれた今回のこのカードは、今後語り継がれるであろうゲームとなった。


―TOTAL―
リヴァプール 5−7  チェルシー 



 
 






―FIRST LEG―
バルセロナ 4−0  バイエルン
メッシ 9、38
エトー 12
アンリ 43

 ホームのバルセロナはグァルディオラ監督が攻撃的に行くと宣言。アンリ、メッシ、エトーの3トップは国内リーグで60得点をたたき出してきている。
 一方、決勝トーナメント第1戦ではスポルティングを大差で破ったバイエルンだが、直前の国内リーグでは5失点の大敗。その影響か、スタメンのGKは国内リーグで出ていないブットを起用。左DFのドイツ代表・ラームも控えに回る。DFのルッシオは怪我、ヴァン・ブイテンは家族の事情により、それぞれ帯同から外れている。
 雨の降る中、キックオフ。

 立ち上がりから、バルサがボールをまわしバイエルンが受けて立つ展開。そして5分過ぎに早速バルサにチャンスが訪れる。
 最前線に上がったシャビにボールが入ると、シャビはボールを溜めてからDFライン裏に抜けたアンリへ絶妙なパスを送る。ゴール正面Pエリア内に侵入したアンリはワンタッチでキーパーをかわし、少し右に流れながらすかさず右足でシュートを放つ。だが、ぎりぎりのところでバイエルンのDF・デミチェリスにクリアされた。
 しかしその3分後、バルサはゆっくりとした攻め上がりからあっさりとゴールを奪う。バイエルンゴール前にFW3人とイニエスタがボールを持ち込むと、バイエルンは最終ラインに5枚、その前にさらに3枚の人数をかけてこれを迎えるが、むしろ人数が多すぎて足が止まってしまう。そこへイニエスタが若干強引に中央へ突入、こぼれ出たボールをエトーが拾ったところにバイエルンのDFがカバーに入るが、中央に集まりすぎて左右のアンリとメッシが全くのフリーに。エトーが小さく右に押し出したボールがメッシに渡ったところで勝負あり。メッシは落ち着いて左足でボールをゴール左隅に流し込んだ。

 さらに12分、今度はバルサがカウンターからFW3人とシャビで攻めあがる。シャビは右のメッシに展開、メッシがドリブルで中央に絞ってきたところへ、逆にエトーが左から右へ流れるように走りこむ。いとも簡単にオフサイドぎりぎりのタイミングでメッシが縦にパスを入れると、エトーはあっさりとGKと1対1に。ブットの股下からエトーが放ったシュートが決まって、バイエルンが何もできないうちにバルサは2点のリードを奪ってしまった。

 17分、バックパスの処理をGKブットがミスしてバイエルンがピンチ。ボールを拾ったシャビからパスを受けた右のメッシ、左足の細かいドリブルでPエリア中央へ絞りつつ、縦への切り返しでDFレールをかわしにかかったところで倒されたが、これはシュミレーションの判断。このしかし再三のリプレー映像では、レールの足と手がメッシにかかっていた。
 この判定に激怒したグァルディオラ監督は猛抗議を繰り返した結果、退席処分となってしまい、ゲーム後のバルサの抗議もUEFAは非情にも受け入れなかった。

 バルサのペースは、だがこのアクシデントの後も変わらず。効果的な、1列に並んだバイエルンDFの裏へ抜ける同じ攻撃を繰り返す。22分にはイニエスタがボールを持ち上がり、アンリとメッシ、シャビが並走。今度は左のアンリがバイエルンDFの裏に走りこんだところへイニエスタからパスが送られ、GKと1対1。しかしシュートはわずかに右に逸れた。
 このプレーで、シュート後に滑り込んだアンリと飛び出して滑り込んでいたGKブットが激突。ブットはアンリの両足のスパイクが顔に入って出血。だが、治療してそのままプレー続行。
 37分、左でボールを受けたエトーが中央への細かいドリブルでバイエルン守備陣をひきつけたところで、右のメッシにパス。メッシも細かいドリブルでPエリアをゆっくり侵食、DFのチェックをしのいだところでマイナス気味にボールを戻し、これをエトーがダイレクトシュート。だが、クロスバーの上を越えた。
 その1分後、今度はアンリが左でボールを受けると、得意の一瞬の加速による縦への突破でDF2枚を抜き差って、ゴール前へパス。ここに走りこんでいたメッシがDF2枚の間を割ってボールを押し込み、バルサに3点目が入った。

 一方的となった前半は、しかしまだ終わらない。バルサは右のメッシがダニエル・アルベスとのワンツーをはさみつつゴール正面まで持ち込むと、エトーに短くパス。ここでエトーはボールを奪われるが、ボールがこぼれた左サイドにはフリーのアンリが。アンリがきっちり右隅にボールを流し込み、4−0 と大きくスコアが開いてしまった。
 ロスタイムにもアンリからPエリア内のメッシにパスが通り、バルサのチャンス。最終的にはPエリア内で5対5の対決となったが、ここはバイエルンが何とか守った。

 後半、バイエルンは中央の人数を増やしてバルサの組み立てに対抗。これが効果あったのか、バルサの攻撃にさらされるものの、決定的なシーンは少なくなった。
 59分、メッシが右サイドから中央に切れ込むも、縦へのスルーパスを出すことはできずにそのままミドルシュート。ここはGKブットが右手ではじき出した。
 65分を回ると、ようやくバイエルンも中盤から前をうかがうボール展開が時々出てくるようになる。71分にはバルサゴール前でFWトニがスルーしたボールをゼ・ロベルトが受けて一瞬フリーとなったが、シュートの瞬間にはプジョルの足が伸びて、撃ちきることはできなかった。
 74分、バルサはアンリを下げてケイタが入り、81分にはトゥレを下げてブスケッツを投入。そして残り時間2分を切ったところでエトーに代えてボージャンが入る。
 90分、バイエルンPエリア内の混みあう中でバイエルンがボールをキープ。ボージャンからイニエスタにつなぎ、イニエスタが左からふわりと折り返したボールをメッシがワントラップからシュート。だが、このボールは味方のケイタに当たってしまい、ゴールならず。

 結局ほとんど危なげないゲーム運びで、バルサが前半の大量得点で圧勝した。  


―SECOND LEG―
バイエルン 1−1  バルセロナ
リベリ 47 ケイタ 73

 バイエルンにとって、ホームといえど厳しい状況に変わりない第2戦。DFラインの顔ぶれが揃ったことで、一方的な展開とならないことを期待したい。ただしシュバインシュタイガーが不在。また、今回もGKはレンジングではなくブットが務める。
 バルサの方はアンリが発熱のためベンチ。代わりにイニエスタが左翼へ入り、中盤はケイタというラインアップ。
 消化試合となってもおかしくない状況だが、バルサが真剣勝負で臨んだことで、試合は緊迫感のあるものとなった。

 前半立ち上がりはバイエルンの素早いチェックが機能し、イーブンな展開。
 5分過ぎには、怪我明けでいきなりスタメンのバルサ左DF、アビダルへの早いチェックからソサがボールを奪取し、バイエルンのチャンス。すかさずクロスを放り込んだが、トニにはわずかに合わなかった。
 その1分後にはリベリが巧みなドリブルで2人をかわし左サイドを突破、Pエリアまで持ち込んでバルサを脅かす。
 両チームとも、相手陣内での個人技による突破やパスをつないでの崩しなどで見応えのある攻撃を繰り出すが、守備も集中しており、決定的なシーンには至らない。

 34分、バルサのメッシが右サイドから中へと持ち込み、DFラインの裏を狙ってPエリアに走り込むエトーにパスを送る、第1戦ではゴールを量産したパターンを作ったが、今日はルッシオがきっちりカバーしエトーにシュートを撃たせず。
 43分、バイエルンのトニがファン・ボメルのスルーを受けてPエリア内でシュートに持ち込んだが、枠の外。

 後半へと折り返して早々の47分、いきなり試合が動いた。バイエルンのゼ・ロベルトが左サイドでボールを持つと、ドリブルでバルサの選手を引きつけてから前方のリベリへスルーパス。一瞬のうちにGKと1対1になると、リベリはシュートフェイントにもう1つ小さなフェイントを加えてGKバルデスの体勢を崩し倒した上で、シュート。リベリの見事なプレーで、バイエルンが先制した。
 この失点に対し、バルサは俄然攻勢を強める。準決勝進出はまだまだ安泰のスコアにもかかわらず、この試合の勝利に固執するバルサの姿勢によって、よりゲームが盛り上がってきた。
 69分のバルサの攻撃。トゥーレ・ヤヤが自陣で拾ったボールをダイレクトで右前方に蹴り込むと、DFラインの裏に抜けたメッシへピタリ。そしてドリブルで持ち上がったメッシがゴール正面に走りこむエトーへとパスを通し、ビッグチャンスを迎えたが、エトーのシュートの寸前にDFルッシオが追いついて、辛うじてスライディングでこれを防いだ。

 しかし73分、バルサは自陣深いところでのリスタートから始まったパスプレーでバイエルン陣内に攻めあがると、左に開いたイニエスタにパスが回ったところで勝負に。
 イニエスタはDFレールと対峙しながらPエリアに入ったところで、中央のエトーとシンプルながらも効果絶大なワンツー。これでDF2人をパスすると、さらにイニエスタはダイレクトでゴール正面のシャビへとボールを折り返す。シャビはシュートではなくポストプレーを選択、後方にボールを戻したところで、走り込んだケイタがフィニッシュ。なんとリスタートから19本ものパスをバイエルンに奪われること無くつないで、バイエルンの組織を完全に崩した上でのパーフェクトなゴール。バルサが同点に追いついた。

 バイエルンが反撃といきたいところだが、その後、監督・クリンスマンが切った2枚の交代カードは効果的とは言えず、むしろ停滞してしまった。
 その空気を読んで、主審もロスタイムそこそこに試合を終了。結局、バイエルンにとって非常に後味の悪い2試合となったこのカードは、1勝1分けでバルサが勝利した。


―TOTAL―
バルセロナ 1−5  バイエルン