〜 決勝 〜

'01/05/23
ミラノ ジュゼッペ・メアッツァ





バイエルン・ミュンヘン  1−1 
PK戦
 5−4 
   ヴァレンシア   
エッフェンベルグ 49'(P) メンディエタ 3'(P)

前半

 バイエルンのサポーターはビッグイヤーを描き出す人文字で、ヴァレンシアのサポーターはオレンジ一色に染め上げ、生のチャンピオンズリーグテーマをバックにオープニングを迎えた。バイエルンは国内リーグ制覇を決めて乗り込んできたが、イェレミースが怪我のためベンチにも入っていない。試合はヴァレンシアのボールで始まった。
 開始早々ゲームは大きく動いた。2分、左サイドをカルーが突破、バイエルンゴール前に折り返し混戦となった。ここでメンディエタにボールが渡ったところをアンデションが倒れながら身体を張ってボールを押え込んだが、このプレーで手を使ったとしていきなりヴァレンシアにPKが与えられる。このチャンスをメンディエタがきっちり決めて、あっという間の先制となった。
 だが、出だしのドラマはこれで終わらない。5分、エッフェンベルグの突破をアングロマが引っかけ、今度はバイエルンにPKが与えられたのだ。キッカーはショル。ショルはゴール正面のシュートを狙ったが、GKカニサレスに阻まれ同点のチャンスを逃してしまう。
 この後少し流れは落ち着き、バイエルンが試合を支配する展開が続く。何度と無くヴァレンシアのPエリアに攻め込み、決定的ではないがシュートを放っていった。25分、ヴァレンシアのカウンターをしのいだ直後、カーンの素晴らしいフィードがサリハミジッチに通り最前線のエウベルへ。エウベルは強引に持ち込みシュートを放ったが、ボールはゴール前を横切り流れてしまった。サリハミジッチに手を焼くアングロマは29分にもゴールから20m程のところでファール。ショルのFKは惜しくもゴール右に外れた。
 40分にはヴァレンシアにチャンス。やや距離のある位置からのFK、メンディエタのボールはカルーの元へ。カルーはリンケのマークを振り切りヘッド、しかしシュートは枠を外した。バイエルンは前半ロスタイムにも左サイドから崩したが、最後のところで詰めが合わず結果につながらない。前半はそのまま終了した。

後半

 後半バイエルンはサニョールに代えてヤンカー、ヴァレンシアはアイマールに代えてアルベルダを投入してきた。そして前半同様、後半も開始4分で試合が動く。攻勢のバイエルン、左サイドをリザラスが崩した後にエウベルが中央へ早いセンタリング、このボールにヤンカーと争ったカルボーニがハンド、またもやPKとなった。今回はショルではなくエッフェンベルグがきっちりと決めて、ついに同点に追いついた。
 さすがにヴァレンシアも攻めだす。ヴァレンシアはメンディエタの巧さとカルーの高さが際立つ。65分にはサンチェスに代えてザホヴィッチを投入した。バイエルンで目立つのはやはりエッフェンベルグのゲームコントロールだろう。だが、やがて試合は失点をしないための膠着状態に。85分、リンケが怪我でアウトしている隙にヴァレンシアが攻撃。右サイドのカルーがDFをかわしてクロス、ここにザホヴィッチが詰めていたがファーストタッチをミス、カーンに押さえられてしまう。ザホヴィッチは87分にもロングパスに抜け出したかに見えたが、時間がかかった上にシュートも大きく外れてしまった。ロスタイム、エッフェンベルグのカットから縦に走るヤンカーへボールが渡りミドルシュート、しかしゴール右にそれた。そして同点のままVゴール方式の延長へともつれこむ。

延長

 延長最初の決定的シーンはバイエルン。DFクフォーがボールを奪ってそのままオーバーラップ、リザラス、ヤンカーらを経由してヴァレンシアゴール前で混戦、最後にエウベルがシュートするがカニサレスがセーブした。直後にヴァレンシアもバラハがドリブルで中央突破、あわやというところでなんとかバイエルンが守った。
 後半6分、バイエルンのゆっくりした攻撃から右サイドサリハミジッチがスピードのある突破を見せたがフィニッシュまでつながらず。8分、ヴァレンシアは左からカルボーニがクロス、ザホヴィッチが胸で落としてシュート、だがカーンの正面。

 延長後半に入って5分、バイエルンのFKからの混戦で、キリ・ゴンザレスはPエリア内でボールを手に当てたがノーファール。10分、メンディエタがミドルを放つもカーンがキャッチ。直後にパウロ・セルジオがPエリアでシュート、だがDFに弾かれてしまった。ここからバイエルンは3本連続でCKが続く。しかしヴァレンシアは守り切った。14分、右のメンディエタからのクロスをカルーがヘッド、ボールはゴール右へ切れる。そして両チーム疲れきりながらも緊迫した延長が終了、ついにPK戦勝負となった。

PK戦

 エンドはバイエルン側、そのバイエルンが先攻で始まった。
 最初のキッカーはパウロ・セルジオ。試合中にも見られたが、カニサレスがボールの位置などに文句を付けプレッシャーを与える。そしてシュートはゴールバーを大きく越えて失敗してしまった。ヴァレンシアの最初のキッカー、メンディエタは落ち着いてゴール右へ決める。
 バイエルン2人目のサリハミジッチ、ヴァレンシアのカルーも、同じような位置に叩き込み成功。
 3人目、ツィックラーの時にしつこいカニサレスにイエロー。ツィックラーはシュートをやはり右方向へ叩き込んだ。ヴァレンシアはザホヴィッチ。ゲームではイマイチフィットせずチャンスをつぶしていたが、その流れを引きずったのか、左に蹴ったシュートをカーンに読まれ、押さえられてしまう。
 4人目バイエルンはアンディション。右へのシュートは力無く、カニサレスががっちりセーブしヴァレンシアが再びリード。ヴァレンシアはカルボーニ。これを決めれば優勝が決まるというところで中央へ強烈に蹴り込んだが、なんとカーンが左に倒れながらも右手1本でスーパーセーブ、ボールはバーに当りながらもゴールを割ることなく失敗に終わる。
 5人目、エッフェンベルグは難なく左隅に叩き込み、逆にヴァレンシアにプレッシャーをかける。だが、ヴァレンシア・バラハもきっちり左隅へ押し込みサドンデスの延長へ。

 バイエルン6人目リザラスのシュートはカニサレスの逆・右方向へ決まる。続くキリ・ゴンザレスのシュートに、カーンは1歩も動けずゴール。
 7人目。リンケも落ち着いてカニサレスの逆へ流し込む。そしてヴァレンシアはペジェグリーノ。ここまでカーンが止めてきたのは左足キッカーだったが、ペジェグリーノのシュートにもきっちり反応、この瞬間、バイエルンの優勝が決まった!

 2年前の雪辱をはらし歓喜の輪を作り抱き合って喜ぶバイエルン、今年も敗れ、力無く座り込み涙も見せるヴァレンシアイレブン。この試合のMan of the Matchはスーパーセーブを見せたカーンに。バイエルンイレブンが次々とメダルを受けビッグ・イヤーにキス、サポーターからの「オー」と続く声に迎えられエッフェンベルグが最後に壇上に上がり、 ビッグイヤーを掲げた時、大歓声とチャンピオンズリーグのテーマがサン・シーロを包み、今年のチャンピオンズリーグは幕を閉じた。