〜 決勝 〜

'02/05/15
グラスゴー ハンプデンパーク





バイヤー・レバークーゼン  1−2 
 レアル・マドリッド 
ルシオ 14' ラウール 9'
ジダン 45'

前半

 今年決勝に進んだ2チームは現在ここまで今シーズン無冠。ビッグイヤーに最後の望みをかける。レアルが万全の体制で望むのに対し、レバークーゼンはゼ・ロベルトを累積警告で、ノヴォトニーを怪我で欠く。なんともいえない緊張感を漂え、両チームの選手がピッチに集合。
 まずゲーム開始前、先日亡くなったディナモ・キエフ及びウクライナチームの監督であったロバノフスキーに対し、黙祷が捧げられた。そして、ゲーム開始のホイッスル。

 立ち上がりはレアルがボールを回し、レバークーゼンが厳しくプレッシャーをかける展開。先手先手でチャレンジを試みるレアルは8分、ハーフライン付近の左サイドで得たスローインを、ロベルト・カルロスがロングスローで直接ラウールへスルーパス。あっさりとDFの裏を取ったラウールは躊躇せずにシュート、このボールは弱めながら低く転がったことが幸いし、ブットの手が届かないところをすり抜け、そのままゴール右サイドに吸い込まれた。

 思わぬ形から失点を喫したレバークーゼン。だが6分後、得意の形で同点に追いつく。左サイドでバラックが倒されFKのチャンス。シュナイダーが右足で蹴り込んだボールは軽くゴールに向かって巻き込むような絶妙な軌跡を描くと、飛び込んできたルシオの頭がしっかりと捉え、ボールはネットを突き刺した。このゴールでレバークーゼンは動きが良くなる。

 17分、右サイドでレアルはFKのチャンスを得、フィーゴが絶好のボールを放り込んだがDFにクリアーされた。
 21分には逆にレバークーゼンのチャンス。ルシオがDFラインの裏を狙って浮かしたボールにブルダリッチが追いつき、GKセサールと1対1に。しかしここはセサールがうまくシュートコースを潰した。
 24分、ジダンからのスルーに反応したモリエンテスがPエリア内からシュート。しかしGKブットががっちりとキャッチ。
 33分、レアル陣内深く攻め入ったレバークーゼン、ノイヴィルがボールをキープしてから、後ろのバラックへパス。フリーのバラックはダイレクトにゴールを狙ったが、大きく外してしまった。

 37分、ブルダリッチに代えベルバトフを投入、レバークーゼンはFWを入れ替えてきた。この時間帯、中盤のインターセプトから早い攻撃でゴールを脅かそうとするレバークーゼンに対し、レアルはなかなか形を作ることができずにいた。しかしこのまま前半が終了するかと思われた45分、左サイドを上がったロベルト・カルロスからの折り返しはDFのプレッシャーもありパント気味のハイボールとなったが、フリーになっていたジダンの元へ。ジダンは落ちてくるボールを利き足でない左足でびしっと捉えたダイレクトボレー、15Mほどの距離からゴールに叩き込む、すばらしいシュートを決めた。レアルは再びリードを奪って後半へ折り返した。

後半

 後半に入ると雨が少し降り出した。試合は立ち上がりから目まぐるしい展開。レバークーゼン、レアルともに何度かチャンスを作るがフィニッシュまで至らない。
 60分、いまいち調子の上がらないフィーゴに代えマクマナマンを投入。さらにGKセサールがルシオに足を踏まれ、しばらくプレーしたが結局カシージャスに交代した。また、レバークーゼンもセベッセンを下げてキルステンがピッチに登場した。72分にはレアルはマケレレに代えてフラビオ・コンセイソンを投入。レアルがやや守備に集中力を割いたせいか、ゲームは膠着状態に。

 80分、右サイドをマクマナマンが突破しボールをゴール前に放り込む。ここにモリエンテスが走りこんだが、わずかに及ばず。
 モリエンテスは続く81分にもチャンスを作る。レバークーゼンDFにプレッシャーを与えるとバラックが中途半端なクリア、これをラウールが奪うと再びモリエンテスへ。モリエンテスはバラックを背負いながらもシュート。だが枠の外だった。

 残り10分を切ると、レバークーゼンの攻撃に対し、レアルはほぼ全員で守りの体制。必然的にレバークーゼンがレアルゴール前でボールを回す時間が多くなる。
 85分、左からノイヴィルがクロス、ベルバトフが頭で合わせたがクロスバーの上。86分にはレアルのカウンター。左サイドをソラリが持ち上がりそのままPエリアへ。ソラリはラメロウを絶妙なドリブルでかわすとそのままシュート、しかしGKブットがきっちり反応しゴールを守った。
 89分、ルシオが足を負傷しバビッチに交代。そして90分を回ったが、セサールの治療や途中乱入者騒ぎなどもありロスタイムはなんと7分。ここでレバークーゼンは左サイド45度の絶妙な位置ででFKのチャンスを得る。レバークーゼンはGKブットもゴール前に上がるパワープレイ。シュナイダーが絶好のボールを供給すると、なんとそのブットがヘッド。しかしシュートは惜しくも枠の右に外れた。

 レアルは引き、レバークーゼンが攻め立てる緊迫した時間が続く。95分、バシュトゥルクが左サイドからPエリア内にもちこみ強烈なシュートを放つも、GKカシージャスが手でクリアー。続くCKはボールが流れ、ファーサイドにいたベルバトフの元へ。ベルバトフがボールをゴールに押し込もうとしたが、カシージャスが見事な集中力を見せ、あわやのところを足でクリアー、再びCKに。
 レアルのピンチは続く。ショートコーナーが崩れ、再度得たCKを今度はゴール前に放り込むと、ベルバトフが頭で合わせ、叩きつけるようにシュート。しかしまたもやカシージャスが立ちはだかり、すんでのところで足でかき出すようにクリアーした。

 同点まであと一歩、しかしその一歩が届かず。長かったロスタイムもここで終了、レアルは創立100周年をチャンピオンズリーグの優勝で飾ることができた。
 Man of the matchにはジダンが選ばれた。ジダンは3度目のUCL決勝戦にして、自らの活躍で念願のタイトルをも手にすることになった。喜びに沸くレアルの選手たち、そしてスタンドに多く詰め掛けたファン。歓喜の歌声の中、ファイナルは幕を閉じた。